イカナゴの資源管理(公益社団法人日本水産資源保護協会「わが国の水産業 いかなご」より)
公益社団法人日本水産資源保護協会の「わが国の水産業 いかなご」の続きです。
今から15年ほど前のイカナゴの資源管理の状況をご紹介します。
資源管理を進めていたにもかかわらず、その後不漁の度合いは深刻化しています。
以下、この資料からの引用またはキャプチャーです。
【資源管理】
日本の多くのイカナゴ漁場では、乱獲等により一時的に資源枯渇の危機に見舞われましたが、漁業者、試験研究機関、行政等が一体となった資源管理の取り組みによって、危機を乗り越えた成功事例があります。一方、玄界灘のように一旦減少した資源がなかなか回復しない事例もみられます。
北海道宗谷海峡海域の資源回復計画
宗谷海峡海域のイカナゴの漁獲量は1995年や1997年には5万トンを超えていましたが、2000年以後は1万トン前後まで減少しました。また、資源量も1995年頃をピークに減少を続けています。この海域のイカナゴ漁獲量の約95%は沖合底びき綱(オッターおよびかけまわし)で漁獲されています。そこで、2002年以後の10年間で資源量を10%増大させることを目標に、沖合底びき網漁業を対象に2004年から操業期間の1ケ月短縮や休漁日設定等の漁獲努力量の削減措置が講じられています。
宮城県沿岸
宮城県沿岸では1983年まではイカナゴの幼稚魚(コウナゴ)を火光利用の敷網で、成魚(メロウド)を抄綱によって漁獲していましたが、1984年から主に沖合底びき網もイカナゴを漁獲するようになりました。その結果、資源状態が悪化し、既存漁業の漁獲量が激減し、漁業紛争にまで発展したため、1990年から火光利用敷網漁業の操業期間短縮、漁獲量制限、底びき網漁業の自粛を骨子とする資源管理が行われています。
伊勢湾
伊勢湾 では1965年頃から1975年頃イカナゴの漁獲量は急増しましたが、その後、急激に減少し、特に1978~1982年は大不漁に見舞われました。このような不漁を契機に操業規制の導入や資源管理が実践され、その後はかって
ような極端な不漁がなくなるとともに、漁獲量、漁獲金額とも増加しました。伊勢湾の資源管理は、
①夏眠場所の保全
②産卵親魚の保護
③解禁日の設定
④終了日の設定
の4つを柱に、漁業者、行政、試験研究機関が一体となった取り組みが行われています。
瀬戸内海東部
大阪湾・播磨灘では船びき網を対象に、
①産卵親魚の保護 ②解禁日の設定 ③終漁日の設定
の3つを柱に資源管理が行われています。播磨灘では2〜5月に成魚を漁獲しますが、産卵親魚を保護するため、産卵の終了を確認した上で解禁日が決定されています。1980年頃、イカナゴ稚魚の漁獲開始時期は次第に早まる傾向がありました。しかし、稚魚が十分成長しないうちからの早獲り競争に対する反省から、1986年の不漁を契機に、事前に漁業者が試験操業を行い、県や府の魚体測定結果から成長状態や成長の予測を行った上で、漁獲開始日を決める方式に変わっていきました。また、漁業地区毎に異なっていた漁獲開始日も統一されるようになりました。さらに、産卵親魚を残すため、漁期終盤には毎日の漁獲状況をモニタリングし、終漁日の設定が行われています。
漁況予測と資源管理
大阪湾・播磨灘では量の開始に先だってイカナゴの漁況予報が発表されています。漁況予測は、産卵親魚量、仔稚魚の出現状況、気象条件等の情報をもとに行われます。
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各地で解禁日を設定する等の資源保護を行っています。
伊勢湾での「漁法」の違いによる漁業紛争の話など、とても興味深いです。
スルメイカなどは、中国や北朝鮮の漁船が先に獲ってしまっているという話もありますが、早い者勝ち、となると資源保護どころではありません。
利害関係者が集まって、ルールを決める。
最近はSDGsが喧伝されるようになりましたが、その中でも「海の豊かさを守ろう」という目標がありますが、とても大事ですね。
兵庫県の「イカナゴ漁」。
2021年の解禁は、明日3月6日(土)です。
吉報を待っています。
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