【読書感想文】シカゴを舞台に女性私立探偵の活躍を描く、V・I・ウォーショースキー シリーズ第一作『V・I・ウォーショースキー』
ヴィク(V・I・ウォーショースキーの愛称)は、シカゴを拠点にする女性私立探偵。彼女はある夜、事務所を訪れた男から、息子の恋人の行方を捜してほしいと依頼される。簡単な仕事に思えたが、訪ねたアパートで出くわしたのはその息子の射殺死体だった。依頼人が被害者の父親ではないことも判明し、さらには暗黒街のボスが脅迫をかけてくる。圧力にも暴力にも屈しないヴィクは、保険金詐欺や政治スキャンダルに巻き込まれながら、真相に迫っていく。
この本のテーマは、女性探偵としてのアイデンティティです。ヴィクは犯罪が渦巻く探偵業という、男性社会で生きる強さと自立心を持ちながらも、女性としての感性や感情も大切にしています。彼女は、自分の信念や正義感に基づいて行動し、時には権力や差別に対抗する。しかし、それが彼女に危険や孤独をもたらすこともあります。
そんな本書のおススメポイントは、主人公ヴィクの魅力的なキャラクターとシカゴのリアルな描写です。ヴィクは、頭脳明晰で勇敢でユーモアがある、まさに探偵にうってつけの人物。彼女は、ブラック・ラベルを飲みながらオペラを歌ったり、格闘技で悪党と立ち回ることにも躊躇しません。また、シカゴの街並みや風土も生き生きと描かれており、舞台として魅力的です。シカゴ・カブスの試合やスティーブンソン高速道路の渋滞など、地元の人々の暮らしや文化も細かく描写されています。
サマータイム・ブルースは、サラ・パレツキーの処女作であり、V・I・ウォーショースキーという魅力的な女性探偵を登場させた画期的な作品です。物語はスリリングでスピーディであり、シカゴのリアルな描写やウィットに富んだ会話も楽しめる。女性探偵ものに関心があるなら、ぜひ読んでみてください。
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