魔法の掛けられ林檎(ユニシロシリーズ)(2分で読める小説)
一週間前、奇妙なお客が私のお店に訪れた。
顔は少し老けているのだが、
着ている服が子供服なのだ。
店内を嬉しいそうに見回しながら物色している。
私は、人の心がある程度読める。
彼女は、恋をしているのかも知れない。
しかし、あの若作りの格好は何?
男を魅了しているつもりだろうか?
私も女であるが恋などには全く興味が無い。
だが、お客様は大事にしなくていけない。
先ず、出迎えよう。
「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」
「あの私、恋愛不足で恋愛の仕方が判らないのです。
何かその答えを出せる良いものありますか?
この、ユニシロに来たら何でもあるって、
かりんちゃんに聞いてきたのですが。」
「何でも有るとは申しませんが、恋愛の仕方が判らないのであれば、
そうですね。・・・・・」
と、私は少し勿体ぶって答えた。
「こちらにどうぞ、これは貴女の思いの人に貼ると想いが叶うという
ステッカーです」
と、キューピーの絵の描いて有るステッカーを私は差し出した。
「でも、これかりんちゃんが言ってました『こんなの貼ることができない』
って、怒ってました。」
「そうですか、それは残念です。これほど効果の有る商品はないのですが。
では、これはどうでしょうか?」
と、私は店の奥から、りんごを一つ取りにいった
見たところ普通のりんごである。
「お客様、このりんごは、一見すると普通の林檎の様に見えますが、
どこにでもある林檎では無いのです。
これには魔法がかけられているのです。
あの有名なハリーポッターの
女友達でハーマヨニーがいましたね。
ご存知ですか?」
「はい知っています。そのハーマヨニーが魔法かけたのですか?」
「いえ、そうでは無くてハーマヨニーの
従姉妹の友達が魔法をかけた
林檎です、これを貴女が一口食べて思う人にその林檎を食べてもらうのです。
そうすれば、貴女とその人は結ばれていくのです。
もう、これしか残っていませんが、どうなさりますか?」
と、不思議な事を私は顔色一つ変えずに淡々と話した。
「私が一口食べてから、彼に食べてもらうのですね。
スッテカーを貼るよりも簡単ですね。
これしか無いのですね。
じゃ買います。」
と、彼女はお金を支払い店を出ていく。
私は彼女の後ろ姿を見ながら哀れに思った。
この様な事までして思い人と結ばれたいのか?
彼女の幸福を祈っていた。
今日また彼女が現れた。
しかも犬を連れてやって来た。
私は不思議に思い、彼女に聞いてみた
「どうしたのですか?この犬は」
犬はどうみても雑種犬だ。
「それは・・・、あの時私、彼の目の前で林檎を一口かじって、彼に渡したの。
そしたら、彼は、『こんなお前がかじった林檎食えるか』と言って
道に捨てたの、私悲しかったわ。でも次の瞬間恋が目覚めたの。
この犬が彼の捨てた林檎を食べていたの。
やっと私恋が叶ったのよ。本当にありがとうございます」
「そうですか、それは良かった。恋人では無く、恋犬ができて・・・」