拝啓、缶詰の中にて

行き先のない悲しみに

ブリキの蓋をただ落とし

缶詰の底で体育座り

全てを閉ざして何も観ず何も聴かず
ただ1人になり独りになり
自分だけただ一人になりたかった

薄暗い缶詰の中は静かだけど
ブリキの隙間からソトの音が入ってくる
光と陰の動きを感じる


どれだけ蹲っていただろう
鳴り止まないソトの動きに惑わされて
ボクは不安にかられた

どれだけブリキの蓋を見つめただろう
繰り返す光と陰の交差に
ボクは好奇心にかられた

どれだけ立ち上がることを躊躇しただろう
果てしなく止まったていた血の巡りを感じて
僕は動かずにはいられなかった

このか細くなった手足ではブリキの蓋を開けるのも一苦労だ

汗が一粒 しょっぱい

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