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スマホを忘れた日

出勤の日だったが、スマホを家に忘れた。

充電から外して、カバンに入れ忘れたらしい。

思えば大袈裟でも何でもなく、24時間身体から30cm以内の位置に身に付けているよな。これは凄いことだ。

決してその事が、憂慮すべきことだ、とか、称賛すべきことだ、とか、そんな風なことではなく、
ただただ客観的事実として、これスゴくね?って思う。

スマホはもはや俺の臓器

キュウソネコカミ「ファントムヴァイブレーション」
2013年リリース

                

                 痛っ   


そんな臓器たるスマホを今日は忘れたのだ。


(あー忘れたー)
朝、職場に着いてまず思う。

就業中は業務に使わないので触らない。

昼休み、(そうだ、スマホないんだった)。

だいたい気になったことの調べものやメールの処理や返信や業務外の用事やらを、いつもは昼休みのうちの15分ぐらいを使って、「ホリエモンが多くの仕事をゴルフのラウンドの合間にスマホで済ませてしまう」というエピソードをトレースするように、サクサクと片付ける。そうやって片付けている自分に酔っているのだ。

今日はその自己陶酔作業ができない。

菓子パンをかじりながら110円のホットコーヒーをのみ、考える。

(せめて調べものは済ませたいな…)

コーヒーを傍らに置いて、職場のパソコンで検索できるものは検索する。ブラウザからメールアカウントにログインし、必要な返信と文書作成を終える。

(結局ネットありきの生活やんか)

何らかのデバイスに触らないと僕は生きていけないようだ。


夕方、主要業務を終え退勤時間を待つ間、手持ち無沙汰になる。いつもならスマホでやってる作業は、昼休みにPCのブラウザで済ませてしまった。

(結局、俺もホリエモンに負けてへんで)

少なく見積もって10万回以上は不戦敗していると思うが、要は雰囲気が大事だ。

(俺も負けてへんで)。


もはやPCでもすることがなくなったので、今度こそ本当にもはや何もすることがない。

口を開けてぼーっとして退勤時間まで座っていた。


おしまい。