![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12267507/rectangle_large_type_2_1120efcd3db02d1e1df6e675e6309f42.jpeg?width=1200)
「お月さまへようこそ」へようこそ。
「お月さまへようこそ」の稽古が進んでいます。
公演情報は下のリンク記事からどうぞ。
本当に素晴らしい戯曲です。前から好きだったんですが、あらためて上演を前提に向き合いなおしてみると、戯曲の強度と密度の高さに驚かされる日々です。
本来は6本の短編で構成されている戯曲集ですが、今回はそこから4編を上演します。選んだのは「どん底」「星降る夜に出掛けよう」「喜びの孤独な衝動」「お月さまへようこそ」です。
特に、「喜びの孤独な衝動」は大好きな作品で、初めてこの戯曲集を読んだときから僕はこの短編を演じてみたいと思い続けてきました。その思いが今回の上演で成就するのかどうか・・・は、まあ、楽しみにしていてください。笑
ちなみに、この戯曲集に出会ったきっかけは、後輩の課題制作のために「どん底」を読んでくれと依頼されたことがきっかけでした。
今回上演にあたってあらためて全戯曲を読んだときに、いちばん心に引っかかったのは「星降る夜に出掛けよう」でした。数年前には感じなかった共感を持って、この短編に引きこまれました。僕自身の変化を感じました。
本番まで1ヶ月と少しです。
何回かに分けて、公演のイントロダクションになるようなことを書いていけたらいいなと思います。ご来場いただく皆さんに、より楽しんでいただけるように。
とはいえ、今の時点で「観たい!」と思ってくださった方には謝罪せねばいけません。現状、すでにチケットが完売しているのです。
これはとっても嬉しいことである反面、ちょっと心苦しいことでもあります。
発売してすぐに売り切れてしまったために、あとから「観たい」と思ってくださった方にお席がご用意できないという事態になってしまっているからです。
僕自身も経験あるんですけど、演劇って、どの時点で「観たい!観に行こう!」って思うかって、そのときによってバラバラじゃないですか。
発売日のずっと前からチケット購入の準備をすることもあれば、ふとした瞬間に上演することを知ってチケットを買うこともある。上演直後に「やっぱり行くか」ってなることもあれば、本番当日に「スケジュール空いたし行ってみよ」となることもある。
いろんなタイミングで「買える」という状況を設計しておくのが主催サイドの重要なスキルだな、と今回初めて学びました。
ところで本公演、たしかにチケットは完売なのですが、なんとか増席して追加のチケットを販売できるように調整しています。
たくさんの数はご用意できないですが、ひとりでも多くの方に観ていただけるようにいたします。
正式なご案内ができる段階になりましたら、あらためてお知らせいたします。
--------
ところで。
いま、あなたは、幸せですか。
幸せだというあなた。素晴らしいことです。あなたの幸せを、僕も祝福したい。
すぐには「幸せだ」と答えられなかったあなた。まあ、そういうときもあります。人生ってそういうものですよね。小さな幸せと、たくさんの苦労が折り重なってるものです。
ぜんぜん幸せなんかじゃない。むしろ不幸だ。不幸のどん底だ、というあなた。もしかしたらあなたのその不幸せに、僕たちの演劇がすこしだけ寄り添えるかもしれません。もしかしたら、だけど。
僕たちが上演する戯曲は、成功譚ではありません。冒険活劇でも、ロマンティックなロマンスでもありません。
スカッと現実を忘れさせるようなレヴューがあるわけでもないし、豪華絢爛な装置や衣装があるわけでもない。
一見ファンタジーのようだけど、どこまでもどこまでも、現実をあつかっています。だからといって、悲劇なわけでもありません。
この演劇で、あなたを幸せにできるのかどうか、僕にはわかりません。
できることなら幸せな気持ちで帰ってほしいなと思います。でも、だからといって、ぜったいに幸せにできるかどうかは、わかりません。
なぜなら、幸せとは、じつに多様なものだからです。ただひとつの、明確な、唯一解としての「幸せ」というのは、存在しないからです。
もしかしたら僕らの演劇を観たあなたは、幸せに気分になってくれるかもしれない。あるいは、すこし寂しい気持ちになるかもしれない。
でも、たとえば、寂しい気持ちになったからって、それがすなわち「不幸せ」なわけではない。寂しさを含んだ幸せも、この世の中にはあるはずだ。
「寂しさを含んだ幸せもあるはずだ」なんて、普通の世間に向けて言ったら笑われるかもしれません。そんなもの、幸せとは呼べないと、はねっ返されるかもしれません。
でも、幸せや不幸せは、本当に多様なのです。僕らはそれを知っています。そして、この戯曲に登場する「彼ら」もまた、それを知っています。おそらく。
本当に、ひとりでも多くの方に観ていただきたいのです。僕らの作る演劇を。
明日も稽古、頑張ります。
--------
読んでくださってありがとうございました!サポートいただいたお金は、表現者として僕がパワーアップするためのいろいろに使わせていただきます。パフォーマンスで恩返しができますように。