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(再掲載)私は誰⁉️(大学の同級生?)(12)(二分で読める小説)



彼女は僕を憐れむ様に

「事故に遭ったの。全然知らなかった。御免なさいね。
そうなの事故に、。
記憶も無いんだ。、、、、、」
言葉を一つひとつ噛み締めるように言った。

「水原君。私の事、覚えていないのですか?
思い出せない?
名前も分からない?」
と悲しそうな表情が私の心を揺さぶる。
私は心苦しい思いで
「はい」と返事をした。

だがその瞬間、私の脳裏に閃光が走る。
(此の女、組織が雇ったサクラ。もしかするとサクラかも知れない。
街に出る事を誘ったのは、妹であり、「知り合いに会うかも知れない」と言ったのも妹。ここで知り合いに会う確率など低いに決まっている。
偶然出会うなんて奇妙。仕組まれた事と思った方が良いのではないか?
信用してはいけない!)

僕は、彼女の言葉を待った。
不自然なところが無いかを細心の注意を払って聞こう言う想いからである。

「覚えて無いの?水原君。
私は、貴方と同じ大学にいたの。○○大学よ。
それも覚えていないのね。
私と貴方は学部が違っていたけど、サークルが一緒にだったの。」

○○大学は両親から聞いていた大学と同じだ。
サークル活動の話は初めてだ。詳しく聞きたいと思った。

「何のサークルでしたか?」と、聞く私の瞳を見つめながら、
彼女は、悲しんで言う。
「読書サークル。本を読んで、その感想を言い合うの。
時々、議論になった事もあったわ。覚えて無いのね。」と、残念な表情だ。
これが演技であるならば、女優かも知れない。
私は、名前を聞いてみた。

「あの、、。貴方のお名前は、?」
「水原早紀。」
「同じ苗字なのですか?」
「冗談よ。本当は、水島早紀。
一緒の苗字になれたらいいな、と思っていたの。」
何を思ったのか、妹が口笛を吹いた。
茶化しているのか?少し腹立たしかったが、
妹は真面目な顔で、

「結婚されているのですか?」と、私の疑問を聞いてくれた。
ナイス、フォロー。

「まだ、独身です。いい歳だけど。まだです。」
何故か、独身アピールする彼女。

「兄と付き合っていた方なのですか?」核心を突く質問。
ここもナイスである。

「、、。いいえ付き合っていませんでした、私の片思いです。」
急な告白。
信じていいの?
サクラでは無い事を祈りたい気持ちが忽然と
湧き起こる。

僕は、嬉しさを隠しながら言った。
「僕はどの様な人間でしたか?どの様な勉強、どんな研究をしてましたか?」
と、一番聞きたい所を聞いた。

「お時間ありますか?長くなりそうなので、。」
早紀さんが聞いてきた。
聞きたいのは、やまやまだが、どこまで信じる事ができるのかは
不安ではあるが、

「あります。時間ならたっぷりとあります。」
と妹が積極的に応えてくれた。

僕は誰⁉️
真相が分かるかも、、、。





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