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大雪ガイド -帯広空港~登山口-

北海道の大雪山に魅せられ、ここ数年は年に4ー5回程度登り、山の中で15日ほど過ごしています。トータルで50回は登っていると思うので最近では日常生活のように都内から向かっています。

ただはじめは、どこの登山口が登りやすいのか、山開きはいつなのか、交通機関と所要時間はどうなのかなど悩み調べていました。この時間も楽しみではありますが、大雪山に登りたいと思っている方の不安を少しでも和らげるお手伝いができればと思い私の経験を紹介します。

都内などから帯広空港に降り立ち、大雪山に向かう方を対象にしていますが、これから大雪山登山を考えている道内の方の参考にもなると思います。


■はじめに

北海道の大雪山、正確には大雪山系の山々に登るには数多くの登山道があります。私は十勝帯広が大好きということもあって、とかち帯広空港(帯広空港)経由で向かうことが多いです。

帯広空港から向かう登山口は、赤岳登山口(=銀泉台)と緑岳登山口(=大雪高原温泉)が多いです。銀泉台と大雪高原温泉は旭川空港からのほうが10km程近いですが、十勝の食事と温泉、それに慣れ親しんだ土地ということもあって両登山口を使う場合は帯広空港を経由しています。

旭岳に登るときは旭川空港経由で旭岳ロープウェイを利用していますが、こちらについては後日紹介したいと思っています。

ここでは、銀泉台と大雪高原温泉から登る場合の行程や山登りに必要な機材や食料の調達場所、宿泊施設や携帯電話の電波の状況など経験を踏まえた情報を紹介します。

■赤岳登山口 -銀泉台-

銀泉台は、赤岳山頂に一番近い登山口です。帯広空港から154km、車で約3時間かかります。銀泉台までの最後の15kmの道道銀泉台線はほとんどが砂利道で、初めての人は戸惑うと思います。ただ2輪駆動の軽自動車でも行けますが、スピードには注意が必要です。すれ違う場所が限られているので退避箇所を頭に入れながら進むと慌てずに対処できます。

砂利道が怖い方は層雲峡からバスで行くこともできますが便は少ないです。この砂利道を大型のバスが通るのは驚きですが。

銀泉台からの登山の魅力は、標高で異なる植生や景色が楽しめることに加えて、多くの高山植物に会えることです。日帰りで赤岳、頑張れば白雲岳の頂上に行けます。50〜60台は止められる駐車場が週末はいっぱいになります。9月中旬の紅葉は有名ですが、7月から8月もおすすめです。

銀泉台線ですが、10月初旬から翌年の6月中旬まで閉鎖されます。具体の日時は毎年変わるので予定を計画する前に大雪山国立公園連絡協議会のホームページなどでご確認ください。

また9月中旬から下旬はマイカー規制がなされており、銀泉台線は一般車両の通行が禁止されます。銀泉台には、大雪レイクサイトに駐車してバスで登山口に行けますが、天気のいい土日の始発はかなり混むため早めに行くことをおすすめします。

1週間遅れくらいで町道高原温泉線もマイカー規制されます。タイミングがあえば銀泉台から登り、大雪高原温泉に下山する周回コースが可能です。
交通規制の詳細は上川町のホームページをご確認ください。

1人で行く場合の行程

1人で行く場合は快適よりも時短優先で次の工程で行くことが多いです。

  • 19:30・・・羽田発のJALの最終便に乗って帯広空港に到着

  • 20:00・・・レンタカーで帯広空港を出発
    ガスカートリッジが必要な場合はニッポンレンタカーで調達します。

  • 21:00・・・帯広市内の友人宅に寄り、預けているクマスプレーとガスカートリッジを受け取り、談笑して出発

  • 市内のコンビニで翌日の朝食と2泊3日分の山中の食料を買い足す

  • 22:30・・・ぬかびら温泉郷の公衆トイレで歯磨きしながら天気等の最終確認
    ※ここからしばらくスマホは圏外になります。

  • 24:00・・・銀泉台に到着し、天気がよければ星景撮影後、車中泊

霧が濃いときや雨が強いときは銀泉台に登らず、大雪パーキングで車中泊します。大雪パーキングは、トイレも水道水も使え、電波は弱いですがスマホは使えます。

夜中に銀泉台に行くのは翌日が楽ということもありますが、天気が良いと満点の星空に会えるからです。

銀泉台の駐車場から見上げた空には天の川(2017年9月24日)

星景撮影後の朝は起きるのがつらいですが、朝焼けに雲海、そして日の出を見ることもできます。

朝陽に輝きだす夜露を帯びたフキの葉(2019年7月6日)

帰りの行程は次の通りです。

  • 12:30・・・銀泉台に下山(白雲小屋から約3時間)

  • 13:00・・・身支度して銀泉台を出発

  • 14:00・・・上士幌町のふれあいプラザの温泉浴場に到着
    他にもいい温泉はありますが最近はここがお気に入りです。

  • 15:30・・・温泉でゆっくり、しっかり体を清め、帰り支度をして出発

  • 17:00・・・帯広市内で夕食
    十勝豚が食べたいので『ゆうたく』に行くことが多いです。

  • 18:00・・・友人宅にクマスプレーとガスカートリッジを預ける

  • 19:00・・・ガソリンスタンドに立ち寄って帯広空港に到着

  • 20:30・・・JALで羽田へ

家に着くのは24:00くらいになりますが、できるだけその日に片付けを済ませ、2時くらいに就寝します。
翌朝は平常運転で会社に行くことを心がけています。

妻や友人と行く場合の行程

妻や友人と行く場合、初日は宿泊施設に泊まる行程を組みます。山中泊は減りますが、温泉や食事が楽しめ鋭気を養ってから登ることができます。

  • 09:30・・・羽田発のJALの始発に乗って帯広空港に到着

  • 10:00・・・レンタカーで帯広空港を出発

  • 10:30・・・帯広市内の友人宅に寄り、預けているクマスプレーとガスカートリッジを受け取る

  • 『スーパースポーツゼビオ帯広いっきゅう店』でガスカートリッジを調達(友人分)し、併設しているスーパーで昼食と翌日の朝食、山中の食料を買い足す

  • 13:00・・・東ヌプカウシヌプリ山の登山口に到着
    ※天気が悪い場合は、柳月の工場に行き、スイーツを食べます。

  • 14:00・・・東ヌプカウシヌプリ山の頂上に到着

  • 15:30・・・運がよければエゾナキウサギに会ってから下山

  • 17:30・・・ぬかびら温泉郷の宿に到着し、温泉と夕食を頂き早めの就寝
    (層雲峡温泉に泊まる場合は18:30くらいに宿に到着)

  • 07:30・・・宿で朝食を摂り、登山口に向けて出発
    (早めに出発するときは、宿の朝食はなしで予約)

帰りの行程は1人で行くときと同様です。コロナ禍で飛行機の最終便が15時台のときは、9時半くらいに登山口に下山する行程にしていました。飛行機が通常運行になってからは最終便で帰ることが多いです。
多くの温泉は13時からなので早くに下山した場合は注意が必要です。

■緑岳登山口 -大雪高原温泉-

大雪高原温泉は、緑岳の山頂や白雲小屋に一番近い登山口です。帯広空港から145km、車で約3時間かかります。大雪高原温泉までの最後の10kmの町道高原温泉線はほとんどが砂利道です。2輪駆動の軽自動車でも行けますが、深くえぐれ水たまりが多くあるため注意が必要です。特に路肩が狭く弱いところでは、水たまりを避けたり対向車両とすれ違う際は注意が必要です。
この道を大型のバスが通るのは驚きですが。

公共交通機関では行けなかったと思いますが、大雪高原山荘の宿泊者は層雲峡までお迎えはあったように思います。駐車場は広く50台以上止められます。

大雪高原温泉には、緑岳に向かう登山口に加えて、沼回りコースの登山口もあります。9月下旬の紅葉は人気の観光スポットですごい賑わいです。沼回りコースの入口はヒグマ情報センターでヒグマに出会ったときに備えた講習ビデオの閲覧が必須です。とても参考になりますので緑岳登山口を利用する場合も閲覧することをおすすめします。
沼回りコースは、各拠点にレンジャーさんがいるのもありがたいです。

限定的ですが、沼回りコースを経て、三笠新道から高根ヶ原に登るルートがあります。かなりの斜度がある雪の斜面なのでアイゼンやピッケルなど冬山の装備があったほうが安全です。それでも下りは結構怖いです。ヒグマの通り道であり、例年6月下旬から7月上旬の2週間くらいしか利用できません。

雪どけ水で満たされた空沼。三笠新道の中腹あたりからの景色。(2018年6月26日)

緑岳登山口からの登山の魅力は、花園に咲き誇る高山植物やその花々と緑岳が一体になった景色に加え、ガレ場ではエゾナキウサギやエゾシマリスに出会えることです。日帰りで緑岳、頑張れば白雲岳や赤岳の頂上に行けます。

高原温泉線ですが、10月初旬から翌年の6月中旬まで閉鎖されます。具体の日時は毎年少しずつ変わるため、予定を計画する前に上川町や大雪山国立公園連絡協議会のホームページなどでご確認ください。

また、9月中旬から10月初旬はマイカー規制がなされており、高原温泉線は一般車両の通行が禁止されます。大雪レイクサイトに駐車してバスに乗って行けますが、天気のいい土日の始発はかなり混むため早めに行くことをおすすめします。タイミングがあえば緑岳登山口から登り、銀泉台に下山する周回コースが可能です。交通規制の詳細は上川町のホームページをご確認ください。

なお、マイカー規制の時でも大雪高原山荘の予約者は、門番に告げることでバスについて行くかたちでマイカーで行くことができます。

1人で行く場合の行程

1人で行く場合の行程は銀泉台に行くときとほとんど同様です。

  • 19:30・・・羽田発のJALの最終便に乗って帯広空港に到着

  • 20:00・・・レンタカーで帯広空港を出発
    ガスカートリッジが必要な場合はニッポンレンタカーで調達します。

  • 21:00・・・帯広市内の友人宅に寄り、預けているクマスプレーとガスカートリッジを受け取り、談笑して出発

  • 市内のコンビニで翌日の朝食と2泊3日分の山中の食料を買い足す

  • 22:30・・・ぬかびら温泉郷の公衆トイレで歯磨きしながら天気等の最終確認
    ※ここからしばらくスマホは圏外です。

  • 23:30・・・大雪高原温泉に到着し、車中泊
    ※星空はきれいですが山荘の明かりがあるためあまり撮らないです。

緑岳登山口を出発して30分くらい登ったところにビューポイントがあります。日の出時刻の1時間前に起きて、朝食等を済ませて出発すると朝陽が注がれた忠別岳や高根ヶ原の季節ごとの表情を見ることができます。

残雪の山肌には新緑の森が広がる(2020年6月19日)

紅葉の時期も最高です。

晩秋の忠別岳の山肌(2023年10月8日)

帰りの行程は次の通りです。

  • 12:30・・・大雪高原温泉に下山(白雲小屋から約2.5時間)
    一息ついて、大雪高原山荘の温泉へ(食堂を利用することも)

  • 14:00・・・駐車場で帰り支度をして出発
    途中で眠くなったら無理をせず駐車場で30分ほど仮眠

  • 17:00・・・帯広市内で夕食
    十勝豚が食べたいので『ゆうたく』に行くことが多いです。

  • 18:00・・・友人宅にクマスプレーとガスカートリッジを預ける

  • 19:00・・・ガソリンスタンドに立ち寄って帯広空港に到着

  • 20:30・・・JALで羽田へ

妻や友人と行く場合の行程

妻や友人と行く場合の行程は、銀泉台とほぼ同じになります。

  • 09:30・・・羽田発のJALの始発に乗って帯広空港に到着

  • 10:00・・・レンタカーで帯広空港を出発

  • 10:30・・・帯広市内の友人宅に寄り、預けているクマスプレーとガスカートリッジを受け取る

  • 『スーパースポーツゼビオ帯広いっきゅう店』でガスカートリッジを調達(友人分)し、併設しているスーパーで昼食と翌日の朝食、山中の食料を買い足す

  • 13:00・・・東ヌプカウシヌプリ山の登山口に到着
    ※天気が悪い場合は、柳月の工場に行きケーキを食べます。

  • 14:00・・・東ヌプカウシヌプリ山の頂上に到着

  • 15:30・・・運がよければエゾナキウサギに会ってから下山

  • 17:30・・・ぬかびら温泉郷の宿に到着し、温泉と夕食を済ませ早めの就寝
    (層雲峡温泉に泊まる場合は18:30くらいに宿に到着)

  • 07:30・・・宿で朝食を摂り、登山口に向けて出発
    (早めに出発するときは、宿の朝食はなしで予約)

大雪高原山荘に泊まる場合は、東ヌプカウシヌプリ山には登らず16時までにチェックインするようにしています。宿泊施設の情報は後述しています。

帰りの行程は1人のときと同じです。

■その他の経験談・参考情報

帯広空港を使って登山に向かう際の食料等の調達やトイレの場所、帰路の楽しみである温泉施設など、経験を踏まえた情報を紹介します。

レンタカー

帯広空港にはメジャーなレンタカー会社は一通りそろっています。夏休みの時期は、1ヶ月前でも予約がいっぱいのこともありますので、飛行機と同じタイミングで予約すると安心です。

コロナ前は、価格的にお得なタイムズレンタカーを使うことが多かったのですが、2023年時点でもコロナの時と変わらない時短の営業時間のため最終便を利用する場合は営業時間外になります。

そのため最近は、会社の福利厚生で少しだけ安くなるニッポンレンタカーを使うことが多いです。後述しますが、ニッポンレンタカーではガスカートリッジを購入することもできます。

ニッポンレンタカーがいっぱいのときは、トヨタレンタカーにしています。料金が高いイメージがありましたが、車を選ばなければそれほど差はないようです。

多くのレンタカー会社は、砂利道でのトラブルは保険の対象外というような記載があります。保険はフルカバーで入っていますが、このあたりは気にはなるものの割り切って使っています。

動物の飛び出しにご注意を

北海道には動物の飛び出し注意の道路標識がたくさんありますが、本当にたくさんの動物が飛び出てきます。帯広空港から登山口に向かう際、上士幌町の市街を過ぎたあたりからエゾシカやキタキツネ、イタチなどの小動物をよく見かけます。

交通量は少なく、道はまっすぐなのでついスピードが出てしまいますが、エゾシカは突然飛び出てくることがあるため見かけたら減速します。気をつけて運転していても何度か急ブレーキをかけたことがあります。事故に遭ったエゾシカやキタキツネを見るたびに気分が下がります。

特に夜は多くの動物が道路脇で食事をしています。道路脇は森の中よりも日当たりが良く、おいしい草がたっぷり育つからだと思います。

最近は運転中の眠気覚ましに登山口までに出会う動物を数えています。
昨年(2023年)の最高記録は一晩でエゾシカ38頭、キタキツネなどの小動物が13頭、エゾノユキウサギが1頭でした。1度だけ昼間にヒグマが道路を闊歩していましたが、遠目で通り過ぎるのを待ちました。

はやる気持ちはありますが、動物達や自身の身の安全を第一に運転しましょう。

車中泊のアドバイス

銀泉台や大雪高原温泉の標高は約1500mであり、ここでの車中泊はとても寒いです。夜中よりも朝方が冷え込みます。6月と9月は0℃近く、7月や8月でも10℃を下回ることがあります。

銀泉台でのはじめての車中泊は7月でしたので防寒着を着て寝ましたが、寒くて寝た気がしませんでした。車中なのでいざとなればエンジンをかければいいわけですが、安心してしっかり休むにはエンジンはかけずにシュラフで寝るのをおすすめします。

私の場合は、テント泊や小屋泊前提で登るのでシュラフは兼用し、防寒着で調節するようにしています。

宿泊施設

帯広から層雲峡までにはたくさんの宿泊施設がありますので、ここでは泊まったことがある宿泊施設のみを紹介します。

✓大雪高原温泉
登山口のすぐそばにある『大雪高原山荘』の魅力は、大自然の中での温泉と食事です。白濁した温泉は源泉掛け流しで疲れが癒やされます。夕食も朝食も品数が多くておいしいです。秘湯ビールも飲めます。スマホは圏外でテレビもありませんので自然の中でゆっくりしたい場合はおすすめです。

夜は星空、朝は朝焼けの景色が窓から楽しめます。朝食は7時からなので登山開始は8時くらいになります。登山する前にチェックアウトしても、下山後の温泉は無料で入らせてくれます。

雪渓を覆う月明かり照らされた滝雲<山荘の窓からの景色>(2018年6月25日)

テント泊を知らなかったときはよく宿泊していましたが、最近は昼食と日帰り温泉のみお世話になっています。食堂は11:00から13:00の間のみ営業していました。

11月1日から翌年の予約ができますが、9月下旬の紅葉シーズンはすぐに予約が埋まるほどの人気です。

✓ぬかびら温泉郷
ぬかびら温泉郷は、帯広空港から約2時間、東ヌプカウシヌプリ山の登山口から約1時間程度の場所です。銀泉台や大雪高原温泉には1時間程度で行ける場所なので妻と登山する場合はよくお世話になっています。

ぬかびら温泉郷にはいくつかの宿泊施設はありますが『ペンション 森のふくろう』によく泊まっています。お目当ては食事です。地元の食材など品数が多く、食べきれないほどです。そのため炊き込みご飯は残して、おにぎりにしてもらい翌日の登山に持参していますがこれが絶品です。

以前は早朝に出発していましたが、最近は朝食をいただいてから8時前に出発しています。朝食も一人1合のご飯なので残りをおにぎりにしてもらっています。最近はこのおにぎりをあてにして山での食料を準備しています。

なお、ペンション内に温泉はありません。提携している宿の温泉に歩いて行く必要があります。温泉を楽しみにしている方は別の宿がいいでしょう。

✓層雲峡温泉
友人らと数名で行くときは層雲峡温泉にお世話になっています。帯広方面から向かうと銀泉台などの登山口への分岐を通り過ぎることになりますが、温泉街には食堂やコンビニがあり便利です。

泊まったことがあるのは比較的安価だった『層雲峡マウントビューホテル』になります。食事無しの素泊まりにして、夕食は近くの中華屋さんに行きました。大きな湯船にゆっくり浸かり、しっかり休んで、翌朝の早朝出発に備えることができます。

クマスプレーの調達

2023年シーズンからクマスプレーを携行して大雪山に登っています。
理由は下記の記事で紹介しています。

クマスプレーとは、クマが迫ってきた際にクマの顔(特に目鼻口)をめがけて噴射し、撃退することを目的にした携帯用のスプレーです。熊撃退スプレーあるいはベアスプレーともいいます。

このクマスプレーですが飛行機に載せることができません。機内持ち込みも手荷物としても預けることもできません。登山に携行するには現地で調達するしかないのですが、調べてもどこで購入できるかわかりませんでした。レンタル店も見つけられませんでした。

そのためAmazonで注文し、帯広市在住の友人宅受け取りにさせてもらいました。それ以降、友人宅に預かってもらっています。新品は1~2万円もしますし、クマスプレーを使う機会は通常はなく、繰り返し持って行けるためすごく助かっています。

飛行機を使って北海道の山に登る方は、私と同様にクマスプレーの調達に困るのではと思っており、レンタルサービスの実現に向けて現在検討中です。

ガスカートリッジの調達

テント泊や小屋泊を予定されている方は、ガスカートリッジは必須です。ただ、クマスプレーと同様に飛行機には載せられず持って行けません。そのため現地で調達するしかありません。

帯広市内で調達したことがある2店舗を紹介します。2023年の情報になりますが、他にも知っている方がいらっしゃいましたら情報をお待ちしています。

✓ニッポンレンタカー帯広空港前店
 営業時間・・・09:00~19:30(夏期と冬期で変わるみたいです)
 定 休 日 ・・・おそらくない
いくつかのメーカーのものが置いているようですが私が使っている"PRIMUS(プリムス)"はこれまで品切れはなかったです。2泊程度なら"IP-110"で十分なのですが、品切れの時はありました。そのときは"IP-250T"を購入しています。値段は定価より少し高いくらいだったと思います。

車を借りたときは手続き中に申し出て購入できます。別店舗で車を借りた場合は窓口が空くのを待たないと購入できません。
最終便の飛行機が遅れた場合、下記に紹介する店舗は閉まっているため、車を予約していれば購入できるので助かります。

事前に店舗に確認しておくと安心です。

✓スーパースポーツゼビオ帯広いっきゅう店
 営業時間・・・10:00~20:30(コロナ前は21時まで空いていたのですが)
 定 休 日 ・・・おそらくない
プリムス以外のメーカーのガスカートリッジも置いていたと思います。友人と登山に行く場合は、こちらで調達しています。店舗に併設しているスーパーで食料も調達できます。

空港から車で30~40分ほどかかるため、JALの最終便が遅延すると間に合わないので注意が必要です。

コンビニエンスストア

最終便で帯広空港に到着することが多い私にとって、24時間営業しているコンビニは、食料調達や休憩場所としてなくてはならない存在です。市街地には多くのコンビニがありますが、登山口に近づくにつれて少なくなります。登山口によっては一番近いコンビニまで30km、1時間以上かかります。

食料や飲み物は山中分だけでなく、翌日の朝食や帰りの分も忘れずにしましょう。時間に余裕があるときは、帯広市内のスーパーやドラッグストアで買い出しするのが若干お得です。

ぬかびら温泉郷と三国峠、大雪高原山荘には飲み物の自動販売機はあったように思います。

Googleマップで検索すればわかる情報ですが、銀泉台や大雪高原温泉に一番近いコンビニを紹介します。

✓セブンイレブン上士幌町店
帯広市から登山口に向かうときの最後のコンビニです。ここから登山口までの約80kmの区間で夜間に食料を買えるところはありません。

品揃えはしっかりしていますが、食べたいパンなどが売り切れの場合があります。そのため、帯広市内のコンビニで買い出しをして、買い忘れたものや眠気覚ましのホットコーヒーをこちらで調達しています。帰りに寄ってお弁当を購入することも多いです。

✓セブンイレブン上川町店
上川町や旭川方面から向かうときの最後のコンビニです。最近はあまり行っていませんが層雲峡に泊まっている方が利用されるためか夜遅くの品揃えはあまりよくなったことがありました。そのため、買い忘れたものの調達や休憩場所として利用されるのがよいと思います。

銀泉台や大雪高原温泉からは一番近いコンビニですが、それでも1時間以上かかります。

ガソリンスタンド

銀泉台や大雪高原温泉から一番近いガソリンスタンドは、上士幌町に数軒あります。層雲峡など上川町にはなかったと思います。

登山口から距離にして70km以上ありますし、夜間は営業していませんので、登山口に向かう際には帯広市内等で満タンにしましょう。

大雪高原温泉でガス欠した車を見かけましたが、大雪高原山荘が備蓄していたガソリンを分けてもらうことで難を逃れていました。

レンタカーの場合、借りた時点でガソリンは満タンだと思いますので、帯広空港から銀泉台や大雪高原温泉の往復だけであれば、途中の給油は不要だと思います。

返却前の給油は、帯広市内ですませましょう。空港近くのガソリンスタンドは夜間は営業していないこととお休みの場合があります。時間がないときは返却時にガソリン代金を精算できますが、若干割高になります。

トイレ

コンビニさんのトイレにすごく助けられていますが、峠道などでは公衆トイレが頼りになります。ここ数年は、道内の公衆トイレは、とても充実し、きれいになっています。

✓国道沿いのトイレ
帯広方面から銀泉台や大雪高原温泉に向かうには国道273号線沿いの公衆トイレとしては次があります。いずれも24時間利用でき、トイレットペーパーが設置されているところもあります。

  • ぬかびら温泉郷のひがし大雪自然館:併設されたトイレが使えます。水道水が使え、明るくてきれいです。駐車場は広いです。

  • 士幌線幌加駅跡近くの北海道開発局:駐車場が広く、トイレは明るくてきれいです。

  • 三国峠展望台:観光スポットなので昼間の駐車場は混雑していることが多いです。夜は暗くてちょっと怖いのであまり使っていません。

  • 大雪パーキング:水道水は使えますが、便器等が汚されていることが多い印象です。広い駐車場をキタキツネが歩いているところをたまに見かけます。

✓登山口のトイレ
銀泉台と大雪高原温泉の登山口に男女別のトイレはあります。男性の個室はどちらも和式が1つだけです。女性のトイレも和式だと思います。トイレットペーパーはありません。沢水を引いた手洗い場が近くにあります。

9月のマイカー規制のときは、移動式の仮設トイレが数基設置されます。

✓山の中のトイレ
大雪山では、各避難小屋にトイレが設置されています。いつもお世話になっている白雲小屋には男女兼用の個室のトイレが2つあります。どちらも和式です。管理人さんがいつもきれいにしてくれているのでとても感謝です。

初めての人は戸惑うと思いますがドアには外鍵と内鍵があります。入るときは外鍵を開けて入り、内鍵を閉めます。出るときはその逆です。外鍵を閉めないと動物の侵入や風が強いときにドアが飛ばされることがあるので必ず閉めるようにしましょう。

また、使用したトイレットペーパーは持ち帰らないといけないのでご注意ください。

避難小屋以外にトイレはないため、モンベルなどの登山用品店で販売されている携帯トイレの持参をおすすめします。

✓山の中の仮設小屋
9月のマイカー規制のときは、駒草平などの山中の数カ所に仮設の小屋(テント)が設置されます。あくまでも目隠しだけで、持参した携帯トイレに用を足す場所になります。

使用済みの携帯トイレの処分場所は、登山口に設置されています。

携帯電話(スマホ)の電波状況

帯広方面から銀泉台や大雪高原温泉に向かう国道273号線では、ぬかびら温泉郷を過ぎるとスマホは圏外になります(私はauユーザです)。

次に使えるのは白雲岳の頂上ということもありますので、私はぬかびら温泉郷の公衆トイレの駐車場で最終の天気の確認などを済ませてから登山口に向かっています。

なお、銀泉台線に入らずに国道を1分ほど走ったところにある大雪パーキングでは、電波は弱いながらもスマホは使えました。

登山中も一部の場所では使えるときがあります。これまで使えたのは白雲岳分岐から白雲小屋に向かう途中や白雲岳頂上、白雲小屋の一区画です。いずれも天気によっては使えないときがありました。

もしかしたらもっと使えるのかもしれないですが、山にいるときはスマホをあまり使っていないのでわからないです。

登山靴の洗い場

下山後に登山靴を洗っておくと帰宅してからの片付けが楽になります。
銀泉台では登山届けを記入する小屋の先に沢水を引いた洗い場があります。そこに靴磨き用のブラシが置いてあります。

大雪高原温泉では登山届けを記入する小屋の先のすぐ近くに沢水を引いた洗い場があり、靴磨き用のブラシが置いてあります。大雪高原山荘の前にも靴等の洗い場がありますが、山荘の利用者優先だと思います。

沢水はそのままでは飲めません

山で冷たい沢水をみつけると手に取ってそのまま飲みたくなりますが、北海道の沢水をそのまま飲むのは危険です。キタキツネ等が媒介しているエキノコックス症にかかる危険性があるからです。症状は数年から10数年後に出るといわれています。

ただ十分に加熱することで感染を予防できます。縦走やテント泊する場合は水場が生命線ですが、1分程度沸騰させると安全だといわれています。
アウトドア用の携帯浄水器もエキノコックス症に効果があるといわれていますので持参すると安心です。

飲用に向いている水場の情報は昭文社さんの”山と高原地図”が参考になります。

温泉施設

温泉にこだわりのない私ですが、山に2泊、3泊した後は温泉が恋しくなります。このあたりは温泉天国ではありますが、各施設で営業時間や設備などが異なりますので伺う前の確認をおすすめします。
私が伺ったことがある温泉を登山口から近い順に紹介します(2023年の情報になります)。

✓大雪高原温泉
宿泊施設でも紹介した『大雪高原山荘』では日帰り入浴ができます。
 営業時間:10:30~17:00(高原温泉線が開通されている間のみ)
 入浴料金:大人 800円、子ども 400円
 アメニティ:シャンプー、リンス、ボディーソープ
     ※タオルは購入できます。
 設  備:洗い場は4つほど、ドライヤー(1つ?)、給水コーナー
 露天風呂:あり
 サ ウ ナ :なし

白濁した源泉掛け流しで温泉目的で遠路から来られる方もいらっしゃいます。私もこの温泉に入ると翌日の筋肉疲労がかなり和らいでいるように感じています。

✓ぬかびら温泉郷
宿泊施設で紹介した森のふくろうさんが提携している『湯元館』では日帰り入浴ができます。
 営業時間:13:00~19:00(火・水・木曜日は休みで不定休もあり)
 入浴料金:大人 1000円、子ども 300円
 アメニティ:シャンプー、リンス、ボディーソープ
     ※タオルは購入できます。バスタオルのレンタルもあります。
 設  備:洗い場は5つほど、ドライヤー、給水コーナー、無料ロッカー
 露天風呂:あり
 サ ウ ナ :期間限定(?)

こちらもおすすめの温泉です。透明ですが源泉掛け流しだと思います。森林に囲まれ、川のせせらぎが聞こえる露天風呂は最高です。駐車場はあったと思いますが、何台止められるかわかりません。

✓上士幌町
町営の『ふれあいプラザ浴場』はアメニティを持って行けばとにかく安く利用できます。
 営業時間:13:00~22:00(平日は14:00から、第1、3月曜は休館)
 入浴料金:大人 300円、子ども 100円
 アメニティ:ありません
     ※シャンプーやボディーソープ、タオルは購入できます。
 設  備:洗い場は10以上、ドライヤー、無料ロッカー
 露天風呂:なし
 サ ウ ナ :あり

銀泉台経由で1人のときはよく利用しています。温泉感はあまりないですが、洗い場は多く、広くて湯温別の浴場があるので好みに合わせてゆっくりできます。サウナは苦手なのであることしかわかりません。

✓帯広市
早い時間に下山したときにお世話になるのは『やよい乃湯』です。
 営業時間:10:00~22:30(年中無休)
 入浴料金:大人 490円、子ども 150円
 アメニティ:ありません
     ※シャンプーやボディーソープ、タオルは購入できます。
 設  備:洗い場は50以上、ドライヤー(30円?)、無料ロッカー
 露天風呂:あり
 サ ウ ナ :あり

十勝特有のモール温泉で源泉掛け流しです。温泉の他に食堂もあります。
いつ行っても多くの人で賑わっていますが、施設が大きいため混雑しているイメージはありません。駐車場も広いです。

もう1件は『たぬきの里』です。
 営業時間:08:00~25:00(年中無休)
 入浴料金:大人 480円、子ども 140円
 アメニティ:ありません
     ※シャンプーやボディーソープ、タオルは購入できます。
 設  備:洗い場は50以上、ドライヤー(50円?)、無料ロッカー
 露天風呂:なし
 サ ウ ナ :あり

こちらも十勝特有のモール温泉で源泉掛け流しです。昔ながらの銭湯のような感じです。十分な広さの駐車場があります。

東ヌプカウシヌプリ山

東ヌプカウシヌプリ山は、大雪山国立公園の南に位置する山です。登山口までは帯広市内から1時間程度です。然別湖の手前の白樺峠の道路の両端に車を止めることができます。標高は1252mですが峠の標高が高いため1時間もあれば登頂できます。

苔に覆われた針葉樹の森を抜けた稜線からは大雪山が望め、しばらく歩くと山頂です。笹に覆われた山頂からは、十勝平野が一望できます。

どこまでもつづく十勝平野(2020年8月16日)

山頂から5分ほど歩いたガレ場にはエゾナキウサギが住んでいます。赤岳や緑岳、白雲岳に登る途中にもナキウサギの住処はありますが、会えないこともあるため、大雪山が初めての友人と一緒の時は行程に入れています。

最近はナキウサギ目当てで登ってくる人が増えたのか、2023年に登った際はガレ場がロープに囲まれ、環境省の標識が立てられていました。

昼下がりに岩穴からひょっこり出てきたエゾナキウサギ(2021年7月22日)

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