美人に変わる化粧品(ユニシロシリーズ)(3分で読める小説)➕追伸
明日は僕の彼女の誕生日。
いつもお世話になっている彼女に
何かプレゼントをしたい。
と、デパートに行ってみたのだが、
残念な事に何も良い物は無かった。
僕の彼女は悲しい事にあまり美人では無い。
僕もブサ面だから釣り合いは取れてはいるのだが・・。
街をぶらついていると、不思議な店に出逢う。
看板に「ユニシロ」と書いてある。
ダメ元のつもりで入店してみた。
店にはお客は誰もいない。
暗くて何か陰気な店だ。
…こんな所に良い物なんて有るはずがない!…
と、店を出ようとする僕に、大柄な女が
声を掛けてきた。
「何かご入用で・・」
と、不気味な声。
その声に立ちすくむ僕。
「あの、恋人にプレゼントを探しているのですが・・」
と、僕の声は自然とフェードアウト。
「それだと、これが一番良いですね」
と、表情を何も変えずに話しかけてくる。
その瞳の不気味さに、催眠術を掛けられたのか、
弱気な僕は彼女の云うがままに操られてしまう。
「これは、世界初の化粧品です。
どんな女の人であっても綺麗に変身させる
化粧品です。
あの有名な三浦美乃さん監修の化粧品です。
化粧の仕方は説明書に書いてあります」
機械音の様に話す無表情女。
「誰ですか?この三浦美乃さんって?」
「それは『三つ子の魂百までも』
に出てくる三つ子の片割れの女性です。
ご存知ないですか?
ボーンと言う作家が書いた小説です。
面白いのですが、全く売れて無いのが残念です」
と、今までとは違い、感情を込め真剣な表情で語ってくる。
「そうですか、この化粧をすると誰でも美人になるのですね」
と、騙されたつもりで購入する事にした。
「お値段は、三万円です。
今買うとボーン先生の小説が無料でついてきます。
お買い得ですよ」
と、後ろから男の声がした。
振り向くと、愛想を振り撒き揉み手をしながら、立っている。
「別に化粧品だけでもいいのですが・・」
と言い掛けたのだが、袋の中に本を入れられてしまった。
「それにお客様、この缶詰も差し上げます」
と、粗品の「誘惑銀杏」を貰った。
彼女の誕生日に、僕は化粧品をプレゼントした。
喜ぶ彼女の顔はいつもより不美人に見えたが、
この化粧品は誰が使っても美人になると言う事であるから、
僕はその日を待っていた。
そして次の日、僕は後ろから呼び止められた。
聞き覚えのある声、だが振り向くと見知らぬ美女。
呆然としている僕に彼女は笑い掛けてくる。
「私よ、ヨシコ。貴方の恋人のヨシコよ。」
と、信じられない言葉。
「本当にヨシコちゃん。綺麗になったね。」
と、まだ信じられない僕。
「この化粧品すごいのよ。本当に見違える様に綺麗になったの。
化粧品だけでなくて、化粧の方法が凄いの。
今までに無いやり方なのよ。」
感動を隠せないヨシコ。
それ以後、ヨシコは男達を魅了しモテモテになって行く。
ヨシコはキャバクラで働き
売れっ子キャバ嬢となる。
ヨシコは忙しくなり、
ブサ面の僕から徐々に距離を置いて行く。
僕はヨシコに粗末にされ、振られてしまった。
一人ぼっちの僕。
だけど、素顔のヨシコを知った時、
あの男達はヨシコの事を好きでいられるのだろうか?
容姿だけで選んでいる馬鹿な男達。
僕は内面の彼女が好きだった。
そうだ、もう一度あの店に行って
男の化粧品を買おう。
ブサ面がイケメンに変わる化粧品。
必ずあるはずだ!
ユニシロに行けば!
追伸
このユニシロシリーズ好評により続いています。
ある人から聞かれました。
「ユニシロって何処にあるの?」
と、何処でしょうか。
ボーンの心の中にあるのかな?
ちゃっかりと宣伝させてもらいました。
三つ子の魂百まで これもシリーズで何作もあります。
お読みいただけると嬉しいです。
ノートにも掲載してありますが、
エブリスタの方が読みやすいと思います。