何も考えない日。
平日はきちんと会社へ向かい、しっかりとお勤めを終えて迎える休日。
これもしよう、あれもしよう。よし、久しぶりにどこかへ行くかな。
皆さんだったらどんな予定を立てるだろうか。
私の父は、昔からのんびり過ごす達人だった。
前述したような『何かする、外出する』といった計画などは一切ない。
どこへ行くでもなく、コーヒーを用意してお気に入りの本とレンタルした映画を観て過ごす。
これが父の変わらない定番の過ごし方だ。
物欲もほとんどなく、時々本を調達するくらい。
洋服も、シャツと結婚した時からお気に入りのカーディガンを羽織り、スラックスがお決まりのスタイルだ。
実家にいた頃は、いつも同じような感じで父は飽きないのかな〜と不思議に思っていたのだが、私自身もいい大人になった今、そのスタイルはとても魅力的だなと思うようになってきた。
ただし、例外もある。
それはアクティブな母の買い物に引率をする時だ。
お出掛けする時も一緒についていくし、母がこうしたいと一言要望があれば、即座に対応。
母がいないな〜と思ったら、大体父もセットでいない。
遅く起きた休日に、弟と2人取り残されていることもしょっちゅうあった。(もちろん、だいぶ大きくなった年齢からだが)
ちなみに、今もそれは続いている。
お気づきの方もいらっしゃると思うが、休日の父は、基本自分で何かを考えて行動したり新しいことにチャレンジ!というようなことは一切しないのだ。
うまく言えないが、こう…流れに乗って過ごしている感じである。
外に一歩出ると、必然的に自分のペースだけではない空間になる。
それに対する悩みや対応方法など、考えなければいけないことがポツポツと自分の中で気泡のように小さく増えてくることもある。
父は特に、仕事で多くの人に対応する部署にいたこともあり、休日だけは「考える」ということを手放していたのかもしれない。
安心して過ごせるおうちの中で、何をするでもなくゆっくり過ごす。
今だからこそ必要なことなのかもしれない。
身近にこんないいお手本の人がいてくれたおかげで、私もそのスタイルで過ごすことが多くなってきた。
椅子に座って、外の景色をぼーっと眺めながら本を読んだり動画を観たり…。
あれ?これは父と同じことをしてるのでは…?と、最近気づいた。
昔、母からしょっちゅう「あんたはお父さんに似てる」と、からかってきたが、なんとなくわかっていてその自覚もあった。
何も考えずひたすらのんびり過ごす時間があるから、元気が充電できている気がする。
父が直接言った訳ではないけれど、会社員時代にあったであろう様々な困難も、この時間で充電して立ち向かっていたのではないかなと思う。
何も考えない日は、なんとなく父に会いたくなる日にもなってきた今日この頃である。