春のにおい2
今年も春のにおいがやって来た。
同僚に「春のにおい」について説明したがビンと来てなかった。僕の「春のにおい」は共感を呼ぶものと思っていたが、どうやら違うようだ。
「春のにおい」は例えば、桜のにおいではない。何か個別具体的な特定のこれというものではない。そういったにおいは例えば、あるところ、ある地点に行けば香るものだ。
においは変化で気付くのだと思う。此処彼処、辺り一面同じにおいは「におい」と認識しない。ずっと同じにおいの場所からふと何かの前を通り掛かった時、ある違う香りに気付く、そんなものだと思う。
しかし僕の意味するところの「春のにおい」は違う。どこにいても香る。どこにいても香るから分からないのかもしれない。
辺り一面そこかしこ。
どこにいても地面の割れ目、湿気でほぐされた土の部分、新芽の息吹き、葉脈のすじを伝う朝露、
辺りの全てから
春はにおっている。
気づいてくださいな。