まだまだ酷いニッポンの残暑。夏バテ気味のあなたにはこれ!~薬剤師が本音でオススメする市販薬③
体の調子が悪いとき、病気かな?と思ったとき、病院に行かなくてもすぐに買って使える便利な市販薬。
しかし店頭に並ぶ商品の種類は多すぎるし、一人で選ぶのは難しい。
値段で決めるべきなのか?
CMでよく見る商品が無難なのか?
いや、無難とかじゃなくてちゃんと効くものを買いたい!と皆さん悩んでいると思います。
自分に合う薬を買うには、専門家である薬剤師や登録販売者に症状や体質などを伝えて、相談の上で購入するのがベスト、と私たちは提唱しています。
(第1回の冒頭に詳しく)
市販薬の購入には是非、店頭で専門家に相談して欲しいのですが、この連載ではあくまで参考として情報をお届けします。
第3回目のテーマは「夏バテ」。
8月も終わりますが、気象環境が異常な昨今の日本では9月になっても、まだまだ酷い残暑が続きそうです。
また、夏の疲れは秋も引きずらないようにしたいものです。
今回も5名の薬剤師に商品を推薦していただきましたが、なかなか興味深いことに滋養強壮ドリンク、食欲不振を助ける胃腸薬から漢方まで、様々な観点から夏バテさんへの推薦商品が挙がってきました。
では、どうぞ!
推薦してくれた薬剤師(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順 ※ニックネームですが)
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OS-1(大塚製薬工場)
――夏バテだ…と感じたとき、もしかすると脱水しているのかもしれません。
夏バテ?と感じていても、意外にも脱水傾向で電解質のバランスが乱れていてだるさなどを訴えている場合には経口補水液「OS-1」をオススメ。
■おすすめコメント
暑いから水分はしっかり摂っている、という場合でも汗で流れてしまうミネラルなど電解質系は補給しなければ足りなくなります。それが、だるさの原因となっている場合があるので食事からの補給が出来ているかを含めて聞き取りを行います。
特に高齢者の方はコロナ禍であり外出もせず、クーラーの効いた室内で過ごしているのであまり水分の不足を感じていないことも多いです。
ゼリータイプがあるので嚥下に不安がある方でも取り易い。(宇野さらら)
スパークユンケル黄帝液DCF(佐藤製薬)
ユンケルシリーズの中でも、1本あたり330円と比較的安価で、すっきりとした甘さで飲みやすい製剤。
カフェインを含まないので、夜でも服用可能。成分としては生薬のイカリソウ・オウセイ・タイソウが含まれ、補気(元気をつけ、体力を補う)作用・滋養強壮作用があり食欲不振にも効果があります。他にはタウリン・ビタミンB類などが含まれ、疲労回復に効果を発揮します。
■おすすめコメント
夏バテで元気がなく、まずは低価格で回復したい方に。(小豆田くら子)
――そして効き目の高い錠剤の滋養強壮剤の出番です。
ヘパリーゼ シリーズ(ゼリア新薬工業)
ヘパリーゼの主成分である肝臓水解物には18種類のアミノ酸やペプチドが含まれ、胃腸の調子が悪い場合や病中・病後、妊娠授乳期、肉体疲労などの場合の栄養補給にオススメ。
■おすすめコメント
疲労が長引く場合には継続しやすい錠剤、速効性を求めるならドリンクがオススメ。ドリンクは3種類、生薬の配合が異なり疲れの状態に応じたチョイスが可能だが、夏バテで胃腸が弱っている状態の時にはヘパリーゼキングプラスを勧めたい。(ゆきつばめ)
アリナミンA(アリナミン製薬)
夏バテといわれる状態の改善には豚肉などの多く含まれているビタミンB1を効率よく摂取することが良いと言われています。
普段の食事から十分量の栄養素を摂取することが理想であるが、なかなかそうはいかないのが現実。
エネルギー産生に欠かせないビタミンB1の誘導体であり、腸管からの吸収性、筋肉など組織への移行性などを改善したフルスルチアミンを含んでおり、吸収が良い。
■おすすめコメント
疲労感が強い方、食欲が落ちていて、たんぱく質の摂取ができにくい方。(宇野さらら)
暑い季節でも、屋外などで積極的に体を動かす方に。(ふらんすぴあの)
――その一方、アリナミンではない選択肢も。
ベリックスBEアミノ(シオノギヘルスケア)
アリナミンの主成分フルスルチアミンは独特のにおいがあるため、服用後もそのにおいが残る。
しかし「ベリックスBEアミノ」の疲れを取る主成分のジセチアミンというビタミンB1はにおいがあまり気にならないので評価できる。1日の服用回数も1回だけなので飲み忘れも少ない。
■おすすめコメント
1日に何回も飲みたくない方、味やにおいに敏感な方。
カフェインを取るとなかなか寝付けなくなってしまうという方におすすめ。
ドリンク剤と違いカフェインが入っていないので、夜にも服用できる。錠剤のビタミン剤でもあえてカフェインを入れているものもあるので、ぜひ自分に合ったものを購入できるよう相談してほしい。(日陰ましう)
――こういう細やかなアドバイスがあるから、薬剤師さんに相談するメリットは大きいですね。では続きます。夏バテにも漢方がオススメです。
大正漢方胃腸薬(大正製薬)
安中散と芍薬甘草湯を組み合わせた製品。
夏バテによる食欲不振、胃もたれからさっぱりとした冷たい飲食物を求め、体が冷えることでさらなる胃腸機能の低下を招くという悪循環に陥りやすい。
安中散で胃腸を温め、芍薬甘草湯で筋肉の緊張を和らげることにより、冷えを原因とする胃痛など諸症状の改善を図る。
■おすすめコメント
冷房の効いた部屋で冷たい飲食物ばかり摂ってしまい、胃腸の調子が悪い方に。(ふらんすぴあの)
――他にも漢方処方の推薦がありました。
補中益気湯(クラシエ薬品)(ツムラ)
補中益気湯は疲れにお勧め。
生命のエネルギーが不足した状態(=「疲れ」)のときに、「気」を補充するために用いる。
「補中益気湯」の「中」は胃腸を指し、「益気」には「気」を増すという意味がある。胃腸の消化・吸収機能を整えて「気」を生み出し、病気に対する抵抗力を高める薬。
夏バテで食欲がない、とにかく疲れているという症状に。
■おすすめコメント
粉の漢方のにおい、味がどうしても苦手という方に錠剤をおすすめ。(日陰ましう)
補中益気湯を販売しているメーカーは数社あるが、ツムラ補中益気湯は医療用漢方製剤としての実績が高い。
体力衰弱で元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいもの、夏バテによる食欲不振の他、気力がわかない、疲れやすい、胃腸虚弱、かぜ、寝汗、病後・産後で体力が落ちているときにも。(ゆきつばめ)
清暑益気湯(小太郎漢方製薬)
暑気あたり・夏バテによく使われる漢方薬。高温多湿な気候が原因となっておこる消化機能の低下を改善します。食欲不振、下痢、全身倦怠感、夏痩せなどに効果があります。
成分としては主にエネルギー源を補う役割(補気)をもつ人参(ニンジン)・黄耆(オウギ)・甘草(カンゾウ)、健胃作用で気を補う力を助ける役割がある陳皮(チンピ)などが配合されています。
■おすすめコメント
剤型は漢方エキス細粒です。漢方が苦手な方はオブラートに包んで服用するなどもおすすめ。薬で夏バテ症状をしっかりと改善したい方。(小豆田くら子)
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監修者コメント
もうすぐ夏も終わりですが、まだまだ暑くて、寝苦しくて、なかなかすっきりした朝を迎えられませんね。
漢方薬、ミニドリンク剤、ビタミン剤、経口補水液と、さまざまな夏バテ対策の商品が紹介されました。自分に合った商品を見つけ、少し続けて服用すると、疲れが取れること間違いなしです!
<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)
著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。