意図しない夢から目覚めて

朝、目覚めて思った。どうしてこんな夢を見たんだろう。
それはずいぶん昔の実らなかった恋を引きずった夢だった。
あれからもう何十年も経っているのに、私の心の奥底にはその失恋のトラウマのようなものが残っているんだと改めて思った。

そう言えば何となく後味が悪い恋の夢は、昔から時々見ていた。

私は思った。
人は上手くいかなかった恋のことをどうにか忘れようと心の奥に閉じ込めているけれど、ふとした時にその蓋が開いて、痛い思い出が蘇るのだろうと。

相手には虚しく響かない言葉、叩いても叩いても開かない扉、そして崩れていく私。
私はその恋で思いっきり傷ついていた。

でも、夢から覚めて私は思った、本当はもうとっくに卒業できているんだと。

そして私はつぶやいていた。

「昔の思い出に傷ついているのは本当にお馬鹿さん、はるか昔の人生の一ページなんだから・・・」と。
意図しない夢から覚めて、私は逞しく生きている自分にエールを送った。

 
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