誰かや何かのせいにしがちな僕は、肩を震わせ歩く中学男子にハートを射抜かれた。
うちにはテレビがない。
かれこれ8年ほどテレビのない生活をしているが、何の不自由も感じない。
気になるドラマならTVerやNetflixで観る事ができるし、不要なニュースを見ずに済んで精神衛生にも良い。
たまに実家に帰った時などにテレビを観ると、バラエティ番組のタレントさんが急に老け込んだように見えたり、顔が変わっていると感じたりして面白い。
天気予報は先々の予定がなければその日の天気しか見ない、というか完全に見ない。
雨が降りそうだなとか、今日は絶対降らないだろうとか、空を見て、直感でその日の天気を予想している。
外れたとて、それは自分の直感が冴えていなかっただけなので、誰かのせいにしなくてよいので気楽だ。
だって僕ったら、天気予報を当てにしていたら天気予報のせいにしてしまうんだ、もん。
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何かうまくいかないときだって、すぐに誰かのせいにしようとしてしまうのが僕だ。
だから誰かのせいにする気にならないように、ベストを尽くすようになるべく心がけている。
ベストを尽くせば、誰かのせいにせずとも、「ベストは尽くしたから」って言えるもんね。
天気は予報を見なければ仕方がないと思いきや、予報を見るのをやめて、なるべく直感で予想すれば、天気予報のせいにしなくて済む。
無駄に何かのせいにしない為の選択を心がけたら、それだけで僕は以前より心が楽になった。
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今朝、あまりに寒くて目が覚め、これは流石に…と思い天気予報をスマホで見たら、やっぱり寒波が来ているとのことだった。
昨日から雪もちょっとだけちらついている。
寒い寒いと思いながら職場に向かって自転車を走らせていたら、上着を着ずにワイシャツだけの中学男子が肩を震わせて歩いていた。
いや、そりゃそうだろ。
と思いながら中学男子を追い抜いて、ちらっと顔を見たら、めっちゃ笑っていた。
僕の気持ちはとても明るくなった。
「お母さんがこのオレに玄関先で気付いて上着を羽織らせてくれたらよかったのに!」
とか、
「なんでオレは上着忘れてんだよ、このバカっ!」
みたいな事だったら、あんな顔にはならない。
きっと、
″オレってバカだなぁ!″
と、心から思い、その自分を受け入れたのだと思う。
とっても清々しい、バカの鏡みたいな笑顔だったもの。
中学生にして、その境地に立てるなんて凄過ぎる。
多くの人は、〇〇さえすれば成功する!とかいうものに食いついて、結果成功しない自分に苛立ち、そのノウハウをコケにしているっていうのに。
自分のバカさを笑えるなんて、凄過ぎる。
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何かのせいにしない選択を心がけている僕より遥かに先を、彼は肩を震わせ歩いていた。
「うちにはテレビがない」って言うのだって、実のところ僕自身どこか誰かに自慢したくて言っているところもあるし。
そう思うと、
僕ってバカだなぁって、笑えてくる。