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パラグライダーが墜落した時

私は43年間のテレビウーマン生活の中で数々の失敗をして今に至ります。一つ一つ思い返せば身の縮まるような出来事もありました。

そして私は一つの失敗から二度とチャレンジすることが無くなったことがあります。それはスカイスポーツパラグライダーの撮影です。

私が住む愛媛県にはパラグライダーのフライトエリアが数か所あります。空に向かって自らの足で走り、上昇気流に乗って空に上がったら、上空からはまるで鳥になったかのようにそれぞれの地域を俯瞰的に見ることができる素晴らしいスカイスポーツだと思います。

しかし、私はある時から誰かがパラグライダーの取材をすると言う時には「絶対じっくり考えて取材した方がいい、決して100%安全ではないのだから」と取材意欲満々のメンバーにとっては、この上なく後ろ向きな発言をしてきました。でも私はそれが経験者としての私の役割だと思って伝えてきたのです

その気持ちは、定年退職した今でも変わりません、誰かに聞かれたら同じように答えます。それは、私に苦い経験があるからですそしてその出来事は私の人生の学びになりました

私は現役時代、ニュースの企画の中で、地域に根ざして活動している様々な分野の人を紹介していました。そしてある時、スカイスポーツに魅せられた熱き男性を紹介する事になりました。

その人はウィンドサーフィンをきっかけに、風を感じるスポーツに魅力を感じ、空の上で上昇気流に乗って飛行が楽しめるパラグライダーを極めるために様々な挑戦をしていました。

取材依頼にも快く応じて下さり、撮影するのなら休みの日にメンバーと飛行練習しているスポットがあるので是非取材に来てくださいと言う事になりました。

愛媛県内子町には神南山(かんなんざん)というテイクオフポイントがあります。その日は、そこからの飛行風景を撮影することになりました。

「カメラマンが乗るのであれば2人乗りできるので、是非乗って撮影しましょう、美しい風景が撮れますから、安全です、大丈夫ですからね」そう言われて、私はカメラマンと相談しました。カメラマンは「経験はないけど、乗って撮影するといい絵が撮れるね、乗ってみようか・・・」そんな会話で盛り上がり、状況次第では乗ることにして出かけました。

万全の態勢で撮影に臨み、まず最初に、その男性の技を見せていただくための、撮影をすることになりました。山の頂上には同じグループのメンバーがいて、パラグライダーを操縦する人と常に無線で交信しています。

男性は気流の状態を見て、テイクオフして上空に上がっていきました。無線の声が聞こえます「これからいくつかの技を見せますね、カメラマンの方、スタンバイいいですか」その声の後、パラグライダーを左右に揺らして見せてくれます。

「ワ~、スゴイ!!」

その後は、一度急降下して今度は、前後に揺らして見せてくれました。

「ワ~・・・・」

その後です。私たちの視界からそのパラグライダーの姿が消えてしまいました

ほんの一瞬の出来事でした。

山の頂上からメンバーが無線で男性に呼びかけますが返答がありません。

別のパラグライダーで上空を飛んでいたメンバーから無線が入ります。「落下、ふもと手前の木の茂みに落ちました、動いてない」と言っています。

私たちは道なき道を走り、落下現場に向かいました。パラグライダーはかろうじて木に引っかかっています。男性を見つけました。彼はじっとしています。私たちは布製の長め椅子を担架にして、彼を運ぼうとします。

その時、彼の声が聞こえました。「ちょっと止めて、山田さんびっくりしたでしょう、僕は大丈夫です、何があってもこれは僕の責任ですから、あなたはまったく心配しなくてもいい、大丈夫です」

私は涙が溢れました。

病院ではレントゲンを撮って、脊椎損傷と診断され、万が一の場合には下半身不随になるかもしれないと言うことでした。当初入院は3ヶ月だと言われました。その後、彼は1ヶ月で退院でき、入院中も、すぐにでも飛びべるようにと、病室で懸命にリハビリに励んでいたそうです。

それから半年彼は再びパラグライダーで空を飛んでいました


最悪の事態を免れて、本当に良かったのですが、私はこの苦い経験から、学んだのです。

「面白そう、いい絵が撮れる、安全、心配ないと安易に考えて取材に臨むのは間違っている、石橋を叩いて渡るくらいの慎重さと、危機管理能力が必要、常に最悪の状況を考えて行動しなければいけない」と。

あの時の出来事が無ければ私は今のような考えには至っていないと思います。取材人としての認識の甘さを痛感する出来事があったからこそ、本来持っておくべ取材者としての大切な心構えを学びとることができたのです。


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《あんたは失敗からいろいろ学んだんじゃねー》


リビングでイラストの下絵を消しゴムで消す作業を始めようとしたばあばとの会話です。

「でも、良かったねー、助かって、その上また翔べて良かったねー、その人に万が一のことがあったら、大変じゃったわい」

「本当に良かったんよ」

「そういう事があったん忘れとったわい」

「取材しよった頃はいらいらあったねー、あんたは取材からいろいろ学んだんじゃねー

どのように考えても、最悪の事態が免れて良かったです。私は貴重な経験から取材者としての心構えを知ることになりました



【ばあばの俳句】


あれこれと並べて楽し夏帽子


とってもおしゃれさんのばあばは流行の帽子が気になります。私や自分自身が持っている夏の帽子を並べて、楽しんでいる様子を詠みました。

自分が被らなくても、トレンドに興味を持っているその心が素敵だと思います。


でもばあばがスキなのはベレー帽です。面白いでしょう。イラストでは素敵な帽子が並びました。


▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」と20時前後には「フリートークでこんばんは」も音声配信しています。お聞きいただければとても嬉しいです。

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私のアルバムの中の写真から

また明日お会いしましょう。💗

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