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錦秋の京都旅「浮島十三重石塔と野鳥観察」


前回は宇治神社でお参りをしました。

今回は宇治公園を散策します。鳥さん画像を載せていますので苦手な方はご注意ください。


朝霧橋を渡って最初に向かったのはこちら。


橘島に聳える武骨なオブジェ、宇治川先陣之碑になります。なぜ先陣争いなんかで石碑になるの?そう感じる人のほうが多いかと存じます。


「一番槍は武士の誉れ」


これは先頭で斬り込む武士の生存率が低いからに他ありません。特に川を挟んだ渡河の死傷率は極めて高く近代の戦いでも大きな的になりました。命知らずの勇猛果敢な者だけが先陣を務めていたのです。

1184年、宇治川の戦いにて先陣争いを繰り広げた佐々木高綱と梶原景季。彼らが活躍したことで源義経軍は宇治川を渡り切ることに成功します。相手方の御大将・源義仲は自ら出陣し洛中に進撃する義経軍を迎え撃ったものの滋賀県瀬田へ敗走します。平家を都から追い出し朝日将軍と呼ばれた義仲は粟津の戦いで討ち取られて最期を迎えました。


経軍に敗れるという日本有数の古戦場ということで立派な石碑が建てられることとなりました。

宇治市の公式サイトには工事の様子が掲載されています。


金の鯱?

いやちゃうな、あの方向にあるのって…

平等院鳳凰堂やん

ここから見えちゃうんやね


お堂のほうからなんだか騒がしい声が聞こえてきます。聞き馴染みのない東アジア圏の言語のような。そういえば学生だった頃に「中国人と関西人の共通点」という随筆文を読んだのを思い出しました。どちらも公共の場で騒ぐのが特徴で東京の人がその様子に驚いたみたいなことが書かれていました。

集団になると関西のおばちゃんもおっちゃんもだいたいうるさいです。集団心理の影響で気が強くなってしまうのでしょうね。一方、中国は何よりも家族を大切する文化圏だと聞いたことがあります。日本人が思うほどに愛国心は持っていなくて、家族が楽しければ世間体などどうでもいいという考え方になるのだと思われます。つまり外野がマナーの大切さをいくら説いたところで彼らには一切通用しません。隣の国であっても全然違うんだなという感想を持ちました。

ちなみに今の私はどんなに騒がしくてもストレスは感じません。他人の雑談から生の情報が汲み取れるのでいい勉強になるんですよね。マスコミやインターネットなんかよりずっと信憑性があって役に立ちます。ただ混雑はあまり好きではないので平等院は旅のルートから外すことにしました。まぁ散々テレビで特集されていますし皆様も紹介されている名所ですから私自身は一回行っただけで満足といったところでしょうか。


グッドデザイン賞の石碑だ

初めて見るかも

2022年ってつい最近じゃん


七年前は右岸の散策だけで疲れ切ってしまい、塔の島に行かなかったのでどう整備されたのかまったくわかりません。現地に解説板は見当たらなかったので帰宅後に調べてみました。河川整備計画の詳細は『GOOD DESIGN AWARD』動画で詳しく解説されていたので貼りますね。

近年ゲリラ豪雨による災害級の氾濫が増えてきています。嵐山・渡月橋下流で大規模な河川工事が行なわれていて我が町でも治水対策をしていました。景観を守りつつ護岸もしっかりやっていくというのはなかなか難しく幾多の困難を乗り越えてきたから受賞したのでしょうね。素敵なことです。


ん?

なんだあれ?


アオサギだ


警戒心が強いと言われている鳥ですけれど、どうやら観光地でよく目にする人に慣れた個体ぽいですね。置物のように堂々としていて一歩も動こうとはしません。


小さな時計台を発見しました。

昭和を彷彿とさせる昔ながらのシンプルデザイン。動いていないと思いきやちゃんと正確な時を刻んでいました。まだ飲食店やお土産屋さんの開いていない時間帯ではあるのですがチラホラと私以外の観光客を見かけるようになってきました。


急な傾斜の朱塗りのこちらは喜撰橋になります。

喜撰法師は前に少しだけお話しました。宇治山に隠棲し仙人になった方です。アーチ状になっているのは鵜飼見物の船が潜れるようにという実用面も考慮されているのでしょうね。江戸時代の橋に似ているということでドラマのロケ地に使われたこともあります。


お待たせしました。

宇治公園で一番の見どころといってもいいでしょう。重要文化財の十三重石塔になります。京都検定で学んで実物を観たいと思ってはや数年。

生で拝見して超感激です。



【画像】お前らの想像の◯◯倍凄いwwwww


まとめサイトでよく目にする興味を唆るタイトル名ですがいやはや…。ネットや本で想像していた三倍大きくて一人静かに驚愕しましたよ。この感動なかなか伝わりづらいかもしれません。比較対象もありませんし。


朝ならではということで月と石塔を合わせて撮ってみました。

ちなみに日本最大ではありますが日本最古の石造層塔ではありません。奈良時代前期に建立された滋賀県の石塔寺三重塔があるので「日本最大最古の石塔」という紹介は誤りになります。


対岸に見えるのは観流橋です。


天ヶ瀬ダムは洪水対策や飲水供給、発電といった複数の用途を目的としています。一方、観流橋の下を流れる水路は琵琶湖から流れていて水力発電所が置かれています。最大発電量はなんと32,500kW。蹴上発電所の七倍強のパワーを誇ります。

ネーミングライツ販売の契約締結により2023年11月から『SMBC 宇治グリーン発電所』という愛称になりました。発電所なのに命名権が売れるなんてスゴいことですよね。それだけ宇治ブランドが偉大なのでしょう。


なんにも考えず

ただひたすらに川を眺める


のどかっていいものですね

心がやすらぎます


また鳥だ

こっちはたくさんいる


わたしって実はバードウォッチングが好きなのかもしれません。なんかカワイイって思っちゃうんです。動物園で見るより自由で活き活きしてて、偶然羽ばたく姿をカメラに収められたら歓喜します。プロカメラマンみたいに定点観測はしませんけどね。


これは!?


どうやら「鵜小屋」みたい


嵐山公園の鵜小屋はトラブルで長年放置されて廃墟となり関西ローカルの報道番組で特集されました。2024年2月の行政代執行により解体・撤去し現在は損害賠償の支払いだけとなった模様。嵐山観光の目玉として建設されたものの数千万円かけるほどでもないことは宇治の鵜小屋と比較すれば一目瞭然です。焚き火に囲まれた中で魚をはき出す鵜飼い漁法が一番の見せ場なのに佇んでいるだけの鵜を見ても正直面白みはありません。鵜小屋がなぜビジネスになると思ったのか。そりゃ頓挫するよねってしみじみ思いました。


気を取り直して明るい話題を。

左の区画は野生の鵜が飼育されていて、右側は人工孵化で生まれたウミウがいる区画になります。2014年に日本で初めて人工孵化によるウミウが誕生しました。鵜匠が親となり宇治で生まれた雛は「うみうのウッティー」という愛称で多くのひとに親しまれています。現役で活躍している姿を先日NHKで見ました。立派に仕事をこなしていましたよ。


15分くらい散策したけどまだおるやん


鏡の水面に見惚れていたら、ふと石垣が綺麗に整えられていることに気がついた私。なるほど、だからグッドデザイン賞を受賞したのね。以上です。次回は宇治川右岸に戻って再び寺社仏閣を巡っていきます。

それではまたね。



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皆様が楽しめるようこれからもがんばっていきますので末永くご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。



あとがき


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