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チェリーとチェリーと未開の地

買い物がてら職場のもう一つの最寄り駅とされている駅まで歩いた。よく分からないちっちゃい中洲とか、それに伴ったちっちゃい横断歩道とか、いい感じの街灯に照らされたでっかい壁などがあり、いい感じだった。街の使い方が知っている街と違う街のこと、いつも好きだなと思う。

新生活を機に化粧を頑張ってみるフェーズを通り越して、すっぴんだって疲労感の演出という意味では立派な化粧だわ、などとうわごとを言うフェーズになってきた。けど、また新しくパッケージの可愛いアイテムを買うだけ買ってしまい、もうほとんど趣味の出費と化していて、乗り物酔いの末にやっとの思いで辿り着いたデパートの入ってすぐの、強い匂いと眩しさでとどめをさしてくる化粧品売り場を憎まずにはいられなかった元理不尽激酔いチャイルドとしては、にわかには信じ難い現状なのだった。


先輩たちとおいしいイタリアンをいただく。解散したら寂しくなったのでカラオケに寄って、歌っている間になんとなく履歴を見たら前の人が最後に歌った曲とわたしが最初に入れた曲が一緒で怖かった。

お分かりいただけただろうか


夏井先生が来るらしい。ポスターに笑顔の先生と残席僅かとの文字が躍っていて、そうあることではないので早出早上がりで強引に参加した。
開演したと思ったら市長の挨拶から始まって面白かった。公的な式典?

わたしも含め初参加の人が多く、「未開の地!」と大喜びの先生は真っ赤なワンピースをお召しになっていて、格好は大きく違えどテレビの向こうの人がそこにいるのはミーハー的にも楽しかったし、テレビ以上の長尺で喋り倒していただき、めちゃくちゃ面白かった。隣の席のゲラなお姉さんとずっと笑ってた。
言われた通り、時間の関係で紹介出来なかった優秀句の中に自分もいたと思い込みつつ(とはいえ本当にそうだった場合あまりに悔しい、景品が貰えなかったからというわけではなく)、無事「五分で俳句を作れる体」にされ、「時々物や金が当たる人生」に近づいて帰路についた。
話題に上った伊藤園、前から一度は挑戦してみたいと思いつつ、ペンネームが使えないのがやっぱりちょっとネックだ。本名を知るあなたやあなたに見つけてもらいたい気持ちも、それはそれとしてちょっとあるけれど。

私事だけど夏井先生はうっすら祖母に似ており、末長くお元気にご活躍されてほしいとなおのこと思う。
俳句は脳の血流が良くなり認知症予防になる、しかし五十年やっている自分も才能ナシの句を作る人も活性化の仕方は不本意なことに同じだった、私ひとり百五十まで生きたっていいじゃないと先生は熱弁されていて、良かった。


月へ出す絵手紙だから月を描く月でも月が見られるように

唐辛子 あなたの走馬灯における評価の高い短編がいい

同じだけ住んでてもまだこの町のあるあるをわたしは解さない

出掛けても結局最寄りまで戻って麺少なめのタンメンだった

/山形さなか

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