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命乞いをする蜘蛛(蜘蛛の恩返し)



私は珍しい昆虫を見つけた。

摘みあげられた蜘蛛が、足をバタバタと動かして命乞いをするのだ。
「殺さないで、助けて下さい」
と、私の耳に聞こえてくる。
「命乞いをする蜘蛛?こんな昆虫初めて観た。」


「人間の言葉を話す蜘蛛」

だが、誰も蜘蛛の声を聞く事が出来なかった。

…こんな蜘蛛殺すか…
と、思った時、蜘蛛は言った
「殺さないで!」と。

…この蜘蛛は命に危険を感じた時に人間の言葉を発するのか…
私は哀れに思い
その蜘蛛を逃がしてやった。

そして時が経ち、私達は大地震に襲われる。
私は、地割れした穴に落ち脱出も諦めていた時、
地上から細い糸が垂れ下がっていた。
観ると蜘蛛の糸だ。
芥川龍之介の小説と同じだ。
蜘蛛の糸を登っていけば助かるか?
以前助けた蜘蛛が恩返しに来たのか?
「溺れる者は藁をも掴む」のたとえ通り
私は、奇跡を期待しながら
蜘蛛の糸を掴んだ!

…このまま引き上げてくれ…
との願い虚しく

手に絡んだ蜘蛛の糸の気持ち悪さだけが残った。

私は、助からない

410字







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