書評「避難所に行かない防災の教科書」はDIY好き必見!自宅で生き抜くための防災術が詰まった一冊
災害が発生した際、避難所に行くことが一般的な選択肢ですが、この本はその逆の発想を提案しています。
著者の西野弘章さんは、自らの被災経験をもとに、自宅での避難を成功させるための具体的な方法を紹介しています。
この本の魅力は、DIY精神にあふれた実践的なアプローチにあります。以下では、各章ごとに詳しく内容を掘り下げていきます。
災害時に「逃げない家」を作るための条件とは?
本書の第1章では、災害時でも「逃げない家」を作るための6つの条件が詳しく解説されています。
これらの条件は、災害が発生しても家が安全に保たれるための基盤となるもので、特に家の構造や配置に関するアドバイスが豊富です。
具体的には、まず自宅の耐震性能を高めるための方法が紹介されています。
これは、日本が地震大国であることを考慮すると非常に重要なポイントです。
耐震リフォームや、家具の固定方法についても詳細に説明されています。また、風災に備えるための耐風性能の強化も提案されています。
台風や強風による被害を最小限に抑えるための窓や屋根の補強方法が、DIYで実施可能なレベルで解説されています。
さらに、ハザードマップを活用して自宅の危険度を評価する手法も紹介されています。
このプロセスは、家を守るために非常に重要です。
自宅がどの程度のリスクにさらされているのかを把握することで、具体的な対策を講じることができます。
これらの方法は、専門的な知識がなくても取り組める内容になっており、誰でも手軽に始められるという点で、非常に実践的です。
ライフラインを自給自足で確保する方法とは?
第2章では、災害時にライフラインを自給自足で確保するための具体的なテクニックが豊富に紹介されています。
これらのテクニックは、停電や断水といったライフラインの途絶に備えるためのもので、非常に現実的かつ実用的です。
例えば、非常用電源として自動車を利用する方法が詳しく説明されています。
これは、エンジン発電機を用いたり、大容量のモバイルバッテリーを車内に設置することで、自宅の電力供給をサポートするというアイデアです。また、ベランダに設置できる簡易発電所を作る方法についても解説されています。
この方法は、太陽光発電を利用してエネルギーを供給するもので、長期間の停電に備えることが可能です。
さらに、断水時に雨水を利用するシステムの構築についても触れられています。
雨水を溜めて濾過することで、生活用水として利用できるようにする仕組みは、特に長期間の水不足に備えるための重要な手段となります。
この章では、これらの対策を実践することで、災害時でも自宅で安全に過ごすための基盤が整うことが強調されています。
実際に体験したからこそわかる「備蓄」のリアル
第3章では、西野さんの被災体験に基づくリアルな備蓄のノウハウが詳細に紹介されています。
特に注目すべきは、実際に避難生活を経験したからこそわかる、現実的な備蓄のポイントが強調されている点です。
例えば、食料備蓄に関しては、日常生活で使用するアイテムを活用することが推奨されています。
これは、非常時に突然使い慣れないものを使うのではなく、普段から慣れ親しんだ食品や生活用品を備蓄することで、ストレスを軽減し、効率的にサバイバル生活を送ることができるという考えに基づいています。
また、ペットのための備蓄についても詳細に述べられており、ペットを飼っている家庭にとっては非常に役立つ情報が詰まっています。
さらに、西野さんが実際に直面した災害時の困難やその解決策も紹介されています。
例えば、家族やコミュニティとの連携を通じて物資を共有したり、近隣の人々と協力して防災活動を行う方法などが具体的に示されています。これらの経験談は、読者にとって非常に参考になるでしょう。
災害後の2週間を生き抜くための技術
第4章では、災害発生後の2週間をどのようにして生き抜くかに焦点が当てられています。
この章では、災害直後の初期行動から始まり、生活環境を整えるための具体的な手法が紹介されています。
特に、停電や断水が発生した際の対応策が詳しく述べられています。例えば、停電が続く場合の情報収集方法や、ライフラインを自宅内で確保するための手段として、太陽熱温水器の利用やロケットストーブの作り方などが挙げられています。
また、暑さや寒さへの対策も重要視されており、自宅避難を快適に過ごすための工夫が満載です。
さらに、一時避難を車中泊で乗り切る方法についても触れられています。これは、自宅が安全でなくなった場合や、避難所が満員の場合などに有効な手段です。
車内で快適に過ごすためのアイディアや必要な備品についても詳しく解説されています。また、災害時でもおいしく食べられる「防災クッキング」のレシピが紹介されており、食事の面でもストレスを減らす工夫がなされています。
この本が特におすすめな読者は?
この本は、DIYが好きで、自宅を自分の手で守りたいと考えている方には特におすすめです。
DIYテクニックがふんだんに紹介されており、同じくDIYが好きな方には「なるほど!」と感じる内容が多く、非常に実践的で参考になるでしょう。
逆に、DIYに興味がない方には難しく感じる部分もあるかもしれませんが、それでも自宅での避難生活を現実的に考えている方には、多くの知見を提供してくれる一冊であることは間違いありません。
また、日常的に防災について考えている方や、家族の安全を守りたいと考えている方にとって、この本は非常に役立つガイドブックとなるでしょう。DIYに自信がなくても、できる範囲で始めてみることで、自宅をより安全な場所にするための第一歩を踏み出すことができます。
この書籍は、災害時に避難所に行くことが難しい状況に直面した際に、どのように自宅で安全を確保し、生き延びるかを教えてくれる非常に実践的なガイドブックです。
DIY精神を持つ読者には特に響く内容が詰まっていますので、ぜひ手に取ってみてください。