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ジンジャークッキーイブ(前編)(ユニシロシリーズ)(二分で読める小説)#毎週ショートショートnote(940字)
「その店は謎の店で、その店の近くに行くと
誰もが吸い寄せられる様に入店してしまう。
またその店には直ぐに売り切れてしまうお菓子がある」
と言う、そんな噂を聞き僕は興味を持って、
その店に出かけて行った。
道沿いに歩いていると大きな黒い看板に
[ユニシロ]
と、血に染まったかの様な文字が書いてある。
…シロなのに赤い文字?…
と、思いつつ足が勝手に店の中に入ってしまった。
店内を見渡すと、それほど広く無い。
何やらごちゃごちゃに物が置いてある。
…ここが噂の雑貨店か!どんな品物があるんだ?…
と、物色していると、背の高い無表情の女が
「何をお探しですか?」と
無愛想に尋ねてきた。
「直ぐに売り切れてしまうお菓子が
あると聞いて来たのですが?」
「お菓子ですか?・__・これですね。」
箱を見ると[ジンジャクッキー]
と、書いてある。
「美味しいですか?これ」
と、疑う様に聞いてみた。
「味は、人それぞれに感じるので、何とも言えません」
「ジンジャーだから、生姜の味ですね!」
と聞いてみたが、女性店員は
「人それぞれですから」
と、無愛想な答えだった。
訝しく感じながらも、僕はこのお菓子を購入して帰宅する。
箱を開けると、一枚の紙が出てきた。
それには、製造元の名前が書いてある。
私はそれを読む事も無く、お菓子を取り出した。
大きさは正方形で5cmぐらいだ。
それが20枚入っている。
見た目はクッキー。
食べてみると、何だかカビ臭い。
美味しくない。腐っているのか?
ジンジャーの味はしない!
僕は思わず吐き出してしまった。
…何だ、この不味いお菓子は!
誰が作ったのだ!…
と、怒りがおこる。
…確か製造元の紙があったな…
と思い見てみると、
「製造元は◯◯神社」
だから、神社クッキーか?!
さらに、見ると「お菓子を完食した後に、
願い事をしてください。
そうすればクリスマスに願い事が叶います。
ただし、
クリスマスイブの日だけしか食べてはいけません。
そうでないと願いは叶いません。」
と、書いてある。
何故、クリスマスなのに神社が応援するんだ!?
と、思いつつもう一度あの店に出かけて
このお菓子を買おうと決意した。
今度こそ、イブの日に食べよう。
そして[憧れのあの娘と付き会える事]を願って
このクソ不味いこのお菓子を我慢して完食しよう。
でも、本当に願いが叶うのかな?