![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103527452/rectangle_large_type_2_1f9480bb548726a146448ce56e83eb52.png?width=1200)
「五つの星の物語」永野護の描くセカイ
私のイチオシ漫画と言えば、これに尽きる。
掲載開始は1986年からで、今年の3月にようやく17巻が発売されたという、進行がとてつもない遅さの漫画なのだが、とにかく何もかもが規格外の漫画である。
分類的にはSFになるのだろうが、作者である永野護先生は「おとぎ話」と位置付けているようで、「ジョーカー太陽星団」という架空宇宙を舞台にしており、主人公は「神」と「人工生命体」である。
主役級の登場人物(ストーリーごとのメインキャラ)だけでもすでに100人は超えていて、その他のキャラクターも軽く見積もっても1000人近い人物(ヒトという意味ではなく、)が登場しているが、これでもまだ「全体の2割程度」なのだそうだ。
作者は、永野護先生。
エルガイムやガンダムシリーズのメカデザインなどを担当した経歴を持つ「天才」(とにかく多方面の知識が豊富)である。
「おとぎ話」にふさわしく、幽霊、超能力者、ドラゴン、悪魔、サイボーグ地球人も含めて、たくさんの種族が出てくるわけだが、その一つひとつに細かな設定がされており、この設定だけでも膨大な量となるため、読者の方にも努力が必要である。
加えて、全体の話は「年表」という形で連載開始時に明かされているのであるが、エピソードごとに時間も場所も違うため、それこそ何度も何度も原作を読み返し、足りない部分は「設定資料」で情報を補わないと、内容が理解できない場合もしばしばである。
その「設定資料」も、ミリタリーや科学技術のものはもちろん、話とは直接関係のない、ファッションブランドやスイーツの話題も、37年の間、常に「時代の最先端」が描かれてくるため、こちらの知識も欲しくなってくるのだ(必須、というわけではないが、わかるとより面白い)。
つまり、「予習復習」が必要な漫画なのだ。
サクッと読みたい派には向かないかも知れないが、一度読み始めてみたらヤミツキになることは請け合いだ。
難解ではあるが、決して「重厚なストーリー」というわけではなく、時折ギャグを交えて読者が「気を抜く」場面が用意されている。
この展開が非常に絶妙で、「読み疲れる」ということはほとんどない。
また、その画面は非常に緻密で、特にメカニックの描写は他の追随を許さない(少なくても、私はこの漫画を超えて緻密なメカニックの漫画は見たことがない)。
語り出したらキリがないが、「神マンガ」であることは間違いないと超特大の太鼓判を押せる。
心配事は、「私(もしくは作者が)が存命中に作品が完結するかどうか」だけだ。
これからGWを控えているが、出掛ける予定がなくて時間を持て余している、という方は、ぜひ一度、手に取ってページを開いてみて欲しい。
いいなと思ったら応援しよう!
![八神 夜宵 |小説家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149594276/profile_92147f93715dbe202ad8f3a9b82b364c.jpg?width=600&crop=1:1,smart)