学校での生成AIの活用:戦略分析プロンプト
はじめに
文部科学省の通知や今後の教育動向を探るために、「戦略分析のためのプロンプト」というものを作って利用しています。先日の研修会でも紹介・配付しました。
プロンプトの特徴と活用方法
もともと、このプロンプトは、文部科学省の通知などのPDF文書を生成AIに読み込ませることで、多面的・多角的な分析が可能にしたいなと考えて作成しました。私の勤務地の教育長がめちゃくちゃ頭の切れる方で、あらゆる話題に対して広い視野と深い洞察から的確な見解を示してくださいます。ああなりたいなと思いつつも、それは無理だなという自覚もあります。そこで助手(生成AI)を使うことを思いつきました。私自身の気づきを超えた視点を生成AIが提供してくれるため、非常に有用だと実感しています。
検索AIでの活用例
もともとPDFを読み込ませることで、ハルシネーションを回避しつつ適切な分析を行うことを目的に使っていましたが、最近は検索AI(例:Felo)を使うことで、より手軽に活用できると感じています。例えば、「令和6年12月26日に出された『初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)』」をキーワードにプロンプトを組み合わせることで、効果的な分析が可能です。ここで大切なのが「令和6年12月26日」という日付を入れることで対象を限定することです。これを入れないとこちらの意図しない年度の情報を引っ張ってくることもあります。生成AIは機械なのでこのへんを入れることがコツです。
現場での反応と可能性
管内の教員研修では、多くの先生方が単にAIの「使い方を知らない」という状況でした。しかし、研修後に「このプロンプトでルーブリックを作成しました」といった声が聞かれ、適切な使い方を知ることで新たな可能性が開けることを実感しています。
ICTと生成AIの創造的活用
教育現場でのICTや生成AIの活用には「アイデア」が重要です。例えば、ALTにオンラインホワイトボードの使い方を教えたところ、予想外の創造的な使い方を示してくれました。このように、既存の成果を基に新たな可能性を探ることで、より豊かな教育実践が可能になると考えています。
以下、Feloのスレッドを共有します。
戦略分析プロンプトの具体例
このプロンプトは、様々な教育課題(いじめ、第4期教育振興基本計画など)の分析に活用できます。以下にプロンプトを貼り付けておきますので、ぜひ試してみてください。
トレンド分析:
この資料に示されたデータから、今後3-5年で学校教育、特に授業実践に最も影響力が大きくなると予想される傾向は何ですか?また、授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれで、この傾向にどのように対応すべきでしょうか?
リスク特定:
現在の教育状況が続いた場合、授業実践や学校運営において、どのような潜在的なリスクや課題が発生する可能性がありますか?授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれで、これらのリスクにどう備えるべきでしょうか?
機会の発見:
この資料の情報に基づいて、今後どのような新しい教育機会が生まれる可能性がありますか?特に、授業を担当する教員にとってどのような機会があり、管理職としてそれらをどのようにサポートできるでしょうか?
ギャップ分析:
現在の教育状況と望ましい将来の教育の姿の間にはどのようなギャップがありますか?そのギャップを埋めるために、授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれでにどのような行動が必要でしょうか?
シナリオプランニング:
教育における最悪のシナリオと最良のシナリオを考えた場合、授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれどのように備えるべきですか?
相互関係の分析:
この資料に示された教育に関するさまざまな要因の間にどのような相互関係がありますか?それらが授業実践や学校運営の将来にどのように影響する可能性がありますか?
必要なリソースの特定:
将来の教育課題に効果的に対応するために、現在どのようなリソース(教員の専門性向上、教育技術など)を確保または開発する必要がありますか?授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれでどのように取り組むべきでしょうか?
先行指標の特定:
将来の教育変化や課題を早期に察知するためには、どのような指標やシグナルに注目すべきですか?特に、授業を担当する教員の立場と管理職の立場のそれぞれでどのような指標を重視すべきでしょうか?
まとめ
教育現場でAIやICTツールの活用が進む中、その可能性はまだまだ未知数です。多くの先生方は「使い方を知らない」という段階にありますが、一度その扉を開くと、驚くほど多様な活用方法が見えてきます。
例えば、管内で行った研修会に参加してくれたある先生はその後、ルーブリック作成に活用していると話していました。またオンラインホワイトボードを教えたALTは自分が想像もしなかった方法での活用を考えていました。新しいツールとの出会いが、実践の可能性を広げることを示しています。また、そういう新しいものに触れらることが私自身にとっても大きなメリットです。
私たちは今、教育におけるAIやICTの活用について、アイデアを共有し、共に学び合える段階に来ています。一人の試行錯誤ではなく、みんなでアイデアを出し合うことで、より豊かな実践ができるはずです!