食育授業における新しい挑戦
2学期に入ってから、協力してきた栄養教諭部会の授業の支援に行ってきました。授業は大成功でした。もちろん、どんな授業でも課題がないわけではありませんが、今回の授業には提案性があり、生徒の学びが深まり、そして時間内に予定の内容がしっかりと終わりました。素晴らしい授業でした。
教材づくりにも深く関わらせてもらっていたので、今日の授業で良かった点を振り返ってみたいと思います。
① 優れた授業展開
まず、授業プランの良さが際立っていました。中学校の授業でも小学校で実践したときと同様に、振り返りに授業のねらいに迫る言葉が見受けられました。
・様々な具材を組み合わせることでバリエーションをもたせることのできる味噌汁の良さ
・具材を変えることで手軽に様々な栄養をとれる良さ。
・家庭でも実際に作ってみたい。
などなどです。
味噌汁という題材の親しみやすや、給食のメニューとして作るという設定、そして様々な具材を組み合わせる試行錯誤、これらがしっかりと一時間の授業展開の中で練られていました。小学生と中学生のように、学年が異なっていても、味噌汁の良さに気づき、自分の食生活に生かしたいという目標に迫ることができました。この点からも、本授業プランが優れていたことが伝わります。
② ICT活用
次に、ICTの活用です。ICTは授業プランをサポートするためのツールであるべきです。今回の授業では栄養価計算スプレッドシートとパドレットが活用されました。
栄養価計算スプレッドシートは、自分が入れたい具材の量をシートに入力することでその分量あたりの栄養価を自動で計算し、レーダーチャートに表します。量を増やせば栄養価も増え、異なる具材を足すとグラフの形が変わります。生徒は自分が作りたいテーマに合った具材を選びながら、給食のメニューであることを踏まえて栄養価や分量を試行錯誤しながら調整していきます。この試行錯誤が何度もできるところがICTの最大の効果です。この試行錯誤によって、生徒たちは具材を変えることで栄養価が大きく変わることや必要な分量について気づいている様子も伺えました。ICTを活用したからこそできた教材だと思います。
もう一つがパドレットです。
一人ひとりが完成させた栄養価計算スプレッドシートは個人のファイルです。これを班や全体で共有するためのツールとして今回使ったのがパドレットでした。使い方はこんな感じです。発表用のシートをキャプチャし、その画像をパドレットにアップロードします。画像はクリックすれば大きくできますし、くずれたりもしません。力技かもしれませんが、良い方法だと感じました。パドレットの共有がいいなと思ったのは、全体の共有が開始されるとすぐに、一人の生徒がどんどんアップロードされてくる友達の資料を開きながら自分との違いや良さを呟いている場面に遭遇したからです。個人のファイルだと班の子たち以外と情報共有は難しいです。その点、パドレットを使うことで全体で情報共有が即座にできるので比較したり、まだ作業が途中の子は参考にしたりといったことも簡単です。これを話し合いやその後の全体でのまとめ時にも使ったのですが、学びを深化させる良いツールだと思いました。
栄養教諭の先生たちにとって、授業でのICT活用は新しい挑戦でしたが、準備を進めてきたことが生きた授業となりました。もちろん、授業としてもう少し熟れるといいかなという部分はありますが、自信がないからといってそこを避けたり、新たな提案のない授業は研究授業としてはものたりないものです。授業を通して生徒の学びの深まりが見られ、これまでにない授業をやってみようと取り組んできた先生たちが素晴らしいと思いました。
さて、授業は管内の研究授業でした。「私の市でもできるかしら、、、」「私には同じものが作れない、、、」「もし、授業でトラブルが起きたとき対処は、、、」そんな疑問や不安もあることでしょう。今年に入り、授業でのICT活用が一気にやりやすくなったと感じています。GIGA元年であった令和3年のとにかく活用させる段階から昨年度は教科での活用が模索され、今年はさらに使えるアプリが精査されたことで加速している感があります。この流れが、今後、後退することはないでしょう。そうであるならば、今、どう活用すべきかを考えるべきです。
今回の教材はデータを市内で先生たちが活用可能なクラウド上で編集しています。ですから、市内の栄養教諭の先生はもちろん、他の先生達にも配付可能です。これを管内に当てはめることができたら、管内のどの市町村の先生方も同じ教材にアクセスができ、協働でより良いものに完成度を高めていくことができます。
これまで、こういった教材は個人の財産で終わってしまうことが常でした。そこを発想を変えて、管内の共有財産として生かし、先生たちが利用しながらさらに良いものにしていく。これこそが、これからの時代に合った教材づくりの方法ではないかと思います。栄養教諭の先生たちの間でデータのやり取りを行ってもらうことで、他の部会にも同様の手法が広がれば、管内全体の教育のレベルアップにも役立つのではないでしょう。
思い入れのある部分から振り返りを書きましたが、そもそも栄養教諭部会の先生方の食育に対する熱さにも感激しました。どの改善案も具体的で素晴らしいなと思いました。しかも、みなさん素敵な人たちばかり!楽しい午前中でした。
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