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日本こそ必要「CREATOR RIGHTS AGENCY」誰か一緒にやりませんか?~「セクシー田中さん事件」を繰り返さないために

(4月9日付UPDATE:一旦公開したあとに、補足がしたくなって書き加えています。大意は変わっていませんが、漫画家と出版社の関係の話などを追加しています)

  気になるニュースでした。


サンプル音源売買プラットフォームのサービス

 ビートとサンプルのオンライン・マーケットプレイスBeatStarsが、クリエイター・ライツ・エージェンシー(CRA)と呼ばれる新しいプラットフォームを立ち上げたとのことです。
 クリエイターライツエージェンシーは、「クリエイターが知的財産のライセンス、保護、対価を得るために、専門家からデータに基づいた提案を受けることができるエンドツーエンドのサービス」で、「経営、法務、会計サービスを統合」し、CRAが交渉に成功した案件のみ10%の手数料を徴収するとのことです。
 「クリエイターはオンライン・プラットフォームを通じて、CRAのスペシャリスト・チームに直接リクエストを提出することができ、スペシャリスト・チームはデータをもとに交渉のアドバイス、契約の最終決定、アーティストやレーベル、さらにはSoundExchangeからの契約一時金やロイヤリティの確保を行う」ともあります。
 ループやサンプル音源などのマネタイズという新しい分野で2億5000万ドル以上をクリエイターに支払ってきたサービスだけに影響がありそうですね。
 音楽を得意とする弁護士がたくさんいて、音楽家が早い段階から弁護士と契約することが一般的で、弁護士資格を持っているマネージャーも少なくない米国でも必要とされているのだなと思いました。

 まさに今、日本で必要とされている種類のサービスではないでしょうか?日本の音楽業界は、「村」的になっていて、顔が見える関係性の中で、コミュニケーションが取れることがベースでした。「事務所」という日本特有の業態は、「家族的」であり、音楽家はビジネスや契約のことをきちんと理解していなくても、なんとかなる側面もありました。
 デジタル化が進んで、音楽家は個人単位でもビジネスができるようになり、昭和のやり方の芸能事務所も機能不全になっているのが近年の状況です。
 ところが日本の音楽家は、ビジネスリテラシーが低い場合が少なくありません。自らの権利の極大化だけを主張するのがビジネスマインドではありません。長期的な視野を持って自分の活動プランを立て、高い視座からビジネスの構造を理解した上で、適切な交渉をしたいくことが大切です。

商慣習を理解したエンタメロイヤーが少ない

 日本はエンタメ分野に精通した法律事務所、弁護士が限られているのが現状です。業界ごとの「村」的なコミュニケーションがあり、訴訟を嫌う風土などもあって、これまであまり仕事が少なかったからですからでしょう。若い弁護士で「エンタメ」を守備範囲に掲げる人も増えてきていて、嬉しいことなのですが、そういう弁護士は経験が乏しく、ビジネスの実情を理解できないケースも見受けられます。本当に音楽家のためになるアドバイスをするためには、商習慣への理解か欠かせません。変えなければいけない不公平な業界慣習が残っているのも事実なのですが、変えるためには、その慣習ができた背景や構造を総合的に理解できていないと無駄な軋轢ばかりを生んで、音楽家の利益に結びつきません。
 インディペンデントなクリエイター向けに法的なサポートをする仕組みは日本の音楽界、芸能界に求められているなと常々感じていました。
 ただ、弁護士の仕事は、資格がないとできません。弁護士ドットコムのエンタメ版みたいなサービスは必要だなと感じています。StudioENTREには、既存の業界慣習への深い理解とデジタル化で構造変化したコンテンツビジネスへの知見がある人たちのネットワークがあります。日本版CRTを事業化したい人にとっては日本で最適のパートナーだと言えるでしょう。

「セクシー田中さん」番組事件の構造的原因とは?

 昨年、「セクシー田中さん」のTVドラマに関してトラブルがあり、原作者が亡くなられるという痛ましい事件がありました。ネット上には様々な意見がありましたが、構造的原因としては、出版社と漫画家個人の情報量の不均等があります。
 「出版社が守ってほしかった」という意見も散見されましたが、昭和的な情緒としては理解できますが、僕は間違っていると思います。今回の事件は、テレビ局、脚本家、出版社、それぞれの方が自分の立場で「職業的な良心」に基づいて行動していた可能性も高いとも思います。つまり、構造的に原作者に負荷がかかる仕組みになっているという言うことで、これを変えなければいけません。
 「出版社が原作者を守るべき」「脚本家のやり方が悪かった」「TV局の原作へのリスペクトが無い」などの批判は、全て当たっているようで、間違っています。しばしばナイーブな感性を持つクリエイター(この場合は漫画家)を守るためには、一定のヒット作を持ったら、エージェントや弁護士を雇うという慣習が広まること、エンタメの実務に明るい専門がいることなどが解決策です。
 音楽業界では、音楽事務所がその役割を果たしますが、出版業界は、担当編集者が本来の役割を逸脱して「マネージャーの代わり」を務めるというのが長年の慣習で、その限界を今回の事件は示しているのです。
 漫画原作というIPは世界に誇る日本の宝です。不幸な事件を契機に、仕組みを変えていくことが大切だと思っています。 

日本にエンタメリーガルサービスが必要 

 エンタメ領域で気軽に相談ができるリーガルサービスの事業化に興味のある起業家や、弁護士の方は、ぜひご連絡ください。
 日本政府も「コンテンツ産業を日本の基幹産業に」「個人クリエイターへの適切形な収益分配される仕組みを」と真剣に考え始めています。サービスを通じて課題を整理することができれば、新しい法律を作ったり、業界団体と新しい商習慣のガイドラインを作ったり、解釈を打ち出したりすることもできる環境になっています。行政ともコミュニケーションを取りながらやっていくのが適切な分野の事業です。

 StudioENTREには、メディアコンテンツ業界に太いネットワークがあり、商慣習も過去の経緯もバイネームで理解しています。そして、新規事業開発のプロフェッショナルですから、ITサービスを作った経験がない方でも、熱意があれば、スタートアップとして事業を作っていくことが可能です。
 プロからアマチュアまで層の厚いクリエイターは日本の財産です。これからグローバルに日本のコンテンツが稼いでいくために、クリエイター支援の体制作りは国益にも合致します。興味のある方はご連絡ください!一緒にやりましょう!

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モチベーションあがります(^_-)