テレビマンから転身の陶芸家
「人生で無駄は無いですよね、その経験の全てが自分を作っていますから」私は初めて出会った大学の後輩にこう語っていました。
私の住む愛媛県松山市のデパートいよてつ髙島屋で岡山県の陶芸作家の親子展が開催されています。
黒井博史さんとお父さんの千左さんの展覧会です。
お父さんの千左さんは岡山県の重要無形文化財保持者です。息子さんの博史さんは日本工芸会の正会員です。大学の同窓生が親子展を開催すると言うことでOB会からご案内をいただいて会場を訪ねました。
黒井親子の作品は虫明焼という300年の伝統がある岡山県の焼き物で、もともとは家老の茶道具などを作るためのお庭焼きとして始まったと伺いました。
虫明焼珍しい名前だなと思ったら地名なんだそうです。
会場には茶人が好みそうな品のある、落ち着いた作品が数多く並んでいました。工芸品として飾って楽しむような大皿や、茶道具の茶碗、一輪挿しなどの花器、酒器、湯呑みやコーヒーカップなども展示販売されています。
釉薬による美しい艶が特徴的で、数種類をブレンドして作る土づくりから始まって、ろくろや焼きなど全ての工程を自分達の手で一点一点、制作されているそうです。
【彩色象嵌鉄絵花文皿】
第64回日本伝統工芸中国展金重陶陽賞受賞作品(千左さん作)
黒井博史さんは愛媛県の松山大学を卒業して、岡山県の山陽放送で6年間、報道マンなどの仕事をした後、家業を継ぐことになったそうです。
作品や制作工程に関するお話がとても分かりやすく流石に人に伝えるお仕事をされていたからなんだと納得しました。
もの作りが生業であるにせよ、その魅力を知ってもらう為にはやはりどう伝えるのかはとても重要だと思います。
器の制作の工程や釉薬の焼き上がりまでの色の微妙な変化など素人の私にも本当に分かりやすいお話でした。
家業である陶芸に携わる前に、放送局で仕事をされていた事が作品をより多くの人に身近に感じてもらう為に、とてもプラスになっていると感じました。
岡山の虫明焼、その品の良さと独特の色合い一度出会うと忘れられません。作品に作り手の魅力が見えたことで、より一層作品を身近に感じることが出来ました。
◇黒井千左・博史父子展は令和3年10月26日(火)までいよてつ髙島屋6階の美術画廊で開催されています。※最終日は午後4時閉場です。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《伝統を守って欲しいね大変じゃけど》
お昼ご飯にステーキを食べ終えたばあばと。
「まず、虫明焼私は知らんかったんよ、初めて聞いたわい、地名なんじゃねー、色が変わっとる、備前焼とも違う渋さの中に華やかさもある」
「私も初めて見たんじゃけど、お茶席なんかに生きる器って言う感じじゃったわい」
「しかし、後を継ぐんは大変じゃけど伝統を守って欲しいわい、頑張って続けて欲しいねー」
会場に足を運ぶ機会があれば、作家とお話をするのが焼き物をより深く知るのにいいのではと思いました。
【ばあばの俳句】
黄昏にふと立ち止まる秋の道
秋の黄昏時は何とも言えない気持ちになります。それは年を重ねるとなおさらです。母は陽が沈む頃のアンニュイな空気感を軽いタッチで描き、句を添えました。
これまで歩いてきた道、そしてこれから歩いて行くであろう道をふと立ち止まって、その時の空気に身を任せる瞬間は、不思議な時間の流れを感じます。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。
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私のアルバムの中の写真から
また明日お会いしましょう。💗