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“ミルクボランティア“ってなに? 保護猫写真家・三吉良典さんの活動とは
この秋、新たに発売となるヤマケイカレンダー2023『こねこと暮らす 保護猫チャリティーカレンダー』。
今注目される保護猫写真家・三吉良典さんの撮影した保護猫たちが、12ヶ月をやさしく彩ります。売上の一部は、公益社団法人アニマル・ドネーションを通じて支援先団体へ寄付されます。
ーーなぜ「保護猫写真家」になったの?
ーー三吉さんの行なう「ミルクボランティア」って?
本カレンダーの発売にあたって、三吉さんに保護猫活動や写真への想いについてお聞きしました。
◆プロフィール
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三吉 良典(みよし・りょうすけ)
保護猫写真家。滋賀県大津市出身。 11億人超の評価によって約3,300万作品の中から選ばれた、2020年の東京カメラ部10選の1人。 趣味の写真を活かし、保護猫の魅力を写真で伝え続けている。今やSNS総フォロワー数約10万人に上り、TVほか、メディアにも多数出演する。
Instagram @Ryostory1124
Twitter @ryostory1124cat
Q1. 保護猫撮影を始めたきっかけは?
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約6年前、動物保護活動をしている友人が、あるイベントで子猫の里親募集をしていて。元々私は写真を趣味にしていたので、その子猫の写真を撮らせてもらいました。
すると、その写真を見た友達が、「こんなに可愛く子猫を撮ってもらえて嬉しい!」、「ほかの子猫たちも撮ってほしい!」と、ものすごく喜んでくれたんです。また、私自身のSNSのフォロワーさんからも、これまで経験したことのないほどの大きな反響を頂きました。
その時に、「もしかしたら、趣味にしている写真で、何か保護猫活動の力になれるかもしれない」と感じたことがきっかけで、保護猫の撮影を始めました。
Q2. 撮影の際、気をつけていることは?
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なによりも一番は猫ちゃんの体調です。
基本的にはまだ小さな子猫を撮影しているので、成猫以上に気をつけなければなりません。体調が安定している子のみ撮影するのはもちろん、撮影中に少しでも子猫の様子に異変を感じたら、直ぐに中断します。
あとは、やはり撮影時の環境です。
気温や天候などが猫にとって過酷な環境では撮影は行ないませんし、虫や動物などの外敵や、周囲の植物の毒性などにも注意しています。
また、撮影時は複数のアシスタントを周りに配置し、安全を確保しています。
Q3. モデルの子猫たちは保護猫?
私は写真家として活動するほか、個人でミルクボランティアを行なっています。
カレンダーに登場する子猫たちは、SNSなどを通して連絡を受けて、保護し、私がミルクボランティアでお世話をした保護猫です。
現在はみんな里親さんの元で元気に暮らしています!
Q4. 三吉さんの行なうミルクボランティアについて教えてください
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「ミルクボランティア」は、簡単に言うと親猫の代わりに赤ちゃん猫を育てる活動です。
活動は本当に大変で…… 2〜3時間おきにミルクをあげることに加え、排尿や排泄(こねこ自身ではできない)のお手伝いや、こまめに体重チェックなどの健康管理もします。
1匹ならともかく、猫の兄弟みんなを保護する場合もあるので、多い時には7、8匹を同時にお世話することもあります。
みんなが哺乳瓶からミルクを飲んでくれたら随分ラクにはなるのですが、上手く飲んでくれる方が少ないです。
飲んでくれないと、また一からミルクを温め直し、哺乳瓶以外のシリンジであげたり、どうしようもない時はカテーテルなんかであげたりもします。
私は最も多い時で、一度に7匹の赤ちゃんを保護していましたが、睡眠時間はほぼゼロで痩せこけてしまいました(笑)
そんな子猫たちが、ミルクから離乳食を食べられるようになり、トイレも自分で行けるようになり、人馴れして、健康面でも安定してきたら「里親募集」をします。
里親募集→お見合い→トライアル→正式譲渡契約
という流れで、私のお世話は一旦ここで終わりになります。
その後は里親さんと猫ちゃん達の様子について情報交換したり、こまめに連絡を取り合いつつ、里親さんご家族と猫ちゃんを見守っていく形になります。このような活動が、私の行なう「ミルクボランティア」です。
Q5. ミルクボランティアはなぜ必要?
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動物虐待や飼育放棄によってペットが棄てられたり、保健所に持ち込まれる事例が、最近はテレビやSNSなどでも頻繁に取り上げられ、目にするようになりました。
そういった保健所に収容された動物の多くは殺処分されてしまいますが、その中でも子猫の占める割合は圧倒的に多いのです。
これは持ち込まれる数自体が多いこと、そして哺乳期の子猫の世話には人手が必要であることも関係しています。そんな子猫を救う活動の一つが、このミルクボランティアなのです。
私が数頭助けたところで、殺処分を無くすことはまず不可能です。
正直、殺処分の数字をゼロにするには、動物たちに関する法律を改善したり、生体販売の見直しなど、国レベルで動かなければ難しいと思います。けれど、そんな夢を指を咥えて待っている間にも、尊い命がまたひとつ亡くなってしまいます。
一人の力は微力かもしれませんが、集まれば大きな力になります。今はSNSの拡散力を活かし、多くの人の心を動かすこともできます。
実際に、殺処分の頭数は年々右肩下がりに減っていますし、「保護犬」「保護猫」という言葉も随分と世の中に認知されるようになりました。
私のような個人でも、SNSの力を活用すれば、大きな力を発揮できると信じています。だから私は、一人でも多くの方に保護猫の存在を伝える為に、この保護活動を、そして写真家としての活動を継続しています。
Q6. チャリティーカレンダーへの想いを教えてください
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私は撮影した保護猫たちの写真で、写真集やカレンダーを出版することが夢でした。
もちろん自分の写真が本やカレンダーになるという意味でも純粋に凄く嬉しいわけですが、何よりも嬉しいのは「たくさんの人に保護猫を知ってもらう」ことが出来るということです。
保護猫の存在だけでなく、猫たちの魅力も、カレンダーで最大限に伝えられると感じています。保護猫はみんな本当に可愛いんです。
このカレンダーを見てくれた人に「保護猫ってこんなに可愛いの?」なんて思っていただけたら、凄く嬉しいです。
そして実際に保護猫と触れ合い、家族に迎えて下さる方が増えたら、写真家冥利に尽きるな……と思っています。
Q7. 保護猫写真に込める想いとは?
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“人の心を動かしたい”
これはずっと私の中で掲げている目標です。
私の写真を見てくれた人が、感動してくれたり、癒されたり、時には笑ってくれたりと、何かを感じてくれるような写真を撮り続けたいなと思っています。
私の写真を通して、一人でも多くの人に保護猫について知ってもらい、関心を持ってもらえたら嬉しいです。
(写真・文=三吉良典)
本カレンダーは、公益社団法人アニマル・ドネーションの『+イイコト』企画に参加しています。
売上の3%はアニマル・ドネーションを通じて、支援先団体へ寄付されます。
https://www.animaldonation.org/various_donation/iikoto/
あなたも保護猫との暮らしを、まずはカレンダーから始めてみませんか。