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待っている女(1)


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少女は待っていた。優しい王子様が来てくれるのを!
お迎えに来てくれるのを!
いつも、いつも待っていた。
童話で話してもらった、王子様は、白馬にまたがり、颯爽と
道を走り、優雅で気品の高い顔立ち。
その様な王子様が、きっと私を迎えに来てくれるはずと
いつも心に描いていた。

だが、此処は日本。
白馬にまたがる王子様は居ない。
仮に居たとしても、白馬で道路を走ったりしては、みんなの迷惑である。
自動車に乗って来たとしたら、私を見つけてくれるだろうか?
きっと、見過ごしてしまうだろう。
バイクで迎えに来たら騒音でうるさい。
自転車に乗って来る王子様では、みすぼらしい。

そんな事を想像しながら、少女いつも公園のベンチに座っていた。

「君はいつも、このベンチに座って居るけど、家に帰る事がないのかい」
と、少女に問い掛ける一人の男。
少女は、ポカンとその青年を見上げている。
(王子様とは全く違う)と、残念な気持ちが先に立ち、話す事が出来ない少女であった。


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