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(再掲載)私は誰⁉️パラレル版(10)犯人の正体⁉️(4分で読める小説)



資料の解読を了解したものの、岡刑事は苦戦していた。
今までに推理小説や推理ドラマを観たり、読んだ事はあっても
暗号の解読など初めての経験である。

簡単に引き受けた事を後悔したが、
「警察の威信が掛かっている」
と竹中刑事に言われた時、つい身体が反応してしまった。

岡光子刑事、彼女は子供の頃から、美人で聡明であった。
男兄弟の末っ子で育った彼女は、
男勝りの活発な子供でもあった。


中学生になると、柔道部に入部し、メキメキと腕を上げ、
高校生の時にはインターハイに出場している。
岡光子は下級生の女子の憧れの的となっていた。
また、生まれつき正義感が強く、ヤンキーを諫め喧嘩する事もあったが一度も負けた事は無く、ヤンキーから一目置かれる存在ともなった。

現在は柔道四段で、此の風貌からは想像も出来ない。

頭脳も明晰で成績は高校時代は全校生徒の上位であった。
しかし、大学には行かず憧れていた警察官になり、
刑事課には今年配属された。



資料を詳しく観ていくと、何らかの法則がある様に感じたが
まだ解明には至らなかった。

「人間が考えたものだ、私に解けないはずが無い」
と、自分を鼓舞していた。

悪戦苦闘する中、法則の謎が解けた。
分かってみれば、たやすい事であった。

そして、その法則の解明ができ、暗号の解読に成功した。
警察の威信は保たれた。
これは、マシーンの説明書では無い。

小山内教授の日記だった。
日記を何故暗号で書いたかはわからないが、人に読まれると
困るからであろう。
それとも恥ずかしいかったのだろうか。

それは二年前の頃から書いてあった。
普通のたわいない日常の事が書いてある。
また、好きな女性の事も書いてあるが、ここは故人の個人情報である為、書かれてあった事について、割愛させていただきます。

注目したのが、最近の日記である。
これを読む岡光子刑事に涙が溢れた。

「分かった!小山内教授を殺した犯人が、、、、。」
だが、証拠は今のところ何も存在しない。

岡刑事は、田中刑事、竹中刑事に暗号の解読が出来た事を
報告した。
そして犯人と思われる人物の名を伝えた。

水原君と同じ研究をしていた人を探す事が事件の解決に
最も近づけると刑事達は確信を持った。

その人物の名前は沖田総太郎。
小山内教授の仲間である。
何故、彼の名前を所轄君に知らせていないのかは、分からない。

日記から読み取ると、
小山内教授は、あまり人を信じるタイプの人では無かった。
それは生い立ちが非常に悲劇で、子供頃からその容姿を笑われ、
たとえ笑ってなくても、絶えず笑われている様に感じていた。

自分を自分らしく生きるのは、自分の研究した分野で
成功を収める事が、小山内教授の生きる指標となっていた。

記憶の伝達のマシーンを完成させる。
これが、小山内教授の生きがいであり
世間から認めてもらえる唯一の事業でもあった。

そして、そのマシーンを完成間近な時にそれを狙う、
悪の者がいることに気がついた。

このマシーンは人の記憶を他人に伝達するもので、
世界にただ一つのもである。
これを善の方向に使うならば、人類の為には素晴らしい物となるが、悪用されると、戦争にも成りかねない恐ろしいものでもある。

また、これを自分の利益に使えば莫大な富を得る事も可能となる。
これを狙う者の存在を知った時、小山内教授は命を賭けてでも
守ると決意を固めた。
そして、自分の記憶をある者に転送する事を決めた。
何故なら、このマシーンの操作は小山内以外に誰も知らない。

仮に小山内が殺される事があっても、記憶の転送された人物によって動かす事ができるからだ。

日記の最後に書かれたものは、小山内教授の遺言とも取れる内容であった。
それは本当に衝撃的な言葉で綴られていた。
それを読んだ時、岡光子刑事の涙は止まる事が無かった。

信じた人に裏切られる。
これほど悲しい事は無い。

肉親に裏切られ、親族からも信じてもらえ無い人もいる。
子供は親を信じ、頼っているのにも関わらず、虐待される子供もいる。

弟子に裏切られる師匠の気持ちは如何なるものであろうか?
同じ研究を苦労して分かち合ってきた者の裏切り、
小山内教授の心中はいかばかりであったか、測り知れないが
悲しみが大きかった事は、間違いない事だ。

人を信じて裏切られる悲劇。

しかし、人が人を信じ無ければ、
非常に殺伐ととした人生を送る事になる。
小山内教授も同じ気持ちだったのだろう。
信じられる人を見つけたい。
小山内は、絶えず心に秘めていたであろう。

その日記には、沖田総太郎の居場所と思えるところが書いてあった。
それは、アメリカの◯◯の住所が表示されていた。

「先ずは、この男に会う事が先決ですね。
 アメリカに行きますか?」
と岡刑事が二人に聞いた。

「アメリカに行く旅費など出してくれんだろ。」
と竹中刑事は諦め半分の口調で言った。

田中刑事も  
「アメリカに行ってその男に会うなんて、上が認めてくれるだろうか?それもまだ参考人ですよね。
それよりも、現地の警察署に連絡して、その住所の所に行ってもらったらどうでしょうか?」

「アメリカの警察、協力してくれるでしょうか?」
と岡刑事が不安と期待を込めて聞いた。

「安保条約で決まってるんじゃないの。日本に協力するって」
と竹中刑事はいい加減なボケを入れたが、
誰もツッコミは入れなかった。

「先ずは、上に言ってみますか?もしかしたら、アメリカに行けるかも知れません!」
と、田中刑事はアメリカ旅行に行く気分で明るく言った。


田中、竹中刑事は上司に暗号解読を報告し、アメリカに行く事を
提案したが、即却下された。

「参考人の段階で、アメリカに行っても、居るか居ないかわからないのに、そこまでの経費は出せない。」
と言われ、アメリカの現地の警察署にお願いすると言う事に
決まった。
後は、アメリカの警察の人を信じるだけだった。

3日後、沖田総太郎と電話連絡が取れた。




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