「未必のマクベス」読んだ
この作品は2014年発表で、その後文庫になり、2023年に買ったのだがそのままになっていた。帯には賞賛の文が書いてあり、当時書店で平積みになっていたので、まあ買ってみようかと思って買ったものである。
この本は面白かった。ハードボイルド小説の要素もあり、普段そういうものをほとんど読まないので、緊張感があるのは良い。「世界の終りと~」も、文字通りハードボイルドな部分があるが、暗号化の鍵がテーマになっており、その影響を「マクベス」が受けているかなと感じた。
やはり何と言っても、男のロマンというか、青春の追憶というか、高校時代の同級生たちが絡む物語で、当時何とも思わなかった女子が二十年近くの時を経て現れ、主人公も満更ではない(?)と思っているのは微笑ましいというか、自分もそういうシチュがあったら楽しいだろうなぁと思ったところである。
普段はもうちょっとじっくり読める作品を好んでいるが、「マクベス」はスイスイ読める。アジア各国への観光気分を味わえる。綿密かどうかは分からないが、あちこちのホテルや食事処などで作者が取材したのだろうと思う。前の作品から22年ぶりに発表されたそうで、作者は勤務をしながらこの作の構想を長い間かけて練ったのだろうかと愚考するところである。
読み終えて、特に教訓を感じるところはなく、外国に行きたくなったわけでもないが、分厚い本を読み終えて本棚に置いたところでちょっとした充実感がある。電子でなく紙で買って良かったと思うし向後も本棚に位置を占めるであろう。
余談ではあるが「世界の終りと~」は昔読んで、結末の投げっぷりに非常にがっかりした。多分今読み返したとしても時間の無駄に終わるだろう。