憧れ

バスで通勤していると、少なくない頻度で、「ありがとうございましたー」と言いながら降車していく人を見かける。
時には腰の曲がった背中で、時にはランドセルを背負った小さな背中。

そんな人たちを見ると、「素敵だなあ」と憧れを抱く。
彼らの「ありがとうございました」に返事があることはほとんどない。それでも、お礼を言って降りる人はいなくならない。

今住んでいる地域のバスは、中ほどに降車口があるため、運転士さんまでお礼を届けようと思ったらなかなかの声量で叫ばないといけない。私にとってそれはなかなかにハードルが高い。
乗車時には「お願いします」と言いながらICカードをタッチするが、なにも反応がないと寂しいから、いつも少し控えめに言ってしまう。

そんな自分だからこそ、返事があってもなくても関係なく「ありがとうございました」と言って降りていく人に憧れる。
彼らからは、何も返ってこなくても自分がしたいからそうしているのだという強い意志を感じる。それが、どうしようもなくかっこいいと思うのだ。

誰かからの反応や周囲の目を気にすることなく、自分がしたいことをする人に私もなりたい。