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(再掲載)私は誰⁉️ 両親登場(3)(1分で読める小説)

(3)
退院した私は、妹に従いタクシーに乗り込んだ。
この街並みの風景は、私の記憶に無い。
15分ぐらい走ったのだろうか?
タクシーが着いた所は、市営のアパートみたいな所であった。
古びた建物が、私の目を覆った。
4階建のアパート。
妹は階段を登りながら、話しかけてくる。
「覚えていないの?この階段。
お兄ちゃんこの階段から落ちた事あるのよ。怪我はしなかったけど・・・」
と、言われたが僕は、首を横に振るしか無かった。

妹は、妹の住む部屋に案内してくれる。
女の人の部屋に入るのにためらいがあったが、
妹であるならば何ら問題は無い。

そこは、ワンルームで一人暮でも狭過ぎる部屋である。
部屋は綺麗に片付いており、掃除もされている。

部屋には、シングルベッドが置いてあるのだが
それは部屋の5分の一を占めている。

トイレと風呂が一緒になっている。
小さなキッチンが有り、冷蔵庫も小さい。
テーブルとソファがあるが、それも小さい。

妹に恋人はいるのだろうか?
僕にも恋人がいるのだろうか?

「お兄ちゃん、ここに座って。立っていると、威圧感あるから」
妹は、ソファーに座っている。


僕は言われるまま、妹の指定した場所に腰を下ろした。

「ここに来ても何も思い出さない?」
とまるで、恋人の様に甘えた声で聞いて来た。

「全然、思い出さない。僕は、以前からここに来たことあるのか?」

「お兄ちゃん、時々来てたわよ。来ては私に、お小遣いくれたわよ。」

(本当か?)と、思ったが、言葉に口にならなかった。

「僕はどんな、仕事してたの?」と疑問をぶつけてみた。
妹が言うには、「『僕はある研究室で研究員として働いる』と言っていたわ」
研究の内容は、妹は知らない。

その時である、扉をノックする音が僕の耳に届く。
やって来たのは、男と女。
60代のカップルだ。
「両親です」妹から紹介された。

僕にはその二人は初対面の様に思えたが、両親は僕を見て涙ぐんでいた。
「生きていてくれて良かった。ねえ、母さん」
「本当ね、父さん」
の会話があった後、「本当に覚えていないのか?」と同時に聞かれた。

(そんなに責められても、覚えていません。)と、僕は心で叫んでいた。

私は、いったい誰⁉️




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