「伍魚福と私の変遷」その2〜卸通販の事業化〜
2000年(平成12年)5月にスタートした、弊社の卸通販事業「酒の肴仕入れカタログ」は酒販店さんのお役に立つために事業化したものです。
このカタログができる前は、一般の酒販店さんから「チルド珍味を販売したい」との引き合いがあっても、来店客の少ないお店では反対にご迷惑をおかけしますのでお勧めしていませんでした。
お客様に足を停めていただける、きちんとした売場を作るには在庫が最低5万円から6万円程度必要となります。40〜50日日持ちするとはいえ、月間の売上がもし3万円だったら半分がロスとなり、お店の損になります。
という理由で、お断りする日々が続きました。
そんな1999年のある日、
「ロスが出てもかまわない。日付がきたら自分の家で食べるから・・・」
というお得意先がおられたのです。
西宮・苦楽園のお酒屋さんです。
さすがにそういわれるともうお断りする理由がありません。
そこで商品を置いてみたところ、意外に売れたのです。
お店でお勧めいただいたこともあると思いますが、小規模なお店でもリピーターのお客様がつき、継続して注文いただけることが分かりました。
従来は、営業担当(繁盛係)がお得意先を訪問して商談、品揃えを決めて、新規導入。
その後、補充に関しては、FAXを頂いて商品を宅配便で直送するという体制をとっていました。
2000年(平成12年)1月のある晩、布団の中で突然ひらめきました。
新規導入含めて、カタログで完結できれば、通販と同じだ。
お酒屋さんに仕入れていただくB2Bのカタログ通販にしてはどうだろうか。
そこで飛び起き、構想をパソコンに打ち込んで役員会に提案したのがこの事業のはじまりです。
チルド珍味、ドライ珍味のすべてをバラの1つから宅配便でお届けする。
今までドライの珍味はケース単位でしか出荷していませんでしたので、効率の面などで社内でも現場から猛反対を受けました。
でもあくまでも酒販店さんのため、絶対お役に立つはずだという強い意志でなんとか説得し、事業化できたのです。
2000年の5月に記念すべき第1号のカタログを発行できました。
当時お世話になっていた印刷屋さんと、そこの提携しているデザイン会社にお願いして、全くゼロからのカタログ作成です。
盛り付け写真のフードコーディネートは、家内に頼みました。
スタジオに商品や付け合わせの素材、皿などの演出道具を持ち込んで家内が調理や盛り付けを行い、カメラマンに撮影してもらいます。
当時、デジタルカメラはまだ普及しておらず、ハッセルブラッドの中判フイルムカメラでの撮影です。
テスト撮影はカメラの後ろに取り付けるマガジンを替えてポラロイド(なつかしい)。
1ショット1ショット確認しながら撮影を進めます。
その後、上がってきたポジをデザイン会社でレイアウトしてもらいます。
どんなことをアピールするか、考えて、まとめて・・・。
伍魚福の特徴である「売場提案」も行いました。
商品・販促物一式も込みで、価格設定を行いました。
チルド・ドライ商品ともに、バラの一つから宅配便で直送します。
納入価格合計1万円以上で、送料は無料です。
通常のロットよりも小さくし、注文しやすくしています。
その分、一つ一つの卸価格は、少し高く設定しています。
卸価格を印刷しますが、間違ってはいけませんので、家に持ち帰り、夜中まで家内と読み合わせを行いました。
商品も隔世の感がありますね。
牛タンブロックがよく売れていたのが懐かしいです。
プライスカードホルダーや、商品スタンド、仕切板、POPも有償で提供します。
「取引約款」も自分で作成。
なんとかPRしたい、ということで、これまた初めてプレスリリースを作成し、マスコミ各社に送りました。
地元・神戸新聞の記者の目に止まり、2000年5月12日付で記事にしていただくことができました(感謝)。
第1号のお客様は、この記事をご覧になって、会社を訪ねてきていただいた酒販店の方でした。
スタートの5月1ヶ月の売上は55万円。今では1日分の売上にも満たない金額です。
口座開設の申込書に「伍魚福さんの通販で大変助かります」というコメントを頂くことがあります。
酒販店の減少に伴い、それまで酒販店をルートセールスで回っていた珍味屋さんが廃業されたエリアも多く、仕入れに困っているお店も多いようです。
2002年4月には、「酒の肴仕入れWEB」もスタート。https://shiire.gogyofuku.net/
初年度は、伍魚福からの直販・代金引換便の使用でスタートしましたが、次年度からは、全国の酒類卸売企業と連携、問屋さんの帳合いで酒販店さんにご利用いただくことができるようになりました。
また、問屋のセールスの方から、カタログを酒販店さんにご案内いただくことで、利用者も徐々に増えていきました。
伍魚福の品揃えは、酒販店さんがあって出来たもの。
このサービスは、酒販店という業態への恩返しでもあると考えています。
卸通販事業、今年まで20年間続けることができました。
カタログは、途中年2回発行していた時期がありますので、最新号は24号です。
カタログを利用されるお得意先も、酒販店さんだけでなく、スーパー、コンビニ、料飲店、観光売店、ホテル売店など多業種に広がっています。
宅配便の届くところであれば、どこでも仕入れていただくことができます。
また、「代金引換」を選ぶと、今日思いついて、明日からでも店頭に商品を並べることができます。
旅行や出張先のお店で、伍魚福商品を目にすることがよくあります。
営業で伺うことが出来ない中、卸通販サービスをご利用いただけているということ、大変ありがたく思っています。
引き続き商品とサービスをブラッシュアップしながら、ご利用の皆さまのお役に立てるよう、努力を続けてまいります。