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栄養のお話〜下咽頭がんと診断されたら?玄米を食べよう♪

こんにちわ!

下咽頭がんと診断されたら?パート2です。

がんの発見が遅れると気管切開して経鼻栄養だったり、胃ろうになったりしますよね。首から下の消化管は健康なのに、口から直接食事を摂るのは難しい。でもがんと闘うにはしっかり栄養は摂っていないといけません。

ということで調べてみました♪

栄養状態は、QOL(生活の質)や生存、治療結果に影響します。その要因を比較するため、頭頸部がんの方を、3年間前向きに無作為に調査した結果を紹介します1)。

726人の治療可能なHNC患者を2グループに分け、PEGを造設する群と経鼻栄養(PEGは造設しない)群でQOLに影響しそうなスコアを調査。
生存やQOL、臨床状態にマイナスな影響を及ぼす因子は、63歳以上の男性、ステージ3〜4、喫煙、10%以上の体重減少、BMI21未満、PEGを造設しないという結果になりました。

最初の6ヶ月は体重やBMIの減少が見られ、その後はPEG造設しているかどうかが顕著な差として出てきました。

早期の栄養療法に介入することはQOLや生存を改善し、PEG造設されているグループが抗がん剤治療によく耐え、合併症や再入院も少なく、体重回復も早かった。

経鼻栄養は長めの管が入るのでその辺りがやはりPEGよりも劣るのでしょうか?
日常動作の質もPEGの方が良さそうではありますね。

化学療法中はいかに体重を落とさないかが大事ですね。

イギリスの栄養管理ガイドライン2)には、栄養状態が不良の場合は、手術を遅らせてでも10~14日間は栄養管理サポートを受けるべきだとあります。
また、4週間以上のチューブ栄養が必要な場合は、PEG造設を考慮するともあります。

放射線治療や抗がん剤治療をする場合、栄養量は少なくとも30kcal/kg/day、タンパク質は1.2g/kg/dayが必要ということです。

がんといえばとにかく栄養!栄養!!栄養!!!なのですね。

ここからは、玄米食の栄養価について3)書いていきます。

玄米の表層部の糠や胚芽の部分はとても豊富な栄養素がたくさん含まれています。
紫外線から身を守るために、ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質は表層部に存在しています。その部位を食べないなんてもったいない。しかし、農薬なども糠層に残るため、無農薬玄米を選びましょう

玄米/白米の栄養素比較100gあたり

カリウム 230mg /88mg 
マグネシウム110mg /23mg
鉄  2.1mg /0.8mg
ビタミンE  1.4mg /0.1mg
ビタミンB1  0.41mg /0.08mg
ナイアシン6.3mg/1.2mg
食物繊維3g/0.5g

さらに、がん患者には嬉しい免疫を高めるアラビノキシラン(NK細胞の活性化・抗酸化作用)やフィチン酸(抗酸化作用・抗がん作用)も含まれています。
γ-オリザノールも自律神経調節作用があり、心身を健康に保つためにも必須な栄養素です。

咽頭がんの方でも摂取できそう(主治医の許可が場合によっては必要かもしれません)な玄米ドリンクを個人的にお勧めします。
沖縄では戦前から愛飲されてきた歴史があるそうです(長寿の秘訣)。
玄米をひいて煮込み、生姜や黒糖で味付けした玄米ドリンク
黒糖はがんの好物になりそうなのでできれば黒糖抜きで頂きましょう♪

ブログ記事の写真に玄米ドリンクのイメージ貼り付けています。ぜひ、お試しあれ。

参考文献
1) E Mará et al. Long Term Monitoring of Nutritional, Clinical Status and Quality of Life in Head and Neck Cancer Patients. Klin Onkol.2015;28(3):200-14.

2) B Talwar et al. Nutritional management in head and neck cancer: United Kingdom National Multidisciplinary Guidelines. J Laryngol Otol. 2016 May;130(S2):S32-S40.

3) 渡邊 昌.「医師たちが認めた「玄米」のエビデンス」. キラジェンヌ株式会社,2015.

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