【急募】本棚ソムリエ。いやたぶんそれ以前の問題です。
父親が中学校で国語教員をしていたこともあってか、私の実家には冗談みたいな量の本が置いてあります。
たぶん、私の両親は後先考えるのがちょっと苦手なタイプです。
まず、本を買いすぎる。
ためになりそう、おもしろそう、話題の本だ、ちょっと暇が出来た。
そんなかるーいノリで、本を買ってくるのです。
雑誌も小説も実用書もマンガも図鑑も、何でも買ってくる。
そしてこのタイプの人間によく見られるように、必ずすべての本を読み切るというわけではありません。
次に、本を置く場所が無くなってきます。
我が家は、ほぼすべての部屋、どころか玄関や廊下にまで本棚が置いてあり、ジャンルさえもめちゃくちゃに集められた本たちがぎゅうぎゅうに詰め込まれています。
最近、とうとう家の中にスペースがなくなったからと、庭にプレハブを建てて本の一部をそこに保存し始めました。
彼らは、後のことを考えるのが苦手なので、大抵のものは「いつか必要になる」と思っています。だから、誰も読まないような本を、売ったり捨てたりして手放すことなど考えもしません。
正直に言いますと、実家に帰る度に、「なんてしょうもない両親なんだ」と少し呆れてしまいます。
まあそんな家に生まれ育ったので、私も小さい頃から家のあちこちで、本を拾っては立ち読みしたり、廊下に座り込んで夜通しよみふけったり、飽きてその辺にポイと捨てたりしました。書店に行くと、親がうまい棒と同じノリで本を買ってくれました。
中学時代は図書委員を務めましたし、猛烈プッシュのおかげで書店での職場体験をゲットしました。
別に大量の本を読むわけではないけれど、本に囲まれて、本に触って。
そうしていると、自然と呼吸がしやすくなったのです。
今でもその性質は変わりません。
アルバイト先は書店だし、友達との待ち合わせ場所も大抵書店。
大学の昼休みに、生協の弁当売り場がウェイウェイと騒がしくなると、慌てて隣の書籍コーナーに逃げ込み、平積みされた新書をとりあえず眺めてピークが過ぎるのを待ちます。
そうこうして書籍売り場に入り浸るうちに、いつの間にか本を買いこんでしまうので、私の狭い狭いワンルームは、じわじわと実家の魔窟に近づいてきています。
何が言いたいかって、私はうまいこと本と共生したい。
まずは、良い本棚が欲しい。
大判も文庫も、なんかうまいこと並べて飾って取り出せる本棚。
できたら、なんかうまいこと狭いスペースに置けるようなものであってほしい。地震が来ても、なんかうまいこと本が倒れてこないような棚であることも重要だ…。
そんなことを言って、本気で本棚探しすることを、今は放棄しています。
私は、本棚を選ぶ基準が分からないわけではないのです。良い本棚との出会い方が分からないのではないのです。
ニトリで、Amazonで、ああこの棚欲しいぃぃぃぃ、と打ち震えることもあるくらいですから。
それでも私は、信念をもって本棚を買いません。
少なくとも、一人で購入を決断したりは決してしません。
私は、自分が持つ「本好き」DNAだけは、それに基づく根拠のない直感だけは、絶対に絶対に信用しないのです。