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ブラジルのアマゾン川河口の街で3か月もすごした毎日

どう?
生成AIでイタイ目に合ったのにちょっと遊んじゃった。
ブラジルっぽいでしょ?

『タチバナカオルの消失』ばかり書いていると正気を疑われるから普通の記事も書こうと思ってね。

17で高校中退して、インド、東南アジア、ヨーロッパ、南洋。
それくらいで3年くらいかなぁ、母に一度、呼びもどされたわ。

なぜアメリカやヨーロッパではなくブラジルに行くことにしたの

はて、どこに行こっかな?
アフリカはインドに行ってたからちょっと想像できてイヤだった。
オーストラリアやカナダもアメリカやイギリスの経験から想像がついたわ。

ブラジル。

孝行でおばあ様とお母さんと行った伊豆諸島の初島のリゾートホテルで天啓のように浮かんだの。

南洋の旅行ではスキューバなんかもしたけれど、慰霊の旅でもあったのよ。

ブラジルは開拓民が多く行ったところ。

よし、行ってみっか。

ブラジルは遠かった、シアトルからロサンゼルス、そして、

かなり省くけれどシアトルに友人がいて、合流、ロスに行って、そこからヴァリグ・エアー(ブラジルのフラッグ航空)でようやくサン・パウロ。
寒~い。
高地なのね。
ようやくサントスに南下してあったかくなったわ。
ここでサーフィンの楽しさを経験したの。

ブラジルは徹底的にバス旅行

沢木耕太郎にあこがれたわけじゃないわ。
とにかくブラジルは大きい。
小さな町も見たい。
ほかのスペイン語圏の国は捨てる。
ブラジルだけ徹底的に見たい。

鉄道だと主要都市だけ周ることになりそう。
路線バスで行こうって決めたの。
サン・パウロで日葡葡日辞典を買ったわ。
英語が通じないんだもん。

ウバツーバなんてサーフィンのメッカを通って、リオへ、そこからミナスジェライスっていう炭鉱の盛んだった内陸部へ、また大西洋の黒人奴隷の輸入基地だったバイーア州へ。
いくつもの町や村を回ったわ。

ビザは半年で切れちゃった。
しょうがないじゃないじゃない。
移民局がないんだもん。

でも出国のときに罰金を払えばいいって知っていたからそれで良し。

バイーアから大西洋をカーブしてアマゾンを目指したの。

でもアマゾンの河口のベレンっていう街でチカラ尽きた。

シュラスコは旨い、ボッサノバもいい、でも甘い米は許しがたい

肉を大きな棒から切りわけるシュラスコ、おいしいわ。ボッサノバもいい音楽。
でも寿司屋をやっと見つけたら、米が甘酢。これはきつい。
あと日本語の活字に飢えていたの。

そこでアマゾン川の河口のベレンっていう街。

こここでは本格的な日本食屋もあったし、なんと日本語の「本屋」もあったのよ。

それに半年の一人旅。

  • でもここでドイツ人のリヒターっていう旅行者くずれと日本人のサイトウという板前とトモダチになっちゃった。

それで腰が動かなくなったのね。

ベレンでの毎日

朝、ポン・コム・オヴォ、つまりパンに卵をいれた朝食をいつもの喫茶店でたべるの。
それからアマゾン川の支流をながめにいくのが日課だったわ。
ホテルにもどってブラジルのきついタバコを吸って本を読んで夜を待つのね。

サイトウのレストランにはリヒターがちらし寿司をかならず食べていたわ。
ダイエットに良いって信じているの。
「米は太るよ」とは言えなかったわ、ドイツ人の信念を曲げるのはタイヘンだから。
リヒターはステーキは食べないのよー、刺身を食え。

サイトウは日本語とポルトガル語、リヒターは英語とポルトガル語、私は英語と日本語。
飲むにつれ、おたがい3言語を通訳しながらいろんなハナシをしたわ。

リヒターはミュンヘンの出身。
「あそこの科学技術博物館はすごいそうだな」
「おぉー、よく知っているな、行ったことがあるのか」
「残念ながら書物で読んだだけだ。でも自転車からオートバイクへの発展、パラグライダーから飛行機への革新が一人のブレークスルーではなく、必ずそうあるべきだった必然だったと証明される展示になっている、と聞きおよんでいる」
「カオルは日本人ではめずらしいモノの見方をするな」

サイトウは移民のようなカタチでブラジルに来たらしくその来歴を多くは語らなかった。
一日、ブラジル人妻とその連れ子の家へリヒターと私を招待してくれたわ。
ヤシガニがバケツいっぱいに準備されていた、私はちょっと苦手なので数杯食べただけだけれど、リヒターは袖をまくりヤシガニ退治退勢にはいったわ。

ほんとうはアマゾンの奥地のマナウスまで行くつもりだったけれど、なんだか「もう、いいや」って気分になって、リヒターにもサイトウにも別れは告げずに3か月のあと、飛行機でサン・パウロへ、オーバーステイの罰金を払って日本へ帰ったわ。

サイトウのレストランに葉書を送ったけれど、返事は来なかったわ。

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