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遥かなるガンジス(2024.11.03)

子供の幼稚園でお祭りがあったので参加した。

子供の幼稚園は同一の法人の中に大学や高校や専門学校まであって、それらが一斉に合同で学園祭を開催した。2Daysで。

その2日目、いつもは園児たちの声がこだましているグラウンドにはステージが設けられ、大学生たちが主にダンスを披露していた。

爆音で音楽が鳴り響く。知っている音楽はほとんどなかった。大学に留学生が多いためか、それともただの流行りか。韓国や東南アジア、そしてインド近辺の音楽が多かった。その中でたまに知ってる気志團の「One Night Carnival」や、あのちゃんの「ちゅ、多様性」などが流れると安心して、そしてなぜか無性に感動した。

やがて多分インドの民族衣装に身を包んだ多分インド人の学生たちが、ステージで多分インドの民族音楽にのって踊り始めた。

するとステージの前に集まった多分インドからの留学生たちがみんな一緒に踊り始めて、めちゃくちゃ楽しそうにしている。故郷を離れた遠い日本の空の下、故郷の音楽で彼らみんなが自由に踊っているのを見て、私はそれがすごく良いなと思った。このままずっと彼らが楽しく躍っていられれば良いなと思った。

が、実際に彼らはそのあともずっと踊っていた。それが予定されたものであるのか、それともステージが空いたのを良いことに、勝手に好きな曲をかけて自由に踊っていたのかは分からないが、ずっとインドとかそのへんの留学生たちがステージ周辺で自由きままに踊っていた。

あまりにそれがずっと続くので、ちょっと前まで感動していた私は少し考えを改めた。インド映画は必然性とか脈絡とか関係なしに、とにかくよく踊るから、その裏付けが取れた気分だった。

そんなわけで、お祭りはずっと(おそらく)インドの音楽に彩られる事となった。そしてそれに追い打ちをかけるように、会場をスパイスカレーのめちゃくちゃ良い香りが包んだ。会場の片隅で留学生の作る本格的なスパイスカレーが売られていたのだ。

カレーの香りは秋の爽やかな風にのって会場を支配した。だから私はカレーが食べたくて食べたくて仕方なくなったが、状況が許さず、私はいつまでもカレーを購入する事が出来なかった。

でも祭りが終わりに差し掛かった頃、私はようやくカレーを購入する事が出来た。妻が「カレー買ってくれば?」と言ってくれたのだ。

私は多分インド人の方々がやってるブースに行ってカレーを買い、カレーが入ったトレーを抱えてみんなのところに戻った。しかしちょうど目の前で園児たちの「終わりの会」が始まってしまい、私は園児たちに注目されつつカレーを食べる羽目になってつらかった。「それカレー?」とか「美味しいのー?」とか言われながら。

しかしそんな状況にも関わらず、カレーは本格的でとても美味しかった。スパイスの鼻を抜ける香りがそのまま脳天を突き抜けて、私を遠いインドの空の下、ガンジス川が流れる大地へ連れて行ってくれるようだった。

学祭で提供されるものとは思えない、本格的なカレーだった

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