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眠りと影と夜の国、の話。


こんにちは!山野靖博です!

影法師。

春眠暁を覚えずといいますが、僕にとっては夏だろうが冬だろうが暁を覚えず、です。

とりわけここ最近はとても眠い。睡眠時間が短いわけじゃないのに、すこぶる眠いのであります。

それもこれも、なかなかハードな舞台に出演する日々だからだと思います。やはり身体というのは厳しい環境にあれば自ずと回復のために休息を求めるものなのでしょう。


寝ることが好きな僕は、いくら寝ても寝足りるということがありません。時間が許すならば何日もゴロゴロしながらすごしたい。

寝床から起き上がるのは正午を過ぎた頃でありたいし、一日をベッドの上で過ごしていてもなんの罪悪感もない。

なかなか寝付けずにまんじりともせずに夜明けを迎える、なんてことはこれまでありません。寝ようと思えばすぐに眠れる。

いわば、眠りの国の王に愛されているのが僕です。


といいつつも、宵っぱりなのも僕です。夜起きていることが好き。というか、夜という空間に身を浸しているのが好きなのです。

それはもう子どもの頃からの習性で、小学校に上がる前に母と一緒に「夜もヒッパレ」を見た思い出や、小学生の頃に自分の部屋にテレビを入れてもらってから家族が寝静まったあともドラマや録画したビデオを見ていた記憶があります。

読んでいる本が面白くて、明け方まで読み進めてしまって翌日眠い目を擦りながら学校に行ったことも何度もあります。


眠ることが好きでありながら、夜起きていることも好きというのは、なんとも矛盾するような気もしますがそんなことはありません。夜更かしは、甘美なる睡眠のためのもっとも相性の良いスパイスです。

さらに言えば、夜更かしにしろ眠ることにしろ、夜という存在を味わうという意味ではどちらも同じです。

そう考えれば僕は、「夜が好き」ということなのかもしれません。うん、きっとそうなのだな。


夜の国、影の存在への憧れってありますよね。少し厨二病っぽい響きはしますが、ヴォルデモートがカッコよく感じるとか、サウロンの影響力に魅力を感じるとか、悪役や日影者への共感が自分のお腹の中の片隅に確実にあるかんじ。

どうしたって「明るい」ことや「明瞭」なことが賛美されるなかにあって、暗さや曖昧さにこそ好奇心を煽られるなにか。

自分が進んで悪役になりたい、悪事を行いたいと思っているわけではないが、どこか自分の中に悪役的な美学を持っていたい。

そんな感覚をいまも持ち続けているようなところはあります。


ところで、物語を作る上においては「悪役」というのはひとつの機能であります。物語に緊張感を生み、主人公の変化や成長を促すための大事な存在です。

いわば、物語の世界においての悪とは、善を引き立てるために用いられることが前提です。

僕が愛している悪役とは、そういう悪役です。現実世界の容赦のない悪には憧れない。理不尽な暗部は避けるべきものです。


自分の影法師を眺めながら、その影法師の表面が動き出し、そこから「別の世界の自分」が立ち上がってくることを夢想した子どもはたくさんいることでしょう。もしかしたらあなたもそのうちの一人かもしれませんね。

僕が芝居や音楽を通して今なお物語の世界を追っているのには、「夜が好きだ」という特性が大きく起因しているのかもしれません。

夜という時間こそ、さまざまな物語を織り上げてくれる偉大なる織機ですから。


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