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春分の京都旅行「佛光寺 後篇」大師堂と阿弥陀堂


『東京のイチョウ並木は全部切ったほうがいい』

自分の目を疑いました。いくら表現の自由が赦されているネットの世界だからって言って良いことと悪いことがあります。

東京神田警察通りのイチョウ並木伐採問題を皆様はご存知でしょうか。なぜか神宮外苑再開発が東京都知事選の争点になっていましたが、神宮外苑は民間企業が主体。神田警察通りは区道なので行政の管轄です。当然東京都知事の権限に近いのは後者になります。この問題については2022年頃から東京新聞が特集を組んでいました。しかし彼らはどうやら環境破壊くらいにしか捉えていないようでした。歴史と植物に詳しい人にとっては周知の事実を今からお伝えします。

イチョウは
大火事に強いんです

近いうちに起こるであろうと予測されている東京直下型大地震。関東大震災の大火災旋風が再び発生する可能性があるそうです。関西では大阪の大動脈・御堂筋にイチョウがたくさん植えられています。京都でも大きなイチョウが御神木となって貴重な古寺を守ってきました。

「イチョウの木は臭い」
「景観のいいサクラに植え替えろ」

ポピュリズムの恐ろしいところはいくら間違ったことでも多数を占めたらその通りになってしまうことです。そしてもっと恐ろしいのはその多数は発言の責任を一切取りません。なぜサクラではなくイチョウの木が植えられているのか、その理由を知らない人はかなり多いでしょう。カンニング竹山さんが以前番組で古文は義務教育に不要だと主張されていました。しかしもし義務教育課程に古文や漢文がなくなってしまったら、古くから続く日本の知恵が消えていくことになるでしょうね。江戸時代に始まった国学者の苦労はすべて水泡に帰すこととなるでしょう。

愚者は経験に学び、
賢者は歴史に学ぶ

教養は歴史の一部分です。書を発明し過去の知識と知恵を紡いできたから人類は大きな発展を遂げてきました。徳川家康は本が好きで過去を教訓にしたから戦乱の世が収まり太平の世が訪れました。不快だから排除せよという短絡的思考がSNSを中心に近年増え続けています。

イチョウの木を切るなんて
とんでもない

RPGのセリフみたいな口調になってしまいましたが、なぜそこにイチョウの木が存在するのか考えてみてください。子どもはみな好奇心を持っています。おとなになっても好奇心と探究心を大切にすることが今の社会に必要だと私は思うのです。「不快だから無くせ」だなんて子どもにも笑われますよ。ガキだなって。

過激派左翼は過去を軽視し、過激派右翼は過去を讃美しがち。
昔の人たちが知恵を絞って妥協案を見出してきたのに一時の感情に任せてなんでも反対。それって双六の「ふりだしに戻る」と同義なのに正義感を無闇矢鱈に振り回す。視野が狭くなった彼らは経験も歴史も見えていないのでしょう。
いつも以上に厳しいことを書いているのは、本当に東京で火災旋風が発生したら死傷者数がとんでもないことになるからです。関東大震災と同じ惨劇を繰り返してはいけないのです。
区議会の決定に都知事が物申すのはさすがに越権行為となりますが、都内でイチョウ並木伐採問題が発生したのは事実です。他の区が千代田区のマネをしては絶対にいけないのです。防災が都知事選の大きな争点にならなかったことは本当に残念でなりません。

《補足》

枕話はこのくらいにして旅に続きに行きますね。

どれだけ豪華な邸宅であっても門は基本一つしかありません。他にあったとしてもせいぜい勝手口ぐらいでしょうか。それが一般家庭の普通です。お寺や神社は違います。敷地が広大なので複数の門が存在します。その門は歴史的価値があるため重要文化財や国宝になることがあります。公共の道に面している事が多くほとんどが無料で眺めることが出来ます。もしかしたら門って一番気軽に観れる一級芸術品なのかもしれませんね。

ということで一旦境内から出ることにしました。


こちらは境内から見た御影堂門です。


大師堂の正面にあることから大師堂門と呼ばれることもあるそうです。

駐車場が傍にありメインストリートに面していることから多くの人が撮影されていました。


そしてこちらは本堂門になります。

阿弥陀堂の正面に建てられたことから阿弥陀堂門とも呼ばれています。1879年に再建されました。ちなみに前篇のトップ画像は別角度から撮影した本堂門になります。斜めの画角が大好きな私です。


再び境内へ。

なんだこれ。


御茶所の前にあったものなのでおそらくお茶のために湯を沸かす設備なのでしょうね。現在は使われていないようですがもしイベントで使用すれば人だかりができるかもしれません。

大変おまたせしました。メインの登場です。


親鸞聖人坐像が祀られている大師堂です。

1884年に再建されました。左隣にある阿弥陀堂より大きな建物となっております。


そしてこちらが阿弥陀堂になります。

参拝していた際、大型バスが停まり集団が御堂の中へ入っていくのが見えました。団体参拝者を受け入れているということなのでその団体さんだったのでしょう。


あっそうそう。先日BS朝日『あなたの知らない京都旅』で佛光寺が紹介されていました。

阿弥陀堂には湛幸作の重要文化財、木造聖徳太子立像が大切に安置されています。親鸞聖人の死後1320年に製作されました。通常非公開なのですが特別に番組で公開されていました。親鸞聖人と聖徳太子の絆を示す像ということでとても神々しかったです。ちなみに二人の絆は六角堂でも拝見することが出来ます。


皆様はご存知でしょうか。

親鸞は伝説上の人物であり実在しないという「親鸞不在論」が明治時代にあったそうなんです。親鸞聖人に宛てた妻からの手紙が発見されたことにより実在の人物であったことが証明されました。

歴史って不思議なものですね。弘法大師よりもずっと後に生まれた人なのにその存在が疑問視されていただなんて。『杖で地面をつくと湧き水が出る』という弘法大師の奇跡は、敬虔な信者の方に怒られるかもしれませんが地質学と水質学に裏付けられた当時の最先端科学技術です。

安倍晴明を胡散臭い超能力者だと思っている方々が多数いますが彼も優れた学者でした。時代の先を進んでいた天才たちを、同じ時代に生きた大衆は決して理解することは出来ません。


現代の宗教家たちは布教活動を下っ端に任せて表に出てくることはほとんどありません。それって神の名を借りたただの"ネズミ講"でしかないんですよね。

浄土真宗が民衆の熱狂的な支持を得たのは、宗祖自らが率先して人を導き批判の矢面に堂々と立っていたからです。だから大師堂という大きな建物をのちの人が建てて現代も信仰を集めているのです。


とまぁそんなことを雨宿りしながら長椅子に座って考え込んでいたら出発の時間が来てしまいました。佛光寺の紹介は以上です。ご精読ありがとうございました。

次回も有名なあのお寺へ訪問します。乞うご期待。



今回の参拝スポット


追記

note公式マガジンに記事が掲載されました。ありがとうございます。


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