【マンガ付き解説】『食べない子が変わる魔法の言葉』の中で「特に効果があった」もの(ネタバレ有り)
私の著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)というものがあります。
原作が発売されたのは2020年。当時開催していた人気講座「食べコミュ(食べない子が変わるコミュニケーション)セミナー」の内容を元に、本書を執筆しました。
元々は「食育ってなんだか難しそう」とか「料理をするのは得意ではない…」けど、食べない子に困っているという親御さん向けに「これくらいのことだったら、わたしでも出来るぞ!」と、今日からすぐに簡単に取り組める方法をお伝えしたい。
そんな思いから、子どもも親も楽しい食卓を日本中に増やしたいと思ったことが、これらのノウハウが生まれたきっかけです。
本書は原作が大好評で、お隣の韓国でも翻訳出版。2024年にはマンガ化されて、その漫画版が先日Amazonランキングで2位(←1位だったらカッコよかったのにw)になったことを記念し、内容についてを紹介&ここだけの解説も加えた記事を今回書くことにしました!
本記事では、特にこれまでの読者さんから「ここの内容が良かった!」「この魔法の言葉、声かけがよかった!」と著者である私の元に直接届いた、反響が大きかった「声かけ」と「理論」をランキング形式のベスト3で紹介します!
この内容だけでも今日から使ってみてくれたら嬉しいですし、これを機に「読んでみたい」と買ってくれたら、もちろんさらに嬉しいです!(とはいえ、この記事で出し惜しみはしません)
では、早速いきましょう!
ランキングベスト3〜声かけ編〜
1位「ぺろっとしてみたら?」
まず声かけの第1位から発表!(忙しい人もいると思うので)
映えある第1位は・・・・ダントツで「ぺろっとしてみたら?」でした!!
特に「今までひと口食べてみたら?」で食べてくれなかったのに、ぺろっとしてみたら?で口をつける回数が圧倒的に増えた!」という感想をほんっとーーーに多く頂きました。(自分でも驚くくらい反響が多かった)
私は普段、講演会や研修会の講師として、園や学校の先生向けに給食指導についてのお話をしています。
その中でもこの「ぺろっとしてみたら?」は効果抜群らしいです。
なぜ、これがそんなに効果が高いのか?
それは、子どもにとって「ひと口食べること」は、大人が考えている何倍もハードルが高いことだからです。
なんとなく「食べない」の次は「ひと口食べる」のような気がしますよね。
だけど、ひと口食べるまでにいくつかの段階があるのです。(ここら辺については理論編2位の「5つのステップ」を読むとさらに理解が深まります)
ぜひ「ぺろっとしてみたら?」をお試しください!
2位「そうきたか!」
反響の大きかった声かけランキング、第2位は「そうきたか!」です。
これは食べない子に対してではなく、子どもが食べなかった時に自分の心の中で唱える魔法の言葉になります。
せっかく一生懸命作ったのに、全く食べてくれなかった。そんな時、ついイライラしてしまうのも無理はありませんが、そんな時に「そうきたか!」唱えてみることを私はオススメしています。
食べないことも含め、普段子どもから“問題“を持ちこまれると
「はぁ、またか・・・」と落ち込んだり、
「どうしよう・・・!」と深刻になったり、
「なんでそんなことをしたの!?」と怒りたくなったりしてしまうはずです。
もちろん、そういった気持ちが湧き上がるのは自然なことですが、そこで感情的になりすぎてしまうと、平常心に戻るのには時間が掛かります。
感情的になったことで「もうイヤだ、何もやる気が出ない…」ということにも繋がりますよね。
だからこそ、そういうタイミングで「そうきたか!」と、心の中で唱えてみましょう!
そうすると、切り替えられたり、気が引き締まり、感情にエネルギーが発散されることを防げます。
3位「出してもいいよ」
声かけ編の第3位は「出してもいいよ」です!これは少し場面が限られてくるのですが、ぜひ知っておきたい声かけです。
ちなみに、どんな場面での声かけかというと、子どもが「食べたものを口からベーっと出した時」です。(ですから、小さい子向けの声かけになります)
そんな時、ついつい「汚いからやめなさい!」などと、強く言ってしまうことはありませんか?
しかし、子どもにとっては「食べ物を口から吐き出す」というのは、「まだ食べられない」という“サイン“のようなものであり、適切な処理の方法の1つです。
吐き出すことを怒ると、無理に飲み込もうとして、丸呑みや喉に詰まらせるなどのリスクも高くなるだけではなく「確実に食べられるものしか口にしない」というように、食わず嫌いになることもあります。
ですから、「食べられなそうだったら(飲み込めなそうだったら)、ここに出しても大丈夫だよ」という声かけをしたり、「まずは少しだけかじってみて」など、ごく少量から食べてみる形にしてみましょう。
以上『食べない子が変わる魔法の言葉』のランキングベスト3(声かけ編)でした!
ランキングベスト3〜理論編〜
『食べない子が変わる魔法の言葉』は、魔法の言葉(声かけ)の紹介だけではなく、食べない子が食べられるようになるまでの理論や心構えを、分かりやすくお伝えしているのが本書の特徴の1つでもあります。
ですから本の内容の中でも理論や心構えの部分で、特に反響があったものについてをランキングベスト3で紹介します。
1位「がっかりの公式」
まず1位は「がっかりの公式」です!
これは、なぜ食べない子にイライラしたり、がっかり落ち込んだりするのかを、分かりやすい“公式“でお伝えしたものです。
子どもが食べないと、イライラしたり、不安になったりすることがありますが、この公式が頭の中にあるかどうかだけでも、だいぶ変わります。
つまり、食べてくれるだろうという期待こそが、イライラやがっかりを生み出すということです。
その「食べない子に対するガッカリの公式」は以下の通りです。
【食べないに対するガッカリの公式】
食べてくれるだろうという期待(自分だけでコントロールできる) – 子どもがどれくらい食べるか(自分だけでコントロールできない) = ガッカリ度
多くの場合、「うちの子が食べないことでいま悩んでいる」と感じると思いますが、実はそれだけではないということです。
子どもが食べない事で、「きっと食べてくれるだろう」、「たくさん食べられる方が良い」、「美味しい!って言って欲しい」そんな自分の期待を裏切られるから大きくがっかりするし「あーもう、ごはんを作るのがしんどい・・・」となってしまいます。
とはいえ、「でも、食べないと栄養や成長が心配だし…」と感じると思うし、それはその通りだと思います。ですが、実は一見ネガティヴな出来事で、落ち込んでその場に止まるのか、それを前に進む材料にするのかはその人次第です。
たとえば、学生の時などの模擬試験で、悪い成績を取ってしまったことはありますか?
その時に「ああ、やっぱりダメか」と落ち込んでしばらく動けないか、それとも「これが本番じゃなくてよかったー!まだまだ点数を伸ばせることが分かったぞ!」と考えて勉強をするのかは、その人次第です。
なので、心持ちとしては、最初から「食べてくれるだろう」期待を持ちすぎないことが大切です。
2位「5つのステップ」
理論編の第2位は「食べないが食べられるに変わるまでの5つのステップ」です。
この内容が頭の中にあるのかないのかでは、コミュニケーションの取り方が全く異なっていきますし、食に対して前向きな興味を持てるか、それとも後ろ向きになってしまうのかも変わっていきます。
じゃあ、その5つのステップとは何なのかというと、以下のようになります。
ステップ1知らない(スタート)
ステップ2知る
ステップ3興味を持つ
ステップ4触れる
ステップ5食べる
です。食べない子が楽しく食べられるようになるためには、この5つのステップを踏んでいくことが大切になります。
今日、食べなくてもいいのです。
今日食べなくても、食は広がっていきます。
まず最初は、知ってもらうことや、興味を持たせることを大切にしていきましょう。興味を持たせることができれば「食べてみたら?」という強い提案がなくても、”自分から”「食べてみたい」というケースが増えていきます。
3位「1日1分ルール」
そして3位は「1日1分ルール」というものです。これは理論というよりも、マインドセット(心構え)になります。
分かりやすく書くと「食べない子への対応には1日1分くらいを目安で、やり過ぎないでOK」という事です。なぜなら、基本的に食べない子が変わるには、1日に何時間も掛けるよりも、毎日の中で少しずつ取り組んでいく方が大切だからです。
これは運動でも一緒ですよね。1日に長時間トレーニングをしたところで、しばらくは筋肉痛で動けないですし、次にやるときも「あぁ、またあのキツいトレーニングをしなければいけないのか…」と、億劫になり継続できません。
そして、継続ができなければ、成果を出すことは当然できません。それよりも、毎日できる範囲で取り組んでいくことが大切ですし、その方が着実に成果が現れていきます。
だから私がお伝えしているのは、取り組む目安は「1日1分」です!
もちろん「1日1分以上取り組みたい!」という意欲がある時は、取り組んでもらっても良いです。しかし、栄養士さんや調理師など専門職の方は別として、毎日の忙しいことも考えると、これくらいを目安にするのがちょうど良いと思います。
本の内容を実践するオススメの時間帯は、忙しい朝ごはん時よりも、比較的余裕が生まれやすい晩ごはん時です。もし、「今日は余裕がないな〜」という日は、その日はお休みしてもらって、自分が食事を楽しむことを大切にしましょう!それくらいの軽い気持ちでOK。
また、さらに言えば、私のところに相談に来るみなさんは、すでに色々な工夫を自分なりに試されているケースが多いのです。
それでもなかなか食べてくれず、周りに相談しても「そのうち食べられるようになるから大丈夫!」とだけ言われて、具体的な解決策が提示されなかったり、挙げ句の果てには「好き嫌いが多いからあまり甘やかさないでください」、「栄養が足りてないのでちゃんと食べさせてください」などと、責められたりしたというケースも多いのです。
だからこそ、私としても、やることを必要以上に増やしたくはないと思っています。無理をせずに、できるところから取り入れてくださいね。
と、いうことで今回は『食べない子が変わる魔法の言葉』の内容の中で反響が大きかったものランキングをお伝えしました!ぜひ、参考にしてみてくださいね。
追記.なぜ、コミュニケーション?本書が生まれた秘話
最後に、この本が生まれた秘話についてお伝えします。
この本が生まれたのは、私自身の体験によるところが大きいです。
具体的には、自分自身が会食恐怖を感じていた時に「無理して食べなくていいよ」と言われると、安心して食欲が湧いて食べられる。一方で「ちゃんと食え!」と言われると食欲が低下して、食べられないという経験をしたからです。
実際、調査によると「子どもの頃に『残さず食べなさい』と言われた時に食欲が湧きましたか?」の設問に対して、1番多かったのは「食欲は低下した」の回答が73.9%という調査結果もあります。
そんな経験を経て「食べない子への有効な声かけを、多くの人は誤解している」と感じ、適切な声掛けを広めていきたいと思ったからです。
原作が発売されて4年経った今でも、まだまだ手に取ってくださる方が多く、感想もSNSのDMなどでよくいただきます!
今年、漫画版を出版する際に、改めて自分でも読み返しましたが、(編集者さんやイラストのこたきさんのおかげもあり)本当に良い本です。内容も難しくないので、簡単にスラスラ読めるのも良いところ。
お持ちの方は、また読み返していただければ嬉しいですし、これを機に興味を持った方はぜひぜひ、手に取ってみてくださいね。
それでは、最後までお読みいただき、有難うございました。
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