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風の色が解る男(410字)


風の色が変わった。
残暑から、急に色を変えた。

「風に色がある訳無いよ!」
「有るんじゃ、私には見えるだよ。
風の色が、解るんじゃ」

「じゃあ、どんな色?」

「それは、今の風は水色。
夏の風は紅色。春はピンク。
冬は色も無い透明。」

「ふ〜ん、解る様な気がするけど、
嘘っぽいな」

「君もいつか解るよ、
私の様に修行を積めば。
解るじゃろう」

「修行って何ですか?
一体貴方は誰?
あご髭を生やして、
しかもその髭は白い。
貴方はどんな人?」

「驚く事は無いよ。
私は世俗を離れて暮らしているだけの男」

「もしかして、
貴方様はあの霊鷲山に住む仙人様では
ありませんか?」
と、畏敬の念を懐いて男は尋ねた。

「センニン?世間ではそう言われているのか、坊や。」

「そうです、霊鷲山には仙人様が住んで居ると
みんな言っています」

「じゃが私は一人じゃ、千人もいないだ。
最近人出不足で困っているんだ。」

「・・・・・」
「もうすぐ、坊やの所にも行くよ、
クリスマスにプレゼントを持ってね」

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