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演劇は、面白い、という話


こんにちは!山野靖博です!

演劇は面白い。

一体、この言葉の含む「演劇」の種類の多様さと、「面白い」の様相の多彩さに、ときどき呆然とするような気持ちになる。

間違いなく演劇は面白い。演劇には人生を救う力もあるし、人生を鼓舞する力もある。人を癒すこともできるし、今をどう生きるべきかに気づく糸口をくれることもある。

そんな面倒くさいことでなしに、笑いやときめきやハラハラドキドキ、あるいは美しさ、格好良さ、刹那的な快楽や官能を満たしてくれる存在でもある。

そのどれもが素晴らしい。どんな「面白さ」だろうがそこに優劣はない。そしてその面白さを生む演劇自体がどんな「演劇」だろうとそこにも優劣はない。演劇はただ演劇として生み出され、それぞれの面白さを帯びてパッと燃え上がり、やがて跡形もなく消え去る。


ただ、「演劇」も「面白さ」もひとつではないとすると、これを紹介したり人に勧めたりすることが格段に難しい。ある演劇はその人の好みかもしれないが、別の演劇は全く好みじゃないということが起こりうるからだ。

そして、大方の場合そのような細やかな「好み」の問題を考える前の段階で、多くの人は大雑把に演劇が「好き」か「嫌い」か、あるいは「全く興味がない」かのどれかに属する。

細やかな「好み」の部分を自分なりに探っていくことが演劇をより楽しく味わう重要な方法だが、そんな細やかな「好み」の差異があることさえも多くの人は知らない。


僕がいま出演している演劇作品は、途轍もなく面白い。と、出演している立場でありながらそう思う。本当に面白いと思う。けれどこの「面白さ」は、「面白いですよー!」と賑やか無邪気に喧伝できるような面白さの種類ではないとも思う。

そういう「面白いもの」を人に勧めるのが、非常に困難な時代だなぁと、思う。それはインターネットが手軽に使えるようになった時代の、ひとつのネガティヴな側面だ。

得体の知れないもの、一筋縄ではいかないもの、一目見ただけではよくわからないものが敬遠される雰囲気が非常に強いのがこの頃だ。安全なもの、安心なもの、自分の価値観を揺さぶらないものが好まれる傾向が補強されていく。


人間の想像力が生み出す領域は無限大だ。その無限大の領域の、ほんのちっぽけな一角しか使わずに普段生きているのだなと、自分のことを顧みてもしみじみ思う。

そうじゃない、未知の領域にこそ「面白さ」がゴロゴロ転がっているのに、だ。

そういった未知の領域へ、それこそ隣町をヒョイと散歩するぐらいの身軽さを以て冒険に出られることが、演劇を観ることのひとつの効能だと思う。

演劇は面白い。それは間違いない。



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