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若返りのワンピース#ボケ学会(2分で読める小説)


最近、ヨシコさんに恋人が出来たと言う、
噂を小耳に挟んだのです。

今まで、浮いた噂も一つも無かったあの人が!と、
私は不思議に想いその噂の真相を確かめたいと思いました。

判った事はヨシコさんは、あるお店で洋服を購入し、
その服を着ると、若返ると言うのです。
私はそのお店の名前を聞きそして、その店に足を運びました。

その店の名は、ユニシロ。
店の名前の由来は
「ユニークな代物があるお店」
と、言う事です。

店内に入ると薄暗く、お客は誰一人居ません。
し〜と静まりかえった店内に、無表情の女がいます。
彼女の顔立ちは悪くないのですが、一重瞼がハニワを想像させてくれました。
「いらっしゃいませ。初めての方ですね」
と、微笑んで言っているみたいですが、目が笑ってはいません。

私は、不気味に感じながらも、作り笑いで応えました。
「当店は初めてお越しくださった人に、粗品をプレゼントしております」
と、感情のこもらない不気味な声が、私の鼓膜を揺らします。

…粗品?そんな物を貰うと、タダでは帰れない…
と、律儀な私は思ってしまいました。
店内を周っていると、
私の目に飛び込んできたのは、可愛い洋服です。

それは、可愛いリボンの付いた
少女漫画の主人公が着ていそうなワンピース。
少しミニスカートだけど、それが男性の目を奪うかも?
と、私の期待が膨らみました。

そして、私は一眼でそのワンピースが気に入ってしまいます。

「お気に召しましたか?この服を着ると年齢が10歳以上は若返ります。
最近の売れ筋の商品です」
と、店員が詳しく説明しています。
…この服だわ、ヨシコさんが買った服は。本当に歳が若返るのかしら…
と、訝しく思ったのですが、
「お幾らでしょうか?この洋服は」
「8000円ですが、今回はその価格から3割値引き致します」
と、嬉しい事を言ってくれました。

私は、その服を購入し、謎の缶詰
「誘惑銀杏」を手にワクワクしながら
帰宅しました。

早速、買ったばかりの服を着てみました。
鏡に映る私の姿は、10歳以上の若返りを見せていたのです。
…本当だ、服が若い! また新たな恋が芽生えるかも?
新たな恋人も出来るかも・・・…

と、私の心は嬉しく弾み踊っています。


このワンピース、私に似合うかしら?
でも残念ながら似合わない様に感じるな〜

だって私、還暦を超えたお爺ちゃんだから。
自信ないな〜〜(^O^)
こんな服を着ていたら、
バカ返りのワンピースになってしまう。

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