母に贈った人生最高のプレゼント
親しい人にプレゼントを贈る時って、物凄く悩みますよね。
「相手が喜んでくれるもので、自分自身も納得できるものにしたい」そう思うと選ぶのに時間がかかるのは当たり前です。
私は「93歳を迎える母のお誕生日に、これまでの感謝を込めて、心に残るプレゼントがしたい」と思い、悩み抜いてあるプレゼントをしました。
それが、私が母に贈った人生最高の贈り物になって、とびっきりの親孝行ができました。
【人生の宝物】
私が母にプレゼントしたのは母が創作した作品をまとめた「イラスト俳句集」です。
そのタイトルは「ばあばの春夏秋冬」
贈ったイラスト俳句集の中には母がこれまでに創作してきたたくさんのイラストと俳句のコラボ作品から厳選した49作品が収められています。
B5サイズで、60ページ程の作品集です。20冊作ってプレゼントしました。
私がこのイラスト俳句集を贈った日から、母は毎日それを愛おしそうに眺め、作品を一つ一つ飽きることなく楽しんでいます。
母が冊子を手に取りながら言いました。
「あんた、毎日見ても飽きんのよ、見る度に幸せな気分になるんよね」
「お母さん、そんなに嬉しかった」
「あんた、ホントにありがとう、これは私の宝物よ」
その冊子は我が家のピアノの上に置いてあって、母が何時でも見られるようになっています。プレゼントした日からその冊子は母にとって何より一番大切な宝物になりました。
そのイラスト俳句集が誕生するまでにも、私たち親子には、様々な奇跡が訪れました。その驚きの奇跡をご紹介します。
【親子のブログ発信】
2020年春、私は勤めていたテレビ局を65歳で定年退職しました。
自分なりに仕事に一生懸命で、仕事優先の毎日でした。
43年間勤めたマスコミでは、アナウンサーやディレクターをしていたので日々創作し伝達することが私の仕事であり生きがいでした。
定年を向かえて、毎日好きな事が出来るようになっても、仕事優先の人生を送っていた私には、有り余るゆとりの時間をのんびりと過ごすと言う選択は苦痛でしかありませんでした。
内に燃える創作したいと言うマグマを噴出させる場所が必要だったのです。
私の定年は奇しくもコロナ禍と共に始まり、自宅に籠る毎日でした。90歳になった母の介助も加わって、暗く長いトンネルを走り続けているような日々でした。
悶々とした毎日を送っていた私に閃いたのがブログ発信でした。
そこに私の未来が見えた気がしたのです。
SNSに長けていたわけでも無い私が、発想した自己認識の場所がブログの発信でした。
定年後の私の新しい挑戦が、私たち親子に奇跡を生んだのです。
私がメディアで経験した様々な出来事や、培ったノウハウを少しづつ書いていけばテーマには困らないし、自分自身のエネルギーも燃焼できて、創作する力も衰えないだろうと考えました。
制作者としてのプライドもあったので、他にはない珍しいブログにしたいと思い、親子が二人三脚で発信するブログにすることにしました。
65歳の娘と90歳の母親が仲良く発信するブログです。
そんなブログはきっとあんまりないだろうと考えて、母を私のブログ発信に巻き込んだのが大きな奇跡を生んだのです。
私は長年俳句をたしなんでいた母の句を毎日紹介すれば、よりブログの個性が出るだろうと考えました。思い立って相談した時、母はあまり乗り気ではありませんでした。
私は母に「好きな俳句を全国や世界にPRするいい機会だと思うよ」と伝えて説得しました。
自分の俳句を誰かに知って欲しいと言う、母の自己認証の欲求がある事は分かっていたので、きっと協力してくれるはずだと思ったのです。
「お母さん、SNSは凄いよ、会ったことが無い人でも全国や世界の人と繋がるけんね、お母さんの俳句を海外の人が見てくれるんよ」
「それは凄いね、私の俳句を世界の人がねー、頑張る甲斐があるかも知れんね」
「お母さん、俳句にイラストを添えとったら分かりやすいけん、イラスト俳句にしたらええと思うよ」
そう言うと母は「私のイラストなんか、いかんわい、全然上手じゃないし、私は描かんよ」と素っ気なく返してきました。
私は諦めませんでした。
「お母さん、子どもにも大人にも俳句を分かってもらうためには、入り口がソフトな方がええんよ、絶対イラストと俳句のコラボ作品がええと思う」
そう言って母を何度も説得して、親子ブログの中でイラストと俳句のコラボ作品を紹介することになったのです。
母には私が書くエッセイのヘッダー画面も描いてもらう事になって、それから母がイラストに目覚め、奇跡が起きるのです。
【母に起った奇跡】
私の母は昭和一桁生まれの頑固なおばあちゃんです。何事に対しても真剣でいい加減な事が大嫌いなタイプです。自分が関わる事にはとことんこだわ、、手を抜かない母だからこそ、奇跡が起こったんだと思っています。
その奇跡は母が私たちのブログのイラストを担当することになって一ヵ月も経たないうちに起きました。
親子でブログを始めるまでの母は、ベッドに横になって毎日ずっと好きな韓流ドラマを観ていました。見逃してはいけないと毎日テレビにかじりついて、ストーリーに一喜一憂していたのです。
それが、ブログを始めてイラスト担当になってからは、一日のほとんどをリビングで過ごすようになりました。
リビングを工房にして毎日ひたすらイラストを描くようになったのです。
「お母さんまだ座っとんかね、体に悪いけん、ちょっと休憩せんといかんよ」
「あんた、今一番大事な所を描きよるんよ、途中で止めたらイメージが途切れるけん」
「お母さん、時間はいっぱいあるんじゃけん、のんびりやったらええのに」
「あんた、私の好きにさせてや」
こんな感じで、私たちはそれまでになかった創作に関する会話を深めていったのです。
イラストを正確に描きたい母は、私に参考になる資料を集めて欲しいと言ってきます。
「石鎚山を描きよるんじゃけど山頂はどっち側に傾いとったんかな、資料で調べてきてや」
「あんたのスマホで分かるんじゃろ、急いでコピーとってきてや」
そう言いながら、拡大鏡を使って小さな写真を一生懸命に確認しています。
これまで韓流のドラマ三昧だった母が、朝、昼、晩とニュースの時間には
その日の出来事をしっかりチェックするようになり、新聞も毎朝隅々まで目を通して自分が描く材料を集めるようになりました。
様々な情報に敏感になって、社会の変化を取り込もうとしているのが分かります。
「あんた今日のニュースで桃の収穫が始まった言よったよ、今年は収穫量が多いんじゃと」
「あんた、今年も大三島の大山祇神社の一人相撲があったんじゃと、早乙女が田植えをしたらしいよ」
私は母から様々な情報を教えられるようになりました。
母はSNSで多くの人が見ているのだから、その人たちの心を動かすものを描かなければと思い、魅力的なテーマを探そうと懸命に努力するようになったのです。
ブログを見て下さる方たちから寄せられる母の作品に対するいろいろなコメントを見て、母はSNSの影響力を肌で感じるようになりました。
「とても90代とは思えません、その頑張っている姿に私も元気をもらいます」
「ばあばさんのイラストは味があってとっても素敵です」
「私もお二人を参考にして、母と一緒に何かを始めてみようと思っています」
そんな優しいコメントを皆さんからたくさんいただいて驚いていました。
会ったことも話したことも無い人たちが、自分の作品を見て応援してくれている。私の知らないこんな世界があるんだと言うことを改めて知ったのです。
それが分かったからこそ、母はその方たちの心を少しでも動かすことが出来る作品を創作したいと思うようになりました。
「私は一日があっという間に過ぎるんよ、ほんとイラストを描きよったら楽しいわい、イラストに出会えて最高よ」
そんなコメントを母が口にするようになりました。
親子ブログを発信する為に毎日イラストと俳句のコラボ作品を創作することが、いつの間にか母の生きがいになったのです。
【生きがいが日常を変えた】
母が毎日すべきことが生まれました。一日数枚のイラストを描いて、俳句を詠む。母のルーティンが出来たのです。
朝私がリビングにやって来ると、母はもうずいぶん前からイラストを描いていて、「お早う、今日は2枚描いたよ、これどうじゃろか、ええ感じで描けたと思うんじゃけど」と言ってさくらんぼのイラストを見せてくれます。
「お母さん、色付けが可愛いいね、物凄くええと思うよ」
「ほーじゃろう、上手いこといったと思う」
「お母さん、俳句はどうする」
「ほじゃねー、これよこれ佐藤錦のさくらんぼにしようと思うんよ」
「ええねー、佐藤錦、美味しいよね、ええんじゃない」
ある朝は
「あんた、これ描いたんじゃけどどうじゃろか」
「お母さん、エプロンが可愛いねー」
「ほーじゃろう、デザインを色々変えてみたよ」
「句はどうするん」
「エプロンで浮かぶメニューや夏料理にしようと思うんよ」
「何か楽しいイラストで物凄くええと思う」
またある朝は
「あんたええんが描けたよ」
「藤の花きれいに描けとるがね」
「ほじゃろう、昔行ったことがある藤棚を思い出して描いたんよ」
「句は何を付けるん」
「藤房のさ揺れ追憶蘇るにしょうと思うんよ」
「それは物凄くええと思う」
こんな具合に、母のイラストと俳句のコラボ作品は誕生しています。
「あんた、イラスト描きよったら、一日があっという間なんよ、楽しいわい」
「お母さん、ほんといいものに出会えたね」
「私は幸せ者よ、90代でこんなに充実した毎日が送れるんは最高よ」
本当にその通りだと思います。
私が母をブログ発信に巻き込んだことが母の人生を大きく変えました。母は毎日私に聞いてきます。
「あんた、今日のブログは何を出したん、スマホで映像見せてや」
「見た人から何かコメント来とるかな、皆どんな風に思たかなー」
母はSNSで母の作品を見て下さっている方と繋がっていることがとても嬉しいのです。
90歳を過ぎたおばあちゃんがSNSを自分の生活に取り入れて楽しんでいるのです。
【親子の人生に花を咲かせる】
私たち親子がブログを発信し始めて間もなく3年になります。
その記念として母に何か目に見えるものを残したいと思いました。そこで母の誕生日にプレゼントしたのが、イラスト俳句集だったのです。
そしてもう一つ私はばあばの人生に花を咲かせるイベントを考えました。ブログのために母が描いたイラストを多くの皆さんにご覧いただくイラスト展を開催することに決めたのです。
90歳のおばあちゃんが3年間頑張ったその過程を皆さんにご覧いただいてそのパワーを感じていただきたいと思って、93歳を向かえた母の年の数だけ作品を吟味して93作品のイラスト展を開催します。
私としても大きな挑戦です。人生初のイラスト展への取り組みが始まりました。
母のイラスト展開催は私の定年後の人生に花を咲かせようとしています。
親子で咲かせようとしている人生の花が開くのはもう間もなくです。
私の定年を節目に、母と一緒にブログを始めたことで私たち親子は人生の宝物を手にすることが出来ました。
そしてこれからも、まだまだ奇跡が起きそうな気がします。
「あんた、とにかく毎日の積み重ねは凄いよ、続けることで何かが生まれるんよ、私は本当に毎日が楽しいわい」
母の最近の口癖です。
私はその言葉を聞いて、何よりの親孝行ができたなと思っています。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。
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また明日お会いしましょう。💗