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回復期リハの大義名分

回復期リハビリテーション病棟でのリハビリ(回復期リハ)では常に大義名分が要る。

大義名分というのは「目標」と言い換えられる。
リハビリテーションにおいて、「目標」が要るのは回復期リハに限ったことじゃない。しかし回復期リハの「目標」は少し特別だと僕は思ってる。

自宅復帰に向けて期限付きで数か月間リハビリに集中し続けるには、常に患者さんの目の届くところに実現可能性のある目標を置くことが必要。そしてその実現可能性の程度も、少し頑張ったら届くかどうかの難易度で設定しないといけない。ぎりぎり届きそうになかったら、セラピストが患者さんを引き上げる努力をする。

時期が経って、ある程度良くなってきて、達成すべき目標がなくなってくる時がある。当初の最終目標だった自宅退院は達成できそうだけど、諸々の事情で退院日がまだ決まっていない時期に、目標がなくなってくる。次の目標がなく宙ぶらりんのまま入院期間が続く時期がある。その時患者さんは、先の見えないリハをしないといけないような感覚に陥ることがある。担当セラピストも同じ気持ちになりそうになる。

数か月間集中してきて、人間、集中は切れるもの。
バーンアウト。燃え尽き症候群。そうなる前に、セラピストは大義名分を作らなあかん。
大義名分は、なかったら作らなあかん。作るのも技術。

患者さんに、次の話をする。家に帰ってからの話。帰ることがゴールではない。帰ってからがスタートですと。燃え尽きても構わないんだけど、燃え尽ききらないように、帰ってから生活は続くんだから、少し先の、そのまた先の、絶妙な大義名分、目標を作る。

それを作るのが、僕の仕事。