見出し画像

(再掲載)私は誰⁉️パラレル版(6)所轄孝明君と会う(4分で読める小説)



次の日、私は警察署に行った。勿論、所轄君と会う為だ。

所轄君には電話では警戒されたが、実際に会ったら話が出来るであろう。
私が警察署に着いた時、所轄君は既にきていた。
所轄君は田中刑事と話をしている。

田中刑事は、私を見て所轄君に私を紹介してくれた。

「初めまして。水原と申します。昨日はお電話で失礼しました。
今日、貴方にお会いした理由は、小山内教授の事を知りたくて、
此処にきました。実は私、事故に遭い記憶を失ってしまったのです。
申し訳ありませんが、小山内教授の事を教えていただけませんか?お願いします」

と、丁寧に本心を伝えた。


所轄君は、小山内教授から私の事を聞いていたという事であったが
会うのは初めてと言う事であった。

所轄君が話してくれた事は、

小山内教授は、「人の記憶を 他の人に転送するマシーンの製作をしていた。
それは、所轄君のお爺さんの作ったマシーンを進化させ、実用化出来る様に小山内教授は研究していた。
その研究を一緒にしている弟子がいる」
と、所轄君に話していた。
田中刑事の話を聞いて、「その人が弟子では無いかと思った。」と、私に語ってくれた。

私は所轄君に好感を持つ事が出来た。
何故なら、刑事の質問に対してケレン味が無く、堂々としていたからだ。
ところが、刑事が『あるお客から5000万もらった』と聞いた所で所轄君の態度が変わった。

所轄君は少し言葉に詰まりながら言った。

「この、夢の実現の料金の設定は無いのです。
 5000万は、小山内教授の冗談かハッタリか、と思います。きっと大袈裟に言ったのだと思います。
私はその話は初耳です。」

昨日、千秋さんが言った『5000万貰った』言葉は、小山内教授の冗談か、ハッタリ。
それを私が本気にして千秋さんに伝えた事になる。
小山内教授は冗談やハッタリを言う人だったみたいだが、
どちらにせよ、私の記憶が無いので定かでは無い。

所轄君は小山内教授の事務所と研究室も知っている、との事。
事務所と研究室は分かれていて、別々の場所にあるとの事。

私と刑事二人は、所轄君に案内され、事務所に向かった。

事務所の鍵を所轄君は持っていた。
それほど、小山内教授との関係が深いのにも関わらず、
私と所轄君の出会いが、今日が初めてとは不思議な事である。

3階建ての雑居ビルの一室に事務所があった。
さほど広くも無い。ここで私達は何をしてたのだろう。

所轄君が言うには、ここは休憩所でもあり、事務的な事や、お客様の接待場でもあったという事だ。

テーブルとソファーが置いてある。
机が3台ある。一つは小山内教授の物と思われる。
もう二つは、私と誰かの物なのだろうか?

小山内教授と思われる机の引き出しを開けてみた。
これといって、高価な物は無さそうだ。

だが、書類は沢山あった。
その中に不思議な書類が綴ってあった。
これが、研究の記録かも知れないと思ったが、
記憶を失った私には理解出来ない。
もしかすると、暗号で書いてあるのかも知れない。

もう二つの机を見てみた。

一つの引き出しの中に、パスポートがあった。

パスポートに私の名前と写真が貼ってある。

やっと、私は自分を見つけた。
間違いなく、私は水原学だ。やっと見つけた。
私は何とも言えない感慨に耽った。
でも、何故パスポートが必要になったの解らなかった。
私は、何処かに旅行しようとしていたのか?

他の机の引き出しを調べたが何も無かった。
だが、私以外にもう一人研究員がいるのでは無いかと思った。

「所轄さん、私以外の研究員がいる事を知っていませんか?」
と私は聞いてみた。

「もう一人ですか?居たかも知れないです。
小山内教授は秘密主義者で、余り喋らないので分かりませんが、水原さんとは別の人がいる様なニュアンスはありました。」


私以外に研究員が居たかも知れないとは、初耳であったが、
確証は無い。


仮にこの人物が存在するならば、何処に行ったのであろうか?
悪の組織に拉致されたのであろうか?
もう一人の研究員の存在を見つけることが、この事件の解決に繋がるのでは無いかと思った。

刑事達も同じ思いであったのであろうか?

竹中刑事が私に向かって言った。

「水原君、ここで思い出す事は無いかね。もう一人の研究員の事や、ここであった事など、何でもいいから思い出さないのかね?」

と語調がきつかった。

「わかりませんが、この資料が気になります。
研究内容が書いてあるのか分かりませんが、もしかしたら暗号で書かれているのかも知れません。調べてみたらどうでしょうか?」

「暗号⁉️。暗号で資料を何故書くの、そんな手間な事しますか?
 普通はしないでしょう。」

と竹中刑事は言った。

「でも、文章が変ですし、読んでも意味が分からない。
それに、見方によっては日記にも見える。日記だと人に見られては困るので、暗号にしたのかも知れない。」
と私は言った。

「そういえば、小山内教授は暗号も研究していましたよ。
プログラムの資料を盗まれた時に簡単に誰でも分からない様にしていると小山内教授から聞いた事あります」

と、所轄君が思い出したのか、言う

「水原君、この資料の暗号を解読できませんか?」

と田中刑事が言った。

「この資料を見ても何も思い出せませんが、何か気になります。
 暗号の解読なら出来そうな気がしますが?
 やってみましょうか?。」
  と私が言った時、

竹中刑事は

「この資料は警察で保管する。また暗号の解読は警察がする。
そう言う決まりになっている」

と、警察の威信を掛けるかの様に、私に言うのだ。

その様な訳で、資料の解読は警察がする事になった。

私たちが次に向かったのは、所轄君の案内で研究所であった。

















いいなと思ったら応援しよう!