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【読書感想文】自由な旅と愛の帰結、心を打つ絵本の傑作『かいじゅうたちのいるところ』

森の中に現れた不思議な世界で、自分だけの王国を築いた男の子の物語。モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』は、そんな心躍る冒険譚である。

いたずら好きの主人公マックスは、怒ったお母さんに寝室に閉じ込められる。すると、部屋は森へと変わり、長い航海の末、マックスは恐ろしい「かいじゅう」の国へたどり着く。そこで彼は、かいじゅうたちの王様として君臨し、楽しい時間を過ごす。しかし、次第に家が恋しくなり、最後は自分の部屋に戻ってくる。

物語の中で、マックスがかいじゅうたちと過ごす時間は、子供の自由な発想と無邪気さを象徴している。しかし、その中にも家族への愛情や帰属感が見え隠れする。特に、かいじゅうたちの王様としての役割を果たしつつも、自分の家を恋しく思うマックスの心情には深く共感できる部分があった。

また、センダックのイラストは非常に魅力的で、かいじゅうたちの表情や動きが生き生きと描かれている。ページをめくるごとに、新たな発見があり、何度でも楽しめる絵本である。この本を通して、自由や帰属感、そして愛について改めて考えるきっかけを得られるだろう。

私自身も、この絵本を読むたびに、冒険心とともに家族への感謝の気持ちが芽生える。『かいじゅうたちのいるところ』は、子供だけでなく、大人も楽しめる作品であり、心に響くメッセージを持っている。この絵本を手に取ってみれば、マックスの冒険を通して、自由と愛、そして帰る場所の大切さを再認識することができるはずだ。

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