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イカナゴの生態・イカナゴの夏眠(公益社団法人日本水産資源保護協会「わが国の水産業 いかなご」より)

公益社団法人日本水産資源保護協会の「わが国の水産業 いかなご」の続きです。

以下、この資料からの引用またはキャプチャーです。

【イカナゴの生態】
■産卵
イカナゴの産卵は夏眠場と同じか、それよりもやや広い海域の海底付近で行われます。よう卵数は標準体長が8cmの魚で2,000~3,000粒、10cmでは6,000~9,000粒、12cmでは11,000~18,000粒です。産卵期は北海道の宗谷海峡付近が4~5月、津軽海峡青森県沿岸が3~4月、岩手県~仙台湾沿岸が12月下旬~1月末、伊勢湾および瀬戸内海が12月下旬~1月上旬です。

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■ふ化・仔稚魚
イカナゴの卵は沈性粘着卵で、完熟卵の直径は0.72~1.05mmです。ふ化までの日数は10℃で13~16日、12℃で11~12日、14℃で9~10日かかります。ふ化仔魚の体長は4.5mm前後で、ふ化後24時間以内に摂餌を開始します。ふ化後30日で約11mm、60日では約30mmに成長します。

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 ■成長・寿命
北に分布するイカナゴは成長が良い傾向があります。宗谷海峡では1才で体長13cm、2才で16cm、3才で18cm、6才で23cmになります。2つの群がみられる仙台湾周辺では、脊椎骨数が65にモードのある群は1才で体長13.0cm、2才で16.8cm、3海峡では1才で体長13cm、2才で16cm、3才で18cm、6才で23cmになります。2つの群がみられる仙台湾周辺では、脊椎骨数が65にモードのある群は1才で体長13.0m、2才で16.8cm、3才で19.3cm、5才で22.1cmになります。一方、脊椎骨数が62にモードのある群は1才で体長8.3cm、2才で11.5cm、3才で13.0cm、海峡では1才で体長13cm、2才で16cm、3才で8cm、6才で23cmになります。2つの群がみられる仙台湾周辺では、脊椎骨数が65にモードのある群は1才で体長13.0m、2才で16.8cm、3才で19.3cm、5才で22.1cmになります。一方、脊椎骨数が62にモードのある群は1才で体長8.3cm、2才で11.5cm、3才で13.0cm、6才で15.8cmです。瀬戸内海東部では1才で体長8.7cm、2才で12.0cm、3才で13.9cmです。寿命は宗谷海峡周辺では6才以上、瀬戸内海では3~4才と推定されています。

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■食性
イカナゴ仔魚の主な餌は橈脚類(かいあしるい)のノープリウス幼生です。橈脚類の卵や珪藻類も胃の中に見られますが餌料価値は低いと考えられています。成長にともない餌のサイズも大きくなり、幼魚は橈脚類の成体を主に食べるようになります。
1才以上になると橈脚類のほか、海域によってはアミ類も主食となります。

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【イカナゴの夏眠】
■夏眠
本州に分布するイカナゴは『夏眠』という独特な生態的特徴を持っています。水温が上昇するとイカナゴは砂の中に潜り夏眠に入ります。
そして、初冬になると夏眠から醒め泳ぎ出します。夏眠期間は150日以上に及び、その間は餌を摂らず砂の中でじっとしています。夏眠期間中イカナゴは代謝を低く抑え、エネルギーの余分な消費を避けることによって高水温から身を守っています。また、夏眠中に生殖腺が発達し、夏眠終了後間もなく産卵します。

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■夏眠の場所
一般的に、夏眠場所は潮通しの良いきれいな砂地の海底に形成されます。したがって、きれいな砂地があるかどうかがイカナゴの分布を左右する大きな要因となっています。イカナゴは潜砂する砂の粒子径に対して選択性があります。夏眠場所となっている海底の砂の直径はだいたい0.25~4mmの範囲ですが、特に0.5~2mmで分布密度が高い傾向があります。実験的にも潜砂時にこのようなサイズの砂を好むことが明らかとなっています。また、シルト分や有機物の多いところは夏眠場所として適していません。

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これまで確認されている夏眠場所の水深は概ね20~50mですが、瀬戸内海東部では水深10mの所でも夏眠します。また、大型魚ほど深い場所で夏眠する傾向があります。
夏眠しているイカナゴの潜砂深度は4~10cm程度と推定されます。
潜砂密度の情報はほとんどありませんが、実験的には最大で1880尾/m2や1270尾/m2の値が得られています。
イカナゴの夏眠場所は青森県沿岸、三陸沿岸、仙台湾、茨城県沿岸、伊勢湾口付近、瀬戸内海の明石海峡周辺、備讃瀬戸周辺、芸予諸島周辺、および福岡県沿岸の玄界灘等、数多く分布していると推定されます。夏眠場の面積は、仔魚の分布域や漁場の面積に比べると狭く、かなり限定されています。

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■夏眠の時期
瀬戸内海東部では、水温が20~21℃前後、時期的には6月下旬~7月上旬になると砂に潜って夏眠に入ります。そして水温が13℃を下回る12月中旬頃に夏眠から醒め泳ぎ出します。伊勢湾では水温が21℃~12℃台となる6月下旬から12月上旬が夏眠期となっています。基本的に夏眠の開始と終了は水温が引き金となっています。仙台湾では、脊椎骨数が63の群は8月~12月に本格的な夏眠をしますが、脊椎骨数が65の群は夏眠期においてもある程度の摂餌をします。一方、北海道のイカナゴは夏眠しないとされています。

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同じイカナゴでも、脊椎骨数が違う等、地域によっていろいろな違いがあるんですね。
夏眠する場所の条件も砂の粒の大きさなどが関係します。
人間の力ではいかんともしがたいように思えてきます。

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山中勧/伍魚福社長
最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan