短歌86
お昼ごはんベンチで食べたりもういないバンドの曲を聴いちゃう季節
岩のぼこぼこに桜蕊 あたしがあなたのためのあたしだったこと
鮮魚、ひかり、真空パック、頬の傷、かなしくなる曲を聴きあって
人のことすぐ大切に思う癖 ビル風にさくら巻き上げられて
コンバースの空き箱ずっととってある人魚に戻れば履けないから
聞いてないよーって雨が多いよぱんぱんのエコバッグ提げて行く春の道
花筏あなたにしたかった話をやがて忘れていくまでの時間
嫌われたい?わからない味の飴玉を学校用の鞄の底に
ファミレスの後には服がファミレスの匂い だんだんわたしになって?
反シャッフル再生きみとの思い出をいつまで整然と覚えてよう
魂に三グラム砂糖を足して魂じゃないよって言い張んの
東名の入口でずっと振り返るちゃんとわたしを置いてけたかな
違い分かんないけどきれいな水色がたくさん並んだわたしの来世
三茶の三角のどこかで待っていて何回大学生になっても
夜風あたたかくなってまいりましたけども猫にあくびってうつるんかいな
ごりごりに加工した写真みたいな絵きみって呼ぶからきみって呼んで
手に書いた仕事のメモがまだ消えない、あなたの蛍光灯のちかちか
青い潮 胸糞悪い記事だけど感情が動いてうれしかった