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【Vol.4】顧客の組織図を把握する
前回記事では商談時の「概要説明」「ヒアリング」「提案」に渡り、気を付けていたことをロープレと比較しながら紹介しました。
今回は、toB営業において商談フェーズアップを確実に行っていくために欠かせない「組織図の把握」に関して掘り下げていきたいと思います。
メンバーの案件壁打ち100件から見えてきた傾向
前職にてマネージャー就任後、自身の高い営業目標も追いながら並行してチームメンバーの案件壁打ちを行っていました。
その数は最初の2ヶ月で約100案件。在籍中トータルだとすごい数になりそうです。
(このときから退職まで、「昼ごはん抜き・もしくはUberか出前館&トイレ行けない」フルリモート・在宅勤務と言うキーワードからは想像もつかない日々が幕を開けます・・苦笑)
「案件壁打ち」とはメンバーの(重要商談の初訪、再訪など)商談前に事前想定をもとに、ホームページや顧客の情報を一緒に検索して仮説立て、想定ネックと切り返しの整理、商談の進め方やゴール設定を確認していました。
所要時間は1案件に関して30分ほど。
その中で、事前に準備・把握すべき内容などアドバイスがある程度数パターンに絞られました。
機能説明だけでは受注に至らない
余程ホットな問い合わせリードでない限り、商談時に機能説明だけで受注できることは、ほぼありません。
相手の組織図の把握
課題抽出
ヒアリング情報を結び付け運用も含めた提案
この3つがなく、商談資料のスライドを丁寧に説明→デモで機能紹介だと、4つの「不」で言う「不要」「不適」を突破することは難しいです。
「不信」怪しい、警戒している
「不要」役に立つと思わない
「不適」自社には適していない
「不急」今すぐ必要とは思わない
企業規模を問わず、組織図の把握はマスト
まず、相手に必要と思って頂くためには相手の目線に立つことが大切です。
組織図・構造を把握することで得られるメリット
相手も気づいてなかったステイクホルダーや推進しうる部署などポジティブな情報や、懸念・リスクも早期に把握できる
社内稟議を通していくための道筋を明確にし目線合わせができる
商談進捗が鈍かったり、失注した場合でもキーマンファインドがスムーズ、再アプローチに繋げることができる
CSSへの受注後の引き継ぎもスムーズ
商談時は、なんとなく好意的なリアクションでも相手にボール委ねるとほぼ失注します。
逆算して自分主導でフェーズアップしていくために、具体的に個社毎に下記を整理していました。
会社理解(創業者理解)
組織図理解 →今回はココ
担当者(商談相手)理解
業務理解
業務フロー理解
業務課題理解
例えば、決裁者からのツール導入意思が明確な問い合わせの場合は、商談前アンケートなどで事前収集した内容に対してや、顧客からこんなことできないですか、との質問に対して回答していけば良いので「機能説明だけで受注できる」ことも発生するのです。
しかしながら、余程有効リードからのインバウンドが主でない場合はその前提となる1.〜5.の掌握が重要です。
組織図把握も事前準備が重要
商談始まってゼロから聞き始めると、忙しい相手をイライラさせるリスクあるので、事前準備は欠かせません。
商談事前準備に関して、以前の記事にてより具体をまとめています。
「1.会社理解」「4.業務理解」「5.業務フロー理解」の事前準備に該当する内容です。
ホームページの組織図を活用
「調べればわかることを調べずに、質問する」ことは失礼や不快感に繋がることがあります。
「2.組織図理解」においては何パターンかの準備をしていました。
一番わかりやすいのが「社名 組織図」でGoogle検索してその組織図を貼り付けます。企業規模が大きい場合は、西暦も加えるとより最新の情報が入手できます。
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組織図がわかりやすくまとまっていたので「トヨタ自動車北海道株式会社」を例に挙げると・・
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自分の今回の商談相手が「品質課」の課長であれば…
意思決定に「品質管理部長」の関与、
他部署の部長なども集まる「役員会議」を経て、
最終的に「社長決裁」に至るのではないか、
と予測を立てることができます。
ステイクホルダーが想定できれば、ホームページやeightなどでフルネーム検索、採用情報やインタビュー記事も探す。
どんな経歴やスタンスの方なのか、大切にしている想いなども予測した上で商談に臨みます。
組織図がない場合は拠点や部署名を羅列
上記のトヨタ自動車北海道株式会社のように、組織図を検索してヒットすれば良いのですが、組織図を公開していないケースの方が多いかもしれません。
その場合は、ホームページ、採用情報、eightなどを検索し、拠点や部署を羅列していました。
ネット上に何も情報がない場合、担当者のことを先に掘り下げる
ホームページもない、求人媒体にも未掲載、名刺情報、FacebookやInstagramなどありとあらゆる検索をしても何も情報がない、と言うケースももちろんあります。
その場合は「2. 組織理解」「3.担当者理解」の順序に固執せず、まずは目の前の相手の業務、関心どころから先にお伺い。
その上で、サービス概要を簡潔に案内した上で、「今回の提案に関わる部署はどちらになりそうですか?」とお聞きし、少しずつ拡げていました。
ヒアリングは視覚情報とセットにすることで、格段に相手も答えやすくなります。
その視覚情報(スライド)の準備が難しい場合は、聞く順序や拡げていくプロセスを柔軟に変更していました。
会話しながら咀嚼する、まとめる
商談中に準備したスライドに書き込む
これは対面商談では難しいので、オンライン商談に有効な方法であり、数少ない私の特技(?)です。
組織図理解のメリットのうち、特に商談進行中は下記の2つに役立てることができます。(再掲)
相手も気づいてなかったステイクホルダーや推進しうる部署などポジティブな情報や、懸念・リスクも早期に把握できる
社内稟議を通していくための道筋を明確にし目線合わせができる
資料を画面共有しながら、実際にヒアリングした情報を書き込んで論点を整理することで
(これは組織図理解に限ることではありませんが)双方の齟齬を少なくすることができますし、顕在化していなかった情報や課題を導き出すこともできます。
先方ボール(社内上申)のプロセスにおいても組織図をもとに誰が関与するか・影響力があるのかを掌握しておけば、その対象に合わせた提案資料作成やフォローを行うことで、成功率を高めることができます。
次回はこの流れで、提案後自分の手からボールが離れた場合の追客に関して紹介します。
ここまで目を通していただき、ありがとうございました!