悪意(と愛)のお国自慢 岡山編
ぼっけえ、もんげえ、でえれえ、の言い回しのどれを県の観光スローガンに選ぶのかで、わざわざ投票させる県
公式に決まった「もんげえ、岡山」というスローガンを、いぶかる県民続出で、取り下げた県
作家のあさのあつこさんや小川洋子さんを、岡山出身の作家と知っていて、なおかつ、好きと言う人は多いのに、自身を「瀬戸内の黒アワビ」とテレビで名乗る、売れっ子作家の岩井志麻子先生に関しては、その作品を読んだとか好きだと、自分から言う人は限られている上、読んだかとか好きかと聞かれたら、「あの人のは、私は、、」と、言葉を濁す人が、けっこういる県
岡山に足を運んだことのない県外の人に、「とおったことあるよ、広島に新幹線で行った時」と言われる県
終戦の年の6月29日には岡山大空襲があったが、隣の広島の歴史が悲惨すぎて、比較されるせいか、その悲劇はあまり記憶にも話題にものぼらない県
洪水被害に遭った地の長として、テレビに映るのが、うれしくてたまらない、前から、出たがりと評判の市長がいる県
千鳥の大吾さんの話に出てくるような、偏狭でえらそうで他人をバカにする人がいる地域の多い県
オダギリジョーさんのように、東京に出たら、自分の出身県については固く口を閉ざす人が多い県
倉敷経済を支えた一つで、セクハラ裁判、売れ行き低調、燃費不正問題、で屋台骨グラグラしてる三菱自動車の、水島工場がある県
吉備国際大学という、ほんっとに何もない地域に立地する、名前が詐欺っぽい大学のある県
森友問題や安倍さんとの交友で、世間を長く騒がせた家計さん一族の経営する、家計学園がある県
隣の県の小豆島と同じく、オリーブ林があり、「日本のエーゲ海」と言われているらしいが、それほど、よそでは呼び名も地名も存在も知られていない、牛窓という町がある県
豊臣秀吉に水攻めされた城の、跡だけ残る県
「倉敷以外に行くところがない」と観光客に言われる県
県北部は山陰地方と似た気候で、雪が降り、飢えにも苦しんだが、それは県の印象として認識されておらず、「山陽地方」と呼ばれる地域として知られる県
「晴れの国、岡山」の呼び名通り、いつも晴れてはいるが、だからといって、どこに出かけろと、と、住民困惑の県
大阪は言わずもがな、隣の兵庫は格が違うとあきらめているが、中四国地方のなかでは、まあ広島はともかく、一番すぐれた県、どんな面でも、というのが、県民の共通認識の県
高校くらいから、「私はいつもこんな話し方だよ」と、まるで岡山弁を知らないかのようなことを言い出す女子学生が増える県
「*うったて」が大事と習字教室でも、学校の習字の時間でも教わったのに、実は、その便利な言葉は、香川と愛媛以外の県の人には通じない方言だということを、知らない人ばかりの県
(*「うったて」= 習字用語、「起筆」)
自分の県が一番だと思っている人は少ないのに、結構地元に住んでいる人が多い県
岡山出身のマンガ家で、いしいひさいちさんや岸本斉史さんは、地元のメディアなどで、名前がしばしば出てくるのに、少女マンガ界レジェンドの一条ゆかり先生のことは、何かあるのかといぶかしく思うくらい、とりざたされない県
明治や江戸のドラマや映画で、よく撮影に使われる場所が、いつも同じ所で、またあそこね、というスポットがある倉敷美観地区がある県
田んぼをナルトのデザインに仕上げ、観光に役立てようとした地域のある県
吉備線という、立派で歴史も感じさせる名前のあるJRの路線を、「桃太郎線」という名前に変更した県
新宿駅と並んで、JR乗り入れ線の数日本一を誇る駅があるが、ほとんどの路線は、一時間一本、よくて二本、の県
就職や、特に大学進学で県外に行った若者の多くが、最初の夏の帰省時には、「岡山弁て、きたなくて聞きづらいね、特に女の子が使うと」とか言い出す県
新型ウィルスで、鎖国ならぬ鎖県状態に日本中がなった時、県境のサービスエリアに関所をもうけ、県内に他所から入ろうとする人には「ここに来たことを後悔させてやる」と、領主ならぬ県知事が言った県
できのいいアニメ映画で、高畑充希さんが岡山弁を話す主人公の声だったのに、公開時期が、大ヒットした、隣県が舞台の「この世界の片隅に」とかぶり、惜しくも、その時もさほど、公開終了後は全然、評判にならなかった、「ひるね姫」の舞台となった県
最近の、交際女性を堕胎させた、済生会病院の男性医師や、数年前の小学生女子誘拐監禁した、倉敷の実家住まい無職大卒中年男性など、隣の県出身の湊かなえさんの小説の題材にしてほしいような人が棲息する県
全英オープンで優勝し話題をよんだ若手ゴルファーの渋谷日奈子さんが、いくつものインタビューで岡山弁を交えて話し、岡山を離れたくないと、故郷愛を見せた時、それを聞いて反省した、県外に住む大人が、多くいた県
若干23歳の、元YouTuberで新進気鋭のミュージシャンの、藤井風さんは、自己プロフィールの中で、人口1万の岡山の町で育ったことに言及し、自作の曲の中で、「なんなん」などとの岡山弁をさらっともりこむ。もとブルザンちえみこと藤原史織さんもだが、私のような曲がった故郷愛を持つものの、器の小ささを思い知らせてくれる、地元はただの地元としてまっすぐに認識する、かっこいい若い人が世に出るようになった県。ごめん、悪かった、私が。